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心が高鳴るほど魅力的な室内 力強いドライブフィールも◎

シトロエンから2014年に独立したプレミアムブランドのDSのエントリーモデルとなる、まさしく小さな高級車である。
エクステリア




DSオートモービルにとって2番目の完全なニューモデルとして19年に日本に導入された当初は、車名に「クロスバック」が付いていたが、23年5月のマイナーチェンジでシンプルに「DS3」に改名されたほか、灯火類を含め前後のデザインが変更され、装備や安全性の強化が図られるなどした。試乗したのは「オペラ」だ。パリで生まれ育ったDS3は、やはり「見る人を惹きつけてやまない」というデザインこそ真骨頂に違いない。Bセグながら全幅が1800㎜近くあり、ふくよかな面構成のボディパネルや各部の印象的な意匠が相まって見た目にも存在感がある。ボディカラーは全4色でルーフはいずれもブラックのバイトーンカラーとなる。
乗降性


「乗るたびに心が高鳴る」という車内空間も印象深い。ひし形のモチーフをズラリと並べたインパネの中央には、タッチコントロールとセンターエアアウトレットが配されている。上質なナッパレザーで仕立てられたインテリアは、腕時計のストラップをイメージしたという独特のデザインのシートも目を惹く。〝クル・ド・パリ〞と呼ぶ、キラキラ輝くシフトセレクターまわりのデザインも個性的だ。センターコンソールにはパワーウインドウやドアロックのスイッチが集約して配置されている。
インストルメントパネル

当初は7インチだったディスプレイが、10.3インチに拡大されたおかげで格段に見やすくなった。さらに、人工知能がChatGPTで応答し、クルマとのインタラクティブな対話を実現するという「DS IRISシステム」が搭載されたのも新しい。これによりカーナビの目的地設定やエアコンの温度設定などさまざまな機能を日本語の発話で操作できるようになった。また、周囲の状況を俯瞰映像で表示する「360度ビジョン」も搭載される。全長4000㎜あまりのクルマでも、やはりあると重宝する。
居住性


フル5シーターでクラス最大級の約350ℓの荷室を備えているのもDS3の強み。実際、後席にも成人男性が大きな不満を感じることなく座れる広さが確保されている。可変ジオメトリーターボチャージャーを備えた1.5ℓBlueHDiディーゼルエンジンには、8速のトルコンATが組み合わされる。リニアな特性で扱いやすく、低回転で300Nmの最大トルクを発生するだけあって低速から力強く加速できる。3気筒ではなく4気筒なので回転を上げてもエンジン音が安っぽくなく、DSブランドの一員らしく音や振動が車内に侵入しないよう手当されていることも窺える。
うれしい装備





月間販売台数 NO DATA
現行型発表 19年6月(マイナーチェンジ 23年5月)
WLTCモード燃費 21.0 ㎞/ℓ

ラゲッジルーム


足まわりはシトロエンに通じるしなやかさを感じさせる中にも引き締まった感覚があり、やや腰高ながらコーナリング時のロールがよく抑えられていて、回頭性も比較的俊敏に味付けされている。これまたDSブランドに相応しく洗練されたドライブフィールに仕上がっている。24年2月には、ファッションから着想を得たという特別な「DS COLLECTION」モデルが新たに発売されたばかりだ。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.159「2024-2025 コンパクトカーのすべて」の再構成です。