長年の夢を叶え手に入れたBMW Z4は18年落ちの中古車だった……お手頃価格で直6エンジンを楽しむBMW選び【BMW Z4オーナーレポート vol.1】

モータージャーナリストの大音安弘氏が購入したBMW Z4は現行モデルではなく18年落ちの中古車。憧れの果てにたどり着いたこのクルマの魅力と、悲喜交々のZ4ライフを語る! まずは、いかにしてZ4購入という結果に至ったのか? 物語はそのはるか以前、若き日の大音氏のカーライフから始まる。

2022年4月、私は、BMW Z4を購入した。
世間では、新車や新しめのクルマならば”高級車”というジャンルに含まれるが、選んだのは18年落ちの立派な(?)中古車である。もちろん、お値段も現実的。
しかし、少しだけカッコつけさせてもらえば、長年の夢をひとつ叶えたことできた瞬間でもあった。

輸入車ファンに愛されるE46とE90のBMW3シリーズ

私がBMWに初めて乗ったのは、20年ほど前のこと。当時、私は大学生であり、とある自動車雑誌でアルバイトをしていた。その仕事には、広報車の貸出やロケの手伝いなども含まれていた。その頃、新車だったクルマたちといえば、今も輸入車ファンに愛されるものが多い。BMWでいえば、3シリーズだとE46後期型からE90の前期型が当てはまる。

E46型BMW M3クーペ(2003)
E90型BMW M3セダン(2007)

そして、今回の主役である初代Z4が、新登場したタイミングでもある。そんな頃だ。
電動化シフトの今とは異なるが、ちょっとした自動車の変革期でもあり、国産車はハイブリッドに注力するようになり、一方で輸入車がダウンサイズターボ車に力を入れ出していた。

BMW Z4 2.2i(2003)

「いつかはGT-R!」の日産党、BMW320i Mスポーツに出会う

BMWに興味を持つきっかけとなったのは、後期型の320i Mスポーツとの出会いだった。
2.2L直列6気筒DOHCエンジンは、最高出力170psに過ぎなかったが、エンジンサウンドと回転フィールが抜群。馬力ではない走りの愉しさを知り、「BMWは直6だ!」と言われる理由を分かったような気でいた。

日産180SX

しかし、学生の私には、高級車のBMWは、全く縁のないもの。そもそも日産党だったこともあり、180SXとのカーライフを楽しんでいた。心の中では、いつか、スカイラインのターボ車。できれば、GT-Rを手にしたいと考えていたものである。
それから数年後、私は、自動車雑誌とは全く縁のないサラリーマンの道を選んだが、クルマ好きには変わりなく、社会人として安定した収入が得られるようになったことから、愛車の乗り換えを検討する。もちろん、大本命はGT-Rだった。

R32型スカイラインGT-R NISMO
R33型スカイラインGT-R

そうなると、予算もそれなりに必要となる。余談だが、その頃は、国産スポーツカーの価格上昇は始まっていたものの、R32やR33の良さそうなクルマでも、300万円前後で入手できた。その時の選択が、私の愛車人生を大きく変えることになったが、それはまた別のお話だ。

さて話を戻そう。その予算であれば、先代となったばかりのE46の購入も見えてくる。私は興味本位で、BMWの認定中古車センターを尋ねた。
そこで私は、一つの問題を知ることになる。愛車の180SXから想像できるように、根っからのMT派だったのだ。そうなると選べる車種も絞られ、同時に流通台数も限られる。Mモデルなんて”夢のまた夢”であるため、狙いは、318iと318Tiの5速MTの2択となった。流通が少ない中、数台の売り物をチェックできたが、価格の高さからBMWの購入を見送った。
それからの10数年、BMWとは、全く縁のない生活を送ることになるのだった。

E46型318i(写真はM-Sport Limited)

古典的パワーユニットを楽しむなら今しかない!

さて、時間を現代に戻そう。なぜ私がBMWを購入したのか。それは取材を通じて、近年のBMWのクルマ作りに大きな変化を感じたことも大きい。3シリーズを例に挙げると、先代のF30までは、様々な進化の中にも伝統の味わいが残されているように思えたが、現行型となるG20は、乗用車としての機能が向上した一方で、大型化により持ち味の軽快さも薄まった感は否めない。

F30型320i(2013)
G20型320i(2022)

そして、BMW自慢のパワーユニット自体も、電動化へと大きく舵を切り始めた。古典的なBMWを楽しむならば、今が最後ではなだろうかと……。
その気持ちを燻ぶらせつつ、軽い気持ちで自動車検索サイトを眺めていた。検索の狙いは、もちろん、直6モデルだ。セダンを所有していたことから、E46のクーペ「330Ci」か、オープンの「330Ciカブリオーレ」だ。セダンならば、「330i」のMTも選べるが、数が少なく、価格も高いことから、候補からは外していた。

E46型330Ciクーペ
E46型330Ciカブリオーレ
E46型330iセダン

遊び半分で始めた検索だが、そういう時に限って、心に刺さる一台が出現するものである。見つけたのは、エクステリアは前期型に近いが、内装とパワートレインなどが後期型と同じ中期の「330Ci」だ。珍しいグリーンのボディカラーで、内装がグレーレザーシートという初代オーナーの拘りに溢れた仕様だった。
しかし、クルマは遠い中国地方の中古車屋さんであり、即、見に行くことは不可能。お店に連絡を取ってみようかと悩んでいるうちに売れてしまった。全くもって中古車探しでは、良くある話である。逃がした魚は大きいと思ってしまう。正直、このクルマを見つけたことで、冷やかし半分だった私のBMW探しが本格化することになるのだった……。

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