かつては1.95倍 今は? 憧れのポルシェ911 サラリーマンの平均給与の何倍?

最新のポルシェ911は「Type992」2019年の992型ポルシェ911カレラの価格は1359万7222円。現在は1429万円だ。
クルマ好きなら一度は手に入れたいスポーツカーといえば、ポルシェ911だろう。名車中の名車である911。それも”素のカレラ”は、ポルシェ911のエントリーモデル。絶対的には高価だが、価格に見合う価値があるのは、歴史が証明済みだ。さて、素の911カレラ、この四半世紀で価格はどう変わっただろう?

現在のポルシェの経営を支えているのが、カイエンやマカンであることは充分に理解しているが、それでもポルシェのアイコンといえば、RRのスポーツカー、「911」である。

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上の記事で、サラリーマンの平均給与(民間平均給与)の推移とメルセデス・ベンツC200セダンの価格の関係を調べてみた。今度は、クルマ好きの憧れ「ポルシェ911」についてだ。

まずは、こちらのグラフから。

1997年〜2020年 民間平均給与の推移

これは、1997年から2020年の民間平均給与の推移である(データは国税庁給与実態統計調査による)。1997年の467万円をピークに下がり続け、リーマンショック後の2009年には406万円に、その後やや持ち直したが、2020年は433万円だった。

1997年993型ポルシェ911カレラの価格は910万円だった。
1998年996型ポルシェ911カレラの価格は990万円だった。
2005年の997型ポルシェ911カレラの価格は1082万円
2012年の991型ポルシェ911カレラの価格は1115万円

では、911の価格はどう変わっただろうか?

右欄の数字は、素の911カレラの車両価格が民間の平均給与所得の何倍にあたるかを示したもの。

1997年の「993型911カレラ」の車両価格は910万円だった。この年の平均給与所得は467万円。つまり、平均給与所得の1.95倍で素の911カレラが買えたわけだ。

日産スカイラインGT-R(R33型)の価格は485万5000円だった。

同じ年の日産スカイラインGT-R(R33型)の車両価格は485万5000円だった。ついでにいうと、トヨタ・ソアラの最上級グレード「ソアラ3.0GT Gパッケージ」の価格が345万円。1997年当時の467万円とはそういう価値があったわけだ。

21世紀に入った2001年、911は「996型」にモデルチェンジして、素のカレラの価格は990万円になった。ギリギリ1000万円未満である。同じ頃のトヨタ・スープラRZ(A80型)の価格は448万円だった。平均給与所得が454万円だから、スープラRZと平均給与所得は同じくらい。

911は、平均給与所得の2.18倍になった。

これ以降、素の911の価格は上昇を続け、2019年の「992型(つまり最新型)」では、ついに平均給与所得の3倍を突破。いまや3.23倍となってしまった。

ポルシェ911に限らず、スーパーカーと呼ばれるスポーツカーはおしなべて同じ価格上昇の傾向にある。

V8ミッドシップ・フェラーリは
1999年 フェラーリ360モデナ:1645万円
2021年 フェラーリF8トリブート:3328万円
で2.0倍

アメリカン・スポーツの雄であるコルベットは
1999年 シボレー・コルベット:595万円
2021年 シボレー・コルベット:1180万円
で1.98倍だからほぼ2倍。

となると
2000年 ポルシェ911カレラ:990万円
2021年 ポルシェ911カレラ:1429万円

は1.44倍だから、ポルシェはそれほど価格が上がってないとも言える。

問題なのは、この失われた20年間の間に、我々の給料がちっとも上がってない(下がってる!)ということだ。ほかの先進諸外国は着実に収入も増えている。

1990年代は、クルマ好きが頑張って働いたら、素の911カレラ(の程度の良い中古)くらいは手に入りそうな予感がしていたが、それもいまや夢のまた夢(中古の911の価格高騰もあるけれど)。ポストコロナの政治と経済が、上向きのスパイラルになっていくことを、切に願う。そのためにも、選挙に行かなくては。

著者プロフィール

鈴木慎一 近影

鈴木慎一

Motor-Fan.jp 統括編集長神奈川県横須賀市出身 早稲田大学法学部卒業後、出版社に入社。…