【プロが選んだ思い出の愛車・ベスト3】初のイタ車、フィアット124スパイダーがその後の人生を変えてくれた!(まるも亜希子)

ときに舌鋒鋭く自動車をレビューするモータージャーナリストは、どのような愛車とともに人生を過ごしてきたのだろうか。まるも亜希子さんが挙げた最も思い出深い愛車は、モータージャーナリストへの道を歩むきっかけとなった1台だった。

TEXT●まるも亜希子(MARUMO Akiko)

3位:フォード・マスタング(5代目後期型)

「OHVはドロドロというより軽やか! 高速コーナーも気持ち良く駆け抜けられた」

大学の卒業旅行で初めて行った海外がLAだったのですが、当時全米で大ヒットしていたのがこの5代目フォード・マスタング。LAの街中や海沿いはもちろん、ルート66を走る姿がそれはそれはカッコよくて、いつか乗りたいなと強く憧れて帰国したのでした。ただその後、入社した某雑誌編集部は薄給で(笑)、まったく新車のマスタングが買える希望は持てず、10年後にようやく中古のV6クーペを手に入れることができたのでした。

でも初めて手にしたOHVエンジンはドロドロ感よりも軽やかさが印象的で、一発の加速より、だんだんと伸びていく加速フィールがとても心地いいクルマ。適度なユルさのあるボディでしたが、高速コーナーも意外や気持ちよく駆け抜けていくところが最高に気に入っていました。強面のせいか、まったく煽っていないのに、前を走るクルマがどんどんよけてくれるという、不思議な現象も面白かったですね。またいつか、乗りたいクルマです。

フォード マスタング
初代は1964年に登場し、コンパクトかつスポーティな「ポニーカー」の1台として大ヒットを飛ばしたフォード・マスタング。1994年にバトンを引き継いだ5代目は日本にも正規輸入された。99年にはマイナーチェンジを受け、角張ったヘッドライトを新採用するなどフロントマスクが一新された。

2位:ホンダCR-Z

「コンセプトカーが出展された時点で一目惚れ! 10年15万キロを走破」

2007年の東京モーターショーに出展されたコンセプトカー、CR-Zコンセプトに正真正銘の一目惚れ。量産車が出たら買いますと宣言し、発表と同時に販売店に駆け込んで契約した初めての愛車です。

前傾姿勢で今にも走り出しそうな躍動感あるスタイルの2+2シータークーペというところと、世界初の量産ハイブリッドスポーツカーという点が大きな魅力で、6速MTとCVTがあり、悩みつつも「これからのスポーツカーはCVTだろう」と考えてCVTをチョイス。

1.5Lのシングルモーターハイブリッドでしたが、走りのバランスがよくてどこを走っても気持ちが良く、どれだけ走っても飽きないクルマでした。TYPE-Rみたいなヤンチャ感はなく、意外に草食男子?なところがまた私にはちょうどよかったのだと思います。

10年15万km乗ったところで、子供が後席に座って「狭い」と文句を言うようになってきたので、泣く泣くお別れしましたが、今も街中で見かけると目で追ってしまいます。

ホンダCR-Z
1.5L i-VTECエンジンとモーターを組み合わせたハイブリッドスポーツカー、ホンダCR-Zは2010年発売。10・15モード燃費は25.0km/Lを達成し、俊敏な走りとエコを両立していた。2010-2011日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞。
ホンダCR-Z
「小股の切れ上がった(死語)」スタイルもCR-Zの魅力。絞り込まれたキャビンとエクストラウインドウが織りなすリヤビューが美しい。
ホンダCR-Z
ステアリングホイールから手の届きやすい位置にスイッチを配置するなど、インパネもスポーティさと機能性の両立が図られている。

1位:フィアット124スパイダー

「『Tipo』の編集部員になるきっかけとなった、初めてのイタリア車」

1970年代にピニンファリーナのデザインで登場した、2+2シーターのコンバーチブル。本当はフォルクスワーゲン・カルマンギアのコンバーチブルが欲しかったのですが、高くて買えなかったのでコチラになったという、ちょっと残念な出会いではあったものの、イエローにオールペンしたら見違えるようにステキなクルマに。1.8Lのキャブエンジンで4速MT、パワステなしという時代遅れな感じでしたが、当時はまだ大学生で体力もガッツもあったので(笑)、20年落ちのクルマでもけっこう楽しんで乗っていたものでした。

それに何より、今の私があるのはこの124スパイダーのおかげなのです。初めてイタリア車に乗るってことで、ショップの人に勧められて『Tipo』を読み、編集部員募集に応募したところで人生が大きく変わったのでした。

最近はなかなか街中で見かけることは少なくなってしまいましたが、その代わり40年あまりの時を経て「後継」と呼ばれるアバルト124スパイダーが登場。中身はまったく違っても、少しだけ面影があるので懐かしい気持ちになりますね。

フィアット124スパイダー
1966年にデビューしたフィアット124スパイダー。先んじて世に送り出されていたセダンとは異なる美しいオープンボディはピニンファリーナの手によるもの。ちなみにこの写真は広報写真で、ステアリングを握る女性はまるも亜希子さんではありません。
日産シルビア

【プロが選んだ思い出の愛車・ベスト3】初めてのスピンもドリフトも日産シルビア(S13型)で経験した

ときに舌鋒鋭く自動車をレビューするモータージャーナリストは、どのような愛車とともに人生を過ご…

キーワードで検索する

著者プロフィール

まるも亜希子 近影

まるも亜希子

カーライフ・ジャーナリスト。20年以上に及ぶ国内外での取材経験を生かし、雑誌・ウェブサイト・ラジオ・…