1963年にヤナセが提案した "リヤエンジンの4座クーペ”

ヤナセ・カスタムスポーツYX1200(1963) あのヤナセが開発したカスタムメイド・モデル【週刊モーターファン ・アーカイブ】

前後ともにライト類をオーバル状の造形に囲んでコンパクトなフロント&リヤビューを強調。サイドは上部を絞り込んだ小さなキャビンが特徴で、スタイリッシュさを最重視している。
ヤナセが手がける国産のカスタムカーのコンセプト。当時は国産車のデザインはおくれているといわれており、国産車をリードする美しいボディを作るべくヤナセの高浜工場の研究室が中心となって開発された。

週刊モーターファン・アーカイブでは、これまでのモーターファンの懐かしい秘蔵データから毎週1台ずつ紹介していく。

解説●佐藤幹郎(60年代国産車のすべて より 2012年刊)
VW1200のシャシーを用いた、リヤエンジンのレイアウトを持つ。VWらしさを感じさせない、まったく独自の流麗なフォルムに注目。

シャシーはフォルクスワーゲン1200が使われているものの、目的はVWに限らず、スポーティな乗用車を作ることであった。

コンセプトはボディを売ることなので性能面は気にしていないが、開発の現場では輸出も考えた日本的カスタムカーという面も考慮されていたようだ。その際はツインキャブやハイカム、スーパーチャージャー搭載も検討されていたという。

ボディサイズは全長4450×全幅1650×全高1310mm、ホイールベース2400mm。全長はべ—スモデルよりも300mmも伸ばされており、独自の印象を与をるスタイリングとなっている。

ハンドメイドな雰囲気を感じさせるメーターまわり。センターに配置されるのはタコメーター。
助手席のドア。ウインドウ用レギュレーターとその前にはドアオープン用レバーが見える。そして灰皿も備える。ダッシュボードの端にYANASEのロゴが見えるだろうか。

ボディの特徴は取り外しが可能なプラスチック製のルーフで、後席に収納可能となっている。ボディは長くなっているものの2ドアボディで後席スペ—スも割り切られており、こうした点に国産車をリードする美しいボディのコンセプトであることがうかがえる。

ちなみに価格も発表されており、ボディのみが98万円。シャシ—付きは170万円だった。

ルーフを外してオープンエアを満喫

プラスチック製の透明なルーフはそのままでも開放的だが、さらに外すことが可能。可倒式のリヤシー トバック内には、リヤエンジンのバルクヘッドまでの間に荷室空間が設けられ、外したルーフはここに格納。

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