令和の今、そのデザインに惚れ惚れさせられる2代目日産フェアレディZ(S130型)

日産フェアレディ280Z
1979年式日産フェアレディ280Z-L 2by2。
2021年11月13日に埼玉県北本市で開催された「第13回クラシックカーフェスティバル2021」。会場にはやはり数多くの日産車が展示されていたが、1970年代後半から1980年代前半にかけての車両は少数派だった。その中で一際目を引いていた2代目フェアレディZ、S130を紹介しよう。

PHOTO&REPORT●増田 満(MASUDA Mitsuru)

240ZG乗りが自分の手で挑んだ280ZのDIY修理劇

国産旧車の人気が高まり中古車価格は高騰を続けている。そんな状況にあって、本来なら数少なかったはずのハコスカGT-RやケンメリGT-R、S30フェアレディZ432などは意外と目にする機会が多い。新車時に数が少なくても人気が高いため残存率が高いからだ。

それとは逆に新車時、そこそこ売れたものの世代が変わって人気を落としてしまった車種を目にする機会は少ない。その筆頭とも言えるのが2代目フェアレディZ、S130系ではないだろうか。

1979年式日産フェアレディ280Z-L 2by2。

なぜS130系の人気が低かったのかといえば、初代に比べ重くなったことで走行性能、特に加速性能が穏やかになってしまったから。けれど、このスタイルを今見ると、改めて「いいな〜」と思われないだろうか。初代より近代化されつつ、フェアレディZとしてのアイデンティティを感じるデザインだと個人的には思うのだ。

日産フェアレディ280Z
2by2はリヤシートを備える4人乗り仕様でBピラー以後の形状が2シーターと異なる。

会場に展示されたS130はわずか1台。とても良い状態にされていて思わずお話を聞いたところ、以前の記事で紹介したフェアレディ240ZGと同じオーナー、橋本康之さんの所有車だった。

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1人で2台エントリー、しかも世代の異なるフェアレディZとくれば相当なマニアだと誰しも思うところ。ところが橋本さん、ただのマニアどころではなく筋金入りの旧車乗り。というのも、このS130は自分の手でボディから腐った個所を除去して補修、全塗装までされていたのだ。

日産フェアレディ280Z
アルミホイールを社外品にしている。

入手時からボディには所々サビが見受けられた。旧車にサビは付き物だが、酷い場合だとサビだけでなく鉄板が腐って穴が空いてしまうこともある。このS130やスカイライン・ジャパンなど70年代後半に作られたモデルはサビの進行が早いことでも有名。ボンネット先端やカウルトップ、フェンダーまわりなどは要注意個所だ。

この個体もボンネット先端のサビが酷く、橋本さんは自らの手で腐った個所を除去してプレスラインを再現したという。ボンネットとバンパーの間には本来なら樹脂パーツがあるのだが、それを外してメッキパーツで代用しているそうだ。

日産フェアレディ280Z
サビが酷かったボンネット先端。
日産フェアレディ280Z
ヘッドライトカバーを装着した。

今ではFRP補修キットなどが数多く市販されているので、ボディの修理もDIYでできないことはない。けれど実際にやってみると納得できる仕上がりとは程遠いものになってしまうのが普通。ところがこのS130は素晴らしい状態に甦っている。橋本さんのセンスと手先の器用さを反映してのことだろう。

また全塗装する時に選んだのは純正色ではなく、シルバー部分をグレーメタリックにしている。しかも難しいツートンカラー、俗にいう「マンハッタンカラー」風にしている。

日産フェアレディ280Z
こちらが純正のマンハッタンカラー。

純正を尊重することも旧車の楽しみ方の一つだが、こうして自分好みに仕上げてみるのも大いにアリではないだろうか。純正のように見えて、実はちょっと違う。マニアなら判断できるけれど、そうではない人から見れば普通っぽい。こうした楽しみ方もオツなもの。

外装の楽しみ方同様、室内にもちょっとずつ違う部分がある。赤系のインテリアは時代を感じる部分だが、こうしたところはあえて変えない。また旧車だと真っ先に変更されてしまうことが多いステアリングホイールも、なんと純正のまま。ところがダッシュボード中央付近に配置されている3連メーターはすべて社外品にされている。しかも3個とも斜めに取り付けて普段乗る時に針が上を向くようにしているあたり、こだわったポイントなのだろう。

日産フェアレディ280Z
内装は大きく手を加えていない。
日産フェアレディ280Z
運転席正面のメーターパネル内。
日産フェアレディ280Z
ダッシュボード上の3連メーターは社外品に変更。

フェアレディZといえば2シーターというイメージが強く、4人乗りの2by2は一段低く見られる傾向にある。けれど、このクルマのように大排気量の280Zで2by2だと、ピュアスポーツカーというよりラグジュアリーなモデルとして魅力的に見える。再評価されていいと思われないだろうか。

日産フェアレディ280Z
痛みやすいフロントシートもオリジナルのまま。

エンジンは純正のL28E型のまま。このエンジンはハコスカやS30フェアレディZのチューニング用として有名。ピストンやクランクシャフトを変更すると3リッター以上にまで排気量アップができることから、80年代のチューニングシーンに欠かせないものだった。ところが橋本さんは吸気系を変更することも、排気量を引き上げることもせずノーマルを維持されている。残存数が少ないS130のなかにあって、税率が高く新車販売台数がごく少数だった280Zは特に希少。できればこの状態で末長く楽しんでいただきたいと感じられた1台だ。

日産フェアレディ280Z
直列6気筒のL28E型エンジン。
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増田満

小学生時代にスーパーカーブームが巻き起こり後楽園球場へ足を運んだ世代。大学卒業後は自動車雑誌編集部…