2回目のワクチン接種後、どんな影響がある? 果たしてクルマは運転できる? できない?

コロナワクチン接種直後、クルマは運転できるのか? その2

次第に進むコロナワクチン接種。さまざまな副反応の情報が飛んでいるが、果たしてワクチン接種直後にクルマは運転できるのか? また、クルマの運転にどのような影響が出るのかを緊急レポートする第2弾!!

徐々に進みつつあるコロナワクチン接種ですが、「いつになるかわからない」という方々も少なくないでしょう。実際、「日常的にクルマを運転する」という世代の方々は、ほとんど後者なのではないかと思います。

筆者はワクチン接種券配布などの対応が比較的早い自治体に居住していたことと、数年前に余命宣告を伴う大病を患って(その後、手術・治療の成功により余命宣告は撤回)いくつかの後遺症が残ることから、先日、「基礎疾患を有する者」の枠で幸いにしてワクチン接種を無事に終えましたが、じつはこの時に仕事がら気になっていたのは「ワクチンを接種した後に、どの程度の痛みが生じるのか? また、それはクルマを運転できる程度のものなのか?」という点でした。

前回は1回目のワクチン接種後の自動車の運転への影響をレポートしましたが、今回は、巷間、「より副反応が強い」と言われる2回目のワクチン接種後の自動車の運転への影響を、僭越ながらレポートさせていただきます。無論、ワクチンに対する痛みなどの反応は個人差があるため、筆者の体験がすべての方々に当てはまるものではないことをあらかじめお断りしておきます。

第1回目はこちら↓

https://car.motor-fan.jp/article/10019843

2種類のワクチンの特長と副反応の傾向を見てみよう

もうご存知の方も多いと思いますが、2021年7月現在、接種に用いられているコロナワクチンには2種類あります。

一つはファイザー社製のもの、もう一つはモデルナ社製のものです。基本的に自治体の接種においてはファイザー社製が用いられ、大規模集団接種や職域接種などではモデルナ社製のものが用いられているようです。筆者は自治体による接種だったため、ファイザー社製ワクチンを接種しました。

前回のレポートでは書きませんでしたが、JAMA(The Journal of the American Medical Association =米国医師会雑誌)によると、この両者の間には接種後の副反応などに違いが存在するようです。

まず基本的なデータですが、JAMAのデータによると、発症予防効果は94~95%、2回目接種から2週間後の感染リスクは約90%減、接種回数は2回と両者とも差がありません。接種間隔はファイザーが3週間(21日間)、モデルナが4週間(28日間)。アナフィラキシー(アレルギー過敏反応)の発現に関しては100万回の接種あたりファイザーが4.7件、モデルナが2.5件となっています。

また、代表的なワクチンの副反応のうち、クルマの運転に影響を与えそうなものとしては、接種部の痛み、倦怠感(だるさ)、発熱、頭痛が報告されていますが、これらの発現率についても両者に微妙な差があります。

ワクチン副反応の接種部位の痛み

・接種部位の痛み

(1回目) ファイザー:63.6%/モデルナ:71.4%

(2回目) ファイザー:66.5%/モデルナ:78.3%

ワクチン副反応の倦怠感

倦怠感(だるさ)

(1回目) ファイザー:29.1%/モデルナ:32.5%

(2回目) ファイザー:47.8%/モデルナ:60.0%

ワクチン副反応の発熱

・発熱

(1回目) ファイザー:7.0%/モデルナ:10.0%

(2回目) ファイザー:21.5%/モデルナ:37.6%

ワクチン副反応の頭痛

・頭痛

(1回目) ファイザー:24.7%/モデルナ:26.9%

(2回目) ファイザー:40.4%/モデルナ:53.2%

概観した限りでは、アナフィラキシーの発現率はファイザーが高く、それぞれの副反応についてはモデルナの方がわずかに発現率が高いと言えそうです。また、1回目の接種よりも2回目の接種後の方が副反応の発現率が高い傾向にあるようです。

副反応が現れるまでの時間は?

副反応が現れるまでの時間は人それぞれです。まったく出ない人もいますし、かなり重くなる人もいます。

接種後、どれぐらいから副反応と思われる症状が起きるのかについて、残念ながら筆者には公的なデータなり論文なりを探し出す事は出来ませんでしたが、筆者本人の経験や開業医などを含む様々な個人的レポートを突き合わせると、接種後6~12時間後に何らかの副反応が生じる可能性が高いようです。早い人の場合は3時間後から何らかの副反応が現出しているようです。

上記から考えると、「接種後3時間あたりまでは支障なく運転できる可能性が高い」と言えそうです。

2回目の接種後に起こったこと

1回目の接種の時には、接種後にやや腕に違和感を生じ、ハンドル操作に支障が出そうなおそれがありましたが、腕の可動範囲などの詳細は前回のレポートをご覧ください。

2回目となる今回は、「副反応が起きやすく、重くなりやすい」という話を聞いていたことから、相応の準備をしてのぞむことにしました。その一つがスポーツドリンクの摂取です。巷間、「スポーツドリンクのような電解質を含むものを飲むと副反応が和らぐ」という言説があったため、それを信じて接種前後に600mlづつ摂取してみました。

ワクチン接種前後のスポーツドリンク
巷の噂を信じて、摂取前後にスポーツドリンクを飲んでみましたが…。

しかし、後に筆者のかかりつけの医師に確認したところでは、「現状、電解質で副反応が抑制できるという明確なエビデンスはありません」とのこと。どうやらこれは、「副反応で発熱する場合があるので、それに備えて十分な水分を補給できるよう、経口補水液やスポーツドリンクを用意しておいた方がよい」という事が誤って伝わったようです。

ただ、まったくもって「筆者の気のせい」「プラシーボ効果」かも知れませんが、接種前後に相応量のスポーツドリンクを摂取した今回は、ほとんど接種部位の鈍痛や違和感、重い感じが生じませんでした。ですから「まったくウソ」というわけでもないのかも知れません。

これと並んで「ワクチンによる発熱や頭痛に備えて、イブプロフェンやロキソプロフェンといった非ステロイド性抗炎症薬やアセトアミノフェンを用意しておくとよい」という話もありますが、これは厚生労働省のサイトにも出ている通り、事実です。しかし、あくまで「発熱したら」という話であり、必須というわけではありません。また、発熱や頭痛といった副反応が出る前に、予防的に解熱鎮痛剤を繰り返し服用するなどということは推奨されていませんのでご注意ください。

さて、不思議なことに今回は、ハンドル操作に支障が出る左右の腕のヒネリへの影響はまったく感じませんでした。ところが接種後7時間を経過したあたりから、接種した側の腕(左腕)を上方に上げると、違和感を感じるようになり、これが24時間後まで継続しました。自動車の運転への影響として、たとえばサンバイザーを上げ下ろしするような操作に支障が出ることを意味するかと思います。

ワクチン後のサンバイザー操作
注射した部分の違和感が強まった際には、サンバイザーなどの操作に支障が出そう。

参考までに筆者の場合、接種から10時間後に明確な痛みとなり、11時間後には接種した側の腕(左腕)は上方39度以上に上げると、また、側方160度以上に開くと鈍痛が増大しました。

ワクチン後の腕の上がる範囲
筆者の場合は上方約39度へ腕を上げた時に違和感を生じました。
ワクチン後の腕の開き具合
腕を開く場合も筆者の場合は約160度ほどから違和感を生じました。
モデルナ・アームの図

また、接種からかなり時間が経ってから発現する副反応も知られています。最近、話題となっているのは、モデルナ社製ワクチンで起こるとされる「モデルナ・アーム」と俗称される遅延型アレルギー反応です。

これはワクチン接種から1週間程度が経過した後に、注射した部分を頂点とした二等辺三角形の形状の手のひら大の範囲で赤い腫れが生じるというもので、かゆみが出て、触れると痛みを感じると言います。ほとんどの場合は数日でおさまるようですが、患部を冷やしたり、抗アレルギー剤やステロイド剤で対処できるとのことです。かゆみがひどかったり、患部が水ぶくれのようになってきたら、皮膚科を受診されることをお勧めします。

筆者の場合は2回目の接種後、1週間程度を経過したあたりで頸部リンパ節(首のリンパ節)に腫れと痛みが生じました。リンパ節に腫れや痛みが生じる場合は腋窩リンパ節(わきの下のリンパ節)が一般的だそうですが、筆者の場合は大病を患ったことで一部のリンパ節の郭清(リンパ節摘出)を行なっているため、頸部リンパ節に出たとのことでした。

結論として、アメリカなど諸外国や我が国の一部の自治体で、クルマに乗ったまま接種をうける「ドライブスルー接種」が行なわれていることからも、接種後に急激かつ重大な副反応が現出しない限り、接種後から短時間であれば、ワクチン接種は自動車の運転には支障がないと言えるかと思います。

最も重大な副反応は、接種から3時間後以後に起こりやすいようなので、接種から3時間経過以後は、なるべく運転を避ける方がベターでしょう。無論、完全に副反応の影響が消えてから運転を再開することが望ましいのは言うまでもありません。

つたないレポートではありますが、お役に立てていただければ幸甚です。

*この記事には「いらすとや」のイラスト素材を使用しています。

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著者プロフィール

高橋 昌也 近影

高橋 昌也

1961年、東京生まれ。早稲田大学卒。モデラー、ゲームデザイナー、企画者、作家、編集者。元・日本冒険小…