アウディスポーツが2024年のダカールラリーに向けてサウジアラビアで「RS Q e-tron」のテストを実施

Audi RS Q e-tron
アウディスポーツはこのほど、2024年のダカールラリーに向けて、サウジアラビアでテストを実施したことを報じた。

今年1月に開催されたダカールラリーで遭遇したタイヤのトラブルを再現して原因を調査。これを分析し2024年大会に向けて準備進める

2023年のダカールラリー終了後、チームアウディスポーツはサスペンションおよびタイヤの問題を分析するためのテストを準備した。今年1月に開催されたダカールラリーで「RS Q e-tronは、15日間のイベントで合計14回の表彰台を獲得した一方、様々なトラブルに遭遇。革新的な電気ドライブコンセプトは完璧に機能したが、タイヤの問題により、今年最も重要なこの大会で、マティアス・エクストローム選手/エミール・ベリークヴィスト選手、ステファン・ペテランセル選手/エドゥアール・ブーランジェ選手、カルロス・サインツ選手/ルーカス・クルス選手の各チームは、上位争いからの後退を余儀なくされた。チームは1月から実施してきた分析に加えて、この5月にサウジアラビアでテストを行い、原因の調査を完了した。

アウディモータースポーツ責任者のロルフ・ミヒェル氏は、チームに明確な目標を設定していた。
「私たちのテクノロジー、チーム、そしてドライバーとコドライバーは、優勝争いに参加できるポテンシャルを秘めています。それぞれのステージにおける結果は、それを証明するものです。そのため、タイヤのパンクやその他の小さなトラブルによって順位が後退してしまったことを、非常に残念に思い、解決策を見つける必要がありました。私たちが体系的に計画したテストでは、理論的な分析が行われ、来年に向けての重要なステップとなりました」

アウディのダカールラリー参戦パートナーであるチームQモータースポーツ、マティアス・エクストローム選手、カルロス・サインツ選手、ステファン・ペテランセル選手の3名のドライバーは、この目的のため、5月の第3週にサウジアラビアで数日間にわたって行われたテストに参加した。

チームは、公式タイヤサプライヤーであるBFグッドリッチの2種類のタイヤを使用してパフォーマンスを比較。1月のレースで発生した状況を再現するために、様々なテストコースで走行した。エンジニアは、グラベル(砂利)と砂を含む約13kmの高速コースでパフォーマンス面の調査を行い、石の多い約11kmのコースでは、耐久性とダメージの種類に重点を置いてテストを実施。シャシーは荒れた路面でも効率よく安定して動作する必要があるため、ショックアブソーバーにも焦点が当てられ、シャシーに設置された荷重および加速度の測定センサーが、この分析をサポートした。

Qモータースポーツのチーム代表であるスヴェン・クヴァント氏は次のように総括している。
「今回のテストは、非常に過酷な条件下で実施されました。アウディスポーツがこのテストを完璧にサポートしてくれた結果、走行中のタイヤのパンクを再現することができ、これにより、1月のレース中に発生した状況をより良く分析することが可能になりました。  サスペンションの設定が、タイヤのトラブルに密接に関係していることが判明したために変更を加えました。まだ完璧な解決策を見出したわけではありませんが、このテストは大きな価値があり、私たちは正しい方向に進んでいます」

1月のアクシデントで負傷したカルロス・サインツ選手は順調に回復し、コドライバーのルーカス・クルス選手とともに、今回のテストに参加。このテストでは、ステファン・ペテランセル選手もルーカス・クルス選手とコンビを組んだ。ロルフ・ミヒェル選手は次のように説明している。
「今回のテストは肉体的に非常に過酷なコースで実施されたため、1月に負傷したステファン・ペテランセル選手のコドライバー、エドゥアール・ブーランジェ選手は参加を見送りました。彼の体調はまだ万全ではないため、さらなる治療のため、過度なストレスは禁物です。これは正しい判断だと思います」

マティアス・エクストローム選手は、ペアを組むコドライバー、エミール・ベリークヴィスト選手とテストに参加した。

チームアウディスポーツは、サウジアラビアで行われたテストで、最高42℃の気温と、度重なる強風に見舞われ、チームスタッフにとっても条件は厳しいものだった。電気ドライブシステムとreFuelを使用した低エミッション エネルギーコンバーターを搭載したRS Q e-tronは、問題なくテストを完了。2568kmにわたって高い信頼性を示したRS Q e-tronは、革新的なコンセプトの成熟度を示しただけでなく、厳しい日程のなかでプログラムを体系的に完了することができたのである。

サウジアラビアでのテストはまた、技術的な調査から得られた成果に加えて、意思決定や運転スタイルの面でも貴重な洞察を得ることができた。チームは本拠地に戻り、記録したすべてのデータの包括的な分析を行う予定。このように、アウディとQモータースポーツは、2024年のダカールラリー参戦に向け、開発および組織における次のステップの準備に早速取り組んでいる。

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