低価格で機能性抜群なハイトワゴンの先駆者「スズキ・ワゴンRスティングレー/ワゴンR」【最新軽自動車 車種別解説 SUZUKI WAGON R STINGRAY/WAGON R】

第六世代となる「スズキ ワゴンR スティングレー/ワゴンR 」。現モデルの登場から6年が経過しているが、19年には新エンジンを搭載、22年の仕様変更では先進安全装備もアップグレード、運転席シートヒーターを全車標準装備など、その魅力は高く維持されている。標準車には5速MTも用意され、こだわりを持つユーザーにもうれしいグレードを提供している。街乗り重視のマイルドな操縦性能と快適性、使い勝手の良さは長く変わらないスタイルで、安心感のある一台だ。
REPORT:安藤 眞(本文)/小林秀雄(写真解説) PHOTO:平野 陽 MODEL:日南まみ

改良で新フェイスを追加設定 使い勝手や乗り心地も高水準

ハイトワゴンの元祖といえば、このワゴンR。今は後席スライドドアのスーパーハイト系に主役の座を譲ったとはいえ、スライドドア車より低価格で燃費も良く、セダン系より乗り降りが楽で多用途性も高いバランスの良さは健在だ。

エクステリア

新グレードとして設定された「ワゴンRカスタムZ」は、専用デザインのヘッドライト、フロントグリル、フロントバンパーを装備。撮影車のボディカラー、デニムブルーメタリックも新色だ。最小回転半径はグレードにより4.4m〜4.6m。

現行のワゴンRは第6世代。2017年のデビューなので、今年で6年目を迎える。いわばモデル末期に突入しているのだが、19年にはエンジンを最新仕様のR06D型に換装し、22年には衝突被害軽減ブレーキをステレオカメラ方式の〝デュアルカメラブレーキサポート〞に変更。運転席シートヒーターを全車標準装備化するなど、度重なる商品改良で十分な商品力を維持している。

外観デザインを複数用意するのは軽ハイトワゴンの常套手段だが、ワゴンRは他社よりひとつ多い3種類。昨年までは、標準車とそのプレミアム版の「FZ」、アメリカンテイストの〝スティングレー〞という3系統だったが、マイナーチェンジで「FZ」を〝カスタムZ〞として独立モデル化。スティングレーにしか設定のなかったターボエンジン搭載車も用意するなど、選択肢を広げた。

乗降性

しかもパワーユニットも3種類。自然吸気エンジンが2種類あり、エンジン単独で使う仕様と、発電機をモーターにも使用するマイルドハブリッド仕様が設定されている(ターボエンジンはマイルドハイブリッド仕様のみ)。さらに標準車の「FX」には、CVTと並んで5速MTもインナップ。

マイノリティを見捨てない配慮は良心的だ。そんなふうに多彩なバリエーションを用意する一方、内装のデザインやスイッチ類の配置は全モデル統一。使い勝手を共通化しながら、色調や加飾で差別化を行なっている。装備面でも差別化されており、ハイブリッドモデルには、ヘッドアップディスプレイをオプション設定。スイッチをオンにしておくと、ドライバーの正面にスクリーンが立ち上がり、速度や各種警告が表示される。

インストルメントパネル

「ワゴンRカスタムZ」はインパネやドアアームレストに専用のブラウンメタリック加飾を採用。スズキコネクト対応ディスプレイオーディオも新たにオプション設定された。

室内の使い勝手が良いのも、ワゴンRの魅力。後席が左右独立してスライドできるのは他車同様だが、ワゴンRは助手席の背もたれが前側にフラットに倒せるから、2mを超える長い荷物を積んでも2名が乗れる。助手席のクッションを引き起こすと、四角いバケツが入っている。ここに運転専用の靴を入れておけば、お気に入りのサンダルやハイヒールから履き替えて安全に運転できる。後席ドアには傘立ても付いており、濡れた傘の置き場所に悩む必要もない。

居住性

自然吸気エンジンの出力/トルクは660㏄エンジンとしては最も小さい36kW/58Nmだが、クルマが軽いのでパワー不足は感じないし、燃費は軽ハイトワゴンクラス№1。ターボ車ならば、市街地から高速道路まで、回転数を抑えた静かなドライブが楽しめる。特にスティングレーは車内が静か。エンジンノイズを抑える吸音材が、標準車より多く使われているからだ。

うれしい装備

後席シートは左右独立でスライドが可能なため、シートに人が座れる状態を保ったまま荷室の奥行きを拡大することが可能。
左右両側の後席ドアには傘を立てた状態で収納できるアンブレラホルダーを装備。傘から滴り落ちた雨水は自然と車外に排出される構造になっている。
月間販売台数   7080台(22年7月〜12月平均値)※ワゴンRスマイルも含む
現行型発表     17年2月(一部仕様変更 22年8月)
WLTCモード燃費  25.2km/l ※ハイブリッド車「FX-S」「ハイブリッドZX」のFF車  

ラゲッジルーム

乗り心地は市街地での快適性を重視した味つけで、操縦性能もマイルド系。いつでもリラックスして付き合えるドライブフィールは、クルマのキャラクターに良く似合っている。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.148「2023 軽自動車のすべて」の再構成です。

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