ラテンの血を感じる!? プリンスから発売されなかった車 1900スプリント

プリンス・1900スプリント(1964) ラテン系パーソナル・スポーツ【週刊モーターファン ・アーカイブ】

最大のポイントは開口部以外の継ぎ目がまったくないこと。 溶接面を丹念に磨いて滑らかな面を造り上げている。
スカイラインやグロリアで名を博した、プリンス自動車工業が手がけたコンセプトカー。
週刊モーターファン・アーカイブでは、これまでのモーターファンの懐かしい秘蔵データから毎週1台ずつ紹介していく。

解説●佐藤幹郎(60年代国産車のすべて より 2012年刊)

ミケロッティなどにも依頼したことがあるプリンスらしく、ベルトーネに在籍し、アルファ・ロメオやランボルギーニを手がけたことで知られるイタリア人のフランコ・スカリオーネ氏とプリンスの井上氏の合作という、イタリアンテイストの軽快なボディがウリのスポーツモデル。

空力を意識した流麗なボディが印象的だが、ポルシェにもフェラーリにもロータスにも影響を受けているといったら言い過ぎだろうか。

サッシレスのドアも特徴だが、何よりも印象深いのはシルバーに色付けされたシートとドア内張り。タイトな室内にゴージャスな印象を与えている。
SUツインカムを採用する1862ccの4気筒エンジンを搭載。見た目のイタリアンテイストもなかなか、エンスージアスティックな心を惹く。

当時は中上級車を手がけるプリンスであったため、プレミアムなパーソナルカーとして登場が期待されたが、1965年に日産との合併が発表されたこともあって(合併自体は1966年)市販されることはなかった。

エンジンは1862ccの直4でSUタイプのツインキャブを装備。最高出力は100ps以上といわれており、トランスミッションは4速MT。エンジン以外はスカイラインのものを流用し、フロントがダブルウィッシュボーンでリヤはリーフリジッド。タイヤは13インチを採用した。

空気抵抗は非常に抑えられており、850kgという軽量ボディもあって、最高速度は180km/h以上という。

ひしひしと伝わる作り手の遊び心

小さなオーバル状のテールエンドと、面形状をぴったり合わせたリヤバンパー。そしてねじ込み式のようなリヤランプは、あり得ないほどに突出した形状を誇示。スプリントという名前から想像される流線のようなスタイリングに、リヤエンド以降の流れをしっかりと造形。

キーワードで検索する

著者プロフィール

MotorFan編集部 近影

MotorFan編集部