昭和のクラシックカーと巨大鯉のぼりが共演!?『KAZOクラシックカーフェスタ』で超希少車を見た!白洲次郎が乗ったベントレーも展示!!

毎年ゴールデンウィークに埼玉県加須市にある利根川河川敷緑地公園で行われる『第14回加須市民平和祭』。この祭りは全長100mに達する巨大な鯉のぼりが大空高く上がることで全国的にも有名だ。そんな加須市民平和祭のサポートイベントとして開催されるのが『KAZOクラシックカーフェスタ』だ。
REPORT&PHOTO:山崎 龍(YAMAZAKI Ryu)

巨大鯉のぼりとクラシックカーのコラボレーション
5年ぶりの開催となった『第12回KAZOクラシックカーフェスタ』

GW真っ只中の5月3日(金)、埼玉県加須市にある利根川河川敷緑地公園にて『第14回加須市民平和祭』が開催された。このイベントは加須市民が安全・安心な平和な未来の暮らしを平和のありがたさを感謝する市民祭りである。全国有数の鯉のぼりの産地である加須市らしくメインイベントは「ジャンボ鯉のぼり遊泳」で、青空を悠々と泳ぐ全長100m、重量300kg以上に達する日本最大サイズの鯉のぼりを見るために県内を中心に関東一円から大勢の観光客が押し寄せる。

日本有数の鯉のぼりの産地である埼玉県加須市の祭りらしく、『第14回加須市民平和祭』ではイベントの目玉として全長100m、重量300kg以上の巨大鯉のぼりをクレーン車を使って上げる。

そんな加須市民平和祭の見どころはジャンボ鯉のぼりだけでなく、迎え太鼓による歓迎アトラクション、よさこいや演芸、観光大使のなりなさんによるライブなどのステージイベント、フリーマーケット、そして2019年以来、5年ぶりの開催となった『第12回KAZOクラシックカーフェスタ』などのサポートイベントの豊富さにある。

その大きさは圧巻の一言だが、サイズがサイズだけに風量が少ないと鯉のぼりは大空を泳いではくれず、風量が多すぎると危険で上げることができない。

KAZOクラシックカーフェスタの参加レギュレーションは、昭和期(1989年)までに生産された車両(同型車を含む)ということで、イベントスタッフを務める大鹿純一さんに話を伺ったところ今回は約70台がエントリーしているとのことだった。

『第14回加須市民平和祭』は巨大鯉のぼり以外にもサポートイベントが目白押しだ。その中の一環として『KAZOクラシックカーフェスタ』も開催された。写真は埼玉県警によるパトカーの展示と地元ご当地ヒーローの記念撮影会。
『KAZOクラシックカーフェスタ』を主催する加須クラシックカークラブによる開会挨拶。世界的なコロナ禍の影響もあり、今回5年ぶりの開催となった。

地元にあるロールスロイス&ベントレーの私設博物館
『ワク井ミュージアム』が持ち込んだ2台の特別展示車

白洲次郎のイギリス留学時代の愛車だった1924年型ベントレー3L(#653)。

エントリー車の中でも目玉となるのが、加須市内にあるロールスロイス&ベントレーのスペシャルショップに併設された私立博物館『ワク井ミュージアム』が保有している2台のヒストリックカーの特別展示だ。

実業家であり、終戦直後にGHQ占領下で吉田茂首相の側近として活躍した白洲次郎はエンスージアストでもあった。戦前は「ベントレーボーイズ」のひとりとして英上流階級の子弟たちとドライブを楽しんでいたという。

毎回イベントに協力している同博物館が今回会場に持ち込んだのは、白洲次郎がケンブリッジ大学に留学していたときに愛用していた1924年型ベントレー3L(#653)と、F1パイロットのフェルナンド・アロンソがイギリスGPのパレードで乗車した1928年型ロールスロイス20HPの2台だ。とくに白洲次郎のベントレーは、オーナーである涌井清春さんがワク井ミュージアムをオープンさせるきっかけとなった車両でもある。

晩年には初代ソアラのアドバイザーにもなり、自信が愛用していた1968年型ポルシェ911Sを「高級車づくりの参考にせよ」とトヨタに寄贈している。
ところが現在、彼のポルシェはトヨタ博物館には収蔵されていない。ソアラの開発終了後、あろうことかトヨタは彼から贈られた911を処分してしまったらしい。一体当時のトヨタは何を考えていたのだろうか? 

2003年頃、『CAR GRAPHIC』(株式会社カーグラフィック刊)の創刊者である故・小林彰太郎さんから白洲次郎の愛車がイギリスに現存していることを聞いた涌井さんは、小林さんの「戦前のイギリスで日本人が乗っていた貴重なベントレーなのだから、輸入して日本で保存するべきでしょう」との助言に従って輸入を決断したという。

F1パイロットのフェルナンド・アロンソがパレードで使用した過去のある1928年型ロールスロイス20HP。

当初、ベントレーを所有していたオーナーは「家族との思い出が詰まった大切だから手放すつもりはない」と断られたが、粘り強くも誠意ある交渉の末、涌井さんがベントレー・ドライバーズクラブ(BDC)の会員だったこともあり、特別なヒストリーを持つクルマにも関わらず、相場通りの金額で譲ってくれたそうだ。以来、このベントリーは20年もの長きに渡って同博物館のシンボル的な存在として収蔵されている。

東北自動車道の加須インターにほど近い場所にある『ワク井ミュージアム』は国内でも屈指のロールスロイス&ベントレーのコレクションを擁する私設自動車博物館だ。
この博物館をオープンさせた涌井清春さんは『くるま道楽』の屋号で輸入ヒストリックカーの販売を手掛けている。同社は「売らないクルマ屋」としても知られており、20年以上の歳月をかけて涌井さんが世界から集めた300台ものコレクションの中から厳選した車両を展示している。
もちろんロールスロイスやベントレーを中心に豊富な販売車両を擁しており、今回会場に持ち込まれたベントレーとロールスロイスもそんな収蔵車両である。

ロールスロイス&ベントレーのクラシックモデルもエントリー
古今東西の様々な名車が共演する夢のイベント

そんなワク井ミュージアムのある加須市でのイベントだけあって、KAZOクラシックカーフェスタではロールスロイスやベントレーの姿もちらほら散見される。他の旧車イベントだと両車のエントリーは少ないのだが、ロールスロイス・コーニッシュやベントレーT1、シルバークラウドIIなどのエントリーがあった。イギリスのクラフトマンシップを感じさせる超高級車の姿は見ているだけで気分が華やぐ。

1965~76年にかけて生産されたベントレーT1。
1961年型ロールスロイス・シルバークラウドII。

ほかにもガルウイングに改造したダルマセリカ、リトラクタブル・ヘッドランプを備えたオートザム・AZ-1などのカスタムカー、REを搭載する初代マツダ・コスモ、ダットサン・フェアレディ2000(SR311)、ハコスカなどの国産旧車、ロータス・ヨーロッパやスーパーセブン、シムカ1000、シトロエンCXなどの欧州ヒストリックカー、R32型スカイラインGT-Rやホンダ・ビート、R129型メルセデス・ベンツSLなどのヤングタイマー、数は少ないが初代フォード・マスタングなどのアメリカ車も会場に並んでいた。

1965年にデビューしたプリンス・スカイライン2000GT(S54B)。
1973年型トヨタ・セリカ1600GTVのガルウイングカスタム車。国産旧車の世界では「セリカ隊長」の愛車として有名。関東を中心とした旧車イベントの常連でもある。
1970年型マツダ・コスモスポーツ。
1961~78年まで生産されたシムカ1000。
930型ポルシェ911。スタッフの大鹿純一さんは「911を楽しむ会」の会長を努めている縁もあり空冷ポルシェのエントリーも多かった。
今年でデビュー60周年を迎えたフォード・マスタング。写真はターコイズブルーのボディが美しい1966年型マスタング・コンバーティブル。

晴天に恵まれた中、午前中は風量不足で断念したものの午後は適度な風が吹いたこともあり、大型クレーン車で釣り上げられた巨大な鯉のぼりが悠々と大空を泳ぐ。その下を歴史的名車が並ぶ様子はなんとも不思議な光景だ。KAZOクラシックカーフェスタには家族連れでエントリーした人も少なくはなかったようで、クルマ好き意外にも楽しめるプログラムの多さから付き添いで参加した人も含めて、各人は思い思いに祝日を楽しんでいたようだった。なお、会場で筆者気になったクルマは、次回以降に改めてピックアップして紹介していくことにする。

リトラクタブルに改造されたオートザムAZ-1とホンダ・ビート。両車は厳密に言えば昭和のクルマではないが、実行委員会が認めた車両についてはエントリーが可能となる。
俳優のポール・ニューマンがCMキャラクターを務めたことから「ニューマンズ」の愛称で知られる6代目日産スカイライン。鉄仮面のDR30の奥に見えるスカイラインは……詳細はいずれリポートする。
1989~2001年にかけて生産された四代目メルセデス・ベンツSL(R129型)。
1971~89年にかけて生産された三代目メルセデス・ベンツSL(R129型)。

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