日野が乗用車を作っていた時代の流麗なクーペ・コンセプト

日野コンテッサ900スポーツスプリント(1962) コンテッサ1300に至る原型ともいえるモデル【週刊モーターファン ・アーカイブ】

緑の車
今、900ccのこんなモデルがあったら、ぜひとも欲しいと思わせるスタイリングの美しさが魅力。同年、世界をまわり10月の東京モーターショーでもお披露された。
日野唯一の自社開発乗用車であるコンテッサ900。このリヤエンジン&リヤドライブのモデルをべ—スに開発された、2ドアのコンセプトモデルだ。

週刊モーターファン・アーカイブでは、これまでのモーターファンの懐かしい秘蔵データから毎週1台ずつ紹介していく。

解説●佐藤幹郎(60年代国産車のすべて より 2012年刊)

まるでイタリア車のような流麗なスタイリングだが、デザイン&コーチワークはイタリアの巨匠ミケロッティが手がけており、エンジニアリングはナルディという豪華競演が魅力。しかもベースとなったコンテッサのフロントグリルやテールランプはオリジナルを上手く流用しており、こうした点でもミケロッティの選択眼と市販への意欲を感じてしまう。

エンジンは893ccの直4ながら、マニホールドの変更やツインキャブの採用で45ps/5500rpmと強化され、前輪ディスクブレーキや4速MTなどがおごられていた。

車両重量はコンテッサ900(4ドアセダン)よりも約100kgも軽い650kgとなり、最高速度は145km/hをマークしたという。

これほどまでに美しくリヤエンジンを包むリヤセクションにはなかなかお目にかかることはない。

最初に出展された63年トリノショーでは日本フームもあって絶賛され、その後の世界各国のモーターショーでも高い評価を得ていたが、後のコンテッサを見れば、明らかに次世代のスタディであることがわかる。

しかし、後のコンテッサ1300のスタイリングもミケロッティであり、スプリントの目的は、達成されたというべきなのかもしれない。

空力特性の良さそうなフロントセクション

リヤエンジンであることの特徴を活かし、ノーズをおもいきり低くしている。現代ならば樹脂で簡単に造れる先端の造形も、おそらくはスチール製の手作業のはず。フードとの合わせや、開閉機構なども考慮すれば、コストとの兼ね合いでこの造形を量産につなげることは難しいだろう。

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