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好きなクルマの好みは人それぞれだが、クルマ好きを二分するならば、小まめにクルマを乗り換える人と1台を長く愛する人になると思う。私は後者のタイプだ。
免許取得より20年ほどが経過したが、購入した愛車は、全部で5台のみ。しかも、同じ車種を2回購入したことがあるので、ベスト4ならば、すべての愛車が紹介できたのに残念…(笑)。そんな限られた愛車遍歴からのベスト3を紹介したい。
3位:アルファロメオ・スパイダー(2代目)
「はじめは照れくさかったが、しだいにオープンカーのトリコに」
まずは知人から入手した2代目アルファロメオ・スパイダー。当時でも12年落ちということもあり、消耗部品等の劣化などはあったが、オーナーが大切にしていたもので、まずまずのコンディション。しかもディーラー車でありながら、カタログ仕様にはないホワイトボディとタンのソフトトップとレザーシートというレアな組み合わせが気に入り、即決。個人売買なので、安価で譲ってくれた。
はじめはオープンカーに乗る照れくささこそあったが、風の心地よさやドライブ中の景色の美しさに感激。この経験が私をオープンカー好きにしてくれた。エンジンは、名機と呼ばれたツインスパーク。パワーはそれなりだが、回す喜びのあるアルファロメオらしいエンジンであった。
しかし、最大の魅力は、ピニンファリーナによるデザイン。癖は強いが、魔性の魅力に溢れていた。残念ながら、個人的な事情で手放してしまったのだが、その後、手頃なスパイダーを見つけ、再び購入。今度は中期型となる2003年式の3.0L V6モデルだった。
このV6は、沸き上がるパワーと痺れるサウンドが快感。しかもブラックのボディにレッドの内装という組み合わせも、シブかった。こちらは短い期間で手放ししてしまったこともあり、また乗りたいと思ってしまう一台だ。


2位:スバルWRX STI(VAB型)
「最後のEJ20型エンジンのために清水の舞台から飛び降りた!」
スバルの名機EJ20型エンジンの生産終了のアナウンスをきっかけに、清水の舞台から飛び降りる思いで購入した人生初の新車である。せっかくなので、人気色に捕らわれず、最終型でしか選べなかった「マグネタイトグレー・メタリック」のボディカラーとリヤスポレス仕様にこだわった。
私のSTIは標準仕様なので、上位の「タイプS」よりも装備こそ落ちるが、走行面での大きな機能の差はなく、ブレンボ製6ポットブレーキキャリパーもしっかりと装着されている点が嬉しいところ。グレーのボディと黄色のキャリパーのコントラストも、スポーツモデルらしくて良い。ただキャリパーが目立つので、洗車の際に時間がかかってしまうのが、玉に瑕だが…。
納車直後は乗り味の硬さが気になったが、前後にSTIフレキシブルパーツを装着した結果、ステアリングの初期応答が良くなり、なんと乗り味も向上。カヤバ製ダンパーの足周りでも、不満に感じることはなくなったのには驚かされた。エンジンルームに鎮座するEJ20型エンジンは、結晶塗装の赤いインテークが美しい。
街中でも乗りやすいが、加速時などの鋭さは、ドライバーの気分を高揚させてくれる。今どきのクルマと比べると走行中の車内は賑やかだが、そこもクルマらしくて良いと思っている。


1位:日産180SX
「自分にとって永遠のヒーロー! クルマの愉しさが凝縮されていた」
やはり永遠のヒーローといえば、最初に手にした愛車である日産180SXだ。当時、頭文字Dが大ブームとなっていたが、今のように高値安定の走り屋クルマは限定的で、流通量の多い車種であれば、頑張れば購入できる価格にあった。私も車両購入費のためにバイトに精を出していたことが懐かしい。
念願叶い愛車を手にしたのは、大学3年の終わりのこと、改良を受けた黒ヘッドと呼ばれるSR20DETエンジンを搭載した中期型のタイプRだった。元々、走り屋仕様だったようで、デカいウィングとヘタリ気味の足周りが装備されていたが、それらを取り払い、純正サイドスカートのみのシンプルな仕様に戻して乗っていた。
ただマフラーは、社外品のRS-Rのものが取り付けてあったのはそのままに。なかなかの快音を響かせていたため、当時、両親に帰宅して来るのがわかると言われたほど。今、振り返るとご近所さんには申し訳ないばかりである。
もちろん、愛車とは色々なところに出かけた。さらに大学への通学にも使っていたので、年間の走行距離は、2万kmを超えたほど。バイト代の多くはガソリン代に消えたが、それでもハイオクでも90円台の時代だったから、積極的にクルマを乗り回すことが出来た。
180SXは、完全にエンジンがボディに勝っていたため、じゃじゃ馬的であったが、軽快でパワフルな走りには、クルマの愉しさを凝縮されていた。14万kmを超えたところで、別のクルマに乗り換えたが、できれば手元に残して、仕上げて一生愉しみたかった一台である。その想いからか、今なお、私は愛車を手放すのが下手なのだ。

