アウディA3 1.0ℓ直3ターボ+48VマイルドHEV搭載モデルはゴルフと比べて、価格なりの価値があるか?

アウディA3 Sportback 30TFSI 1st edition 車両価格○453万円
アウディA3がモデルチェンジして第4世代になった。第3世代にあたる先代と同様、横置きエンジン用モジュールプラットフォームのMQBを採用する。第8世代に移行した新型フォルクスワーゲン(VW)ゴルフと同じだ。「ということは、中身はゴルフ?」「それなのにこんなに高いの?」と思ったかもしれない。先代までは。

TEXT & PHOTO◎世良耕太(SERA Kota) PHOTO◎Motor-Fan

価格で引っかかりを感じる人はA3を選択せず、VWゴルフを買う。A3を選択する人は価格のこともゴルフのことも気にせず、A3のデザインに惚れて買う。といった傾向があったそうだ。先代までは。

A3 Sportback 30TFSI 1st edition 車両価格○453万円(レギュラーモデルの30TFSI advancedは351万円)
VWゴルフe-TSI Active:317万1000円

では新型はどうだろうか。エンジンはA3もゴルフも2種類ラインアップし、排気量が小さいほうはどちらも1.0ℓ3気筒直噴ターボ(ガソリン)で、最高出力/最大トルクは81kW/200Nmだ。ゴルフのベースグレードはeTSI Active Basicで295万9000円。A3のベースグレードは30 TFSIで319万円である。その差23万1000円だ。装備が充実したひとつ上のグレードは、ゴルフがeTSI Activeで317万1000円。A3は30 TFSI Advancedで351万円である。価格差は33万9000円だ。

A3の肩を持っておくと、ゴルフとはエクステリアとインテリアのデザインが異なるだけでなく、ハードウェアも異なる。マクファーソンストラット式のフロントサスペンションを採用するのは両者に共通しているが、ロワーアームを支えるサブフレームはゴルフの1.0ℓ版がスチール製なのに対し、A3のサブフレームはアルミ製だ。ボンネットフードもゴルフがスチールなのに対しA3はアルミで、軽量化を意識しているのがわかる。

新型アウディA4 Sportback

全長×全幅×全高:4345mm×1815mm×1450mm ホイールベース:2635mm
最小回転:5.1m トレッド:F1545mm/R1530mm 最低地上高:140mm
車両重量:1320kg 前軸軸重810kg 後軸軸重510kg

新型VWゴルフeTSI Active

全長×全幅×全高:4295mm×1790mm×1475mm ホイールベース:2620mm
最小回転:5.1m
車両重量:1310kg

新型ゴルフは先代に対してホイールベースを15mm短くして2620mmにしたが、A3はそのままで2635mmだ。新旧で比較すると、A3の全長は20mm伸びて4345mmになり、全幅は30mm広くなって1815mmになった。ボディサイズの拡大にともない、前席のヘッドルームやエルボールーム、後席のショルダールームとエルボールームは、寸法上、一桁のミリ単位で拡大している。

インテリアもゴルフとA3でだいぶ印象が異なる。家のリビングルームに例えれば、ゴルフは壁紙をそのままに、テレビを最新の大画面4Kに変えただけの印象だ。アウディはいったん壁をバラして部屋ごと作り直し、最新のデジタル家電に総取っ替えした印象がある。しかも、A8、A6、Q3、e-tronなどと共通した、最新のアウディ流デザインテイストでまとめられている。空間がコンパクトなだけで、上質さにおいて、上位モデルに引けを取らない。

排気量が大きいほうのエンジンは、ゴルフが1.5ℓ直4ターボ(150ps/250Nm)なのに対し、A3は2.0ℓ直4ターボ(190ps/320Nm)となる。A3の2.0ℓ版は40 TFSI quattroシリーズで、車名が示すとおり(2WD=FF)ではなく4WDだ。40 TFSI quattroシリーズは2021年秋頃に導入の予定。A3にはもうひとつモデルがあり、高性能スポーツバージョンのS3をラインアップする。やはりクワトロだ。エンジンは40 TFSI quattroシリーズと同じ2.0ℓ直4ターボだが、最高出力/最大トルクは310ps/400Nmに引き上げられている。

エンジン形式:直列3気筒DOHCターボ エンジン型式:EA211型(DLA) 排気量:999cc ボア×ストローク:74.5mm×76.4mm 圧縮比:11.4 最高出力:110ps(81kW)/5500rpm 最大トルク:200Nm/2000-3000rpm 過給機:ターボチャージャー 燃料供給:筒内燃料直接噴射(DI) 使用燃料:プレミアム 燃料タンク容量:47ℓ

真夏を思わせる陽気だった6月上旬の箱根で触れたのは、A3の日本導入を記念し、装備を充実させた1st edition(453万円)だ。1.0ℓ3気筒ターボエンジンを搭載する30 TFSI系をベースに、快適装備や先進運転支援システムを満載。レギュラーモデルでは選択できないルーフレールや専用デザインのアルミホイールを装備するのが特徴だ。インテリアでは、鮮やかなブルーの差し色を配したフロントシートが特徴である。

1st editionのタイヤは225/45R17
ピレリ Cinturato P7
リヤサスペンションは、1.0ℓエンジン車はTBA(トーションビーム式)
フロントはマクファーソンストラット式

パワートレーン系では新型のゴルフ8と同様、48Vマイルドハイブリッドシステムを組み合わせたのが最大のハイライトだ。車載電装系を駆動する12Vの4倍の電圧である48Vで作動するベルトスタータージェネレーター(BSG)を、従来のオルタネーターと置き換えた格好。減速時に回生したエネルギーを前席下のバッテリーに蓄えておき、スロットルをオンにした際はエンジン出力をアシストする。

48Vマイルドハイブリッドシステムの最大の恩恵は、アイドルストップからのエンジン再始動が極めてスムーズなことだ。振動対策も進んでいるのだろう。低車速・低回転域で発生しがちな3気筒特有のゴロゴロした振動は、新型A3ではよく抑えられている。粗探しをしない限り意識することはない、と言っていいだろう。BSGのアシストもあって日常的な走行で力不足を感じる心配はない。加えて、静粛性の高さに驚いた。

上り勾配の山道を堪能するようなペースであっても、力不足は感じない。1.0ℓ3気筒エンジンを搭載する30 TFSI系のベースグレードは16インチ、その上は17インチのタイヤ&ホイールを装着するのに対し、1st editionはS lineと同じ、もっと言うとS3と同じ18インチサイズ(225/40R18)のタイヤ&ホイールを装着する。見た目を重視したのと引き換えに「乗り味は硬め?」と覚悟したが、ロール/ピッチ系の動きはマイルドで、突起乗り越えなどの強い入力はしなやかにいなす。

A3の生産は本国インゴルシュタット工場だ。

310ps/400Nmの最高出力/最大トルクを発生するS3の動力性能をしっかり受け止めるボディやサスペンションの作りをしているのだから、110ps/200Nmなど朝飯前なのだろう。どんなに振り回しても、とことん平和である。新型A3の惚れどころはデザインだけにあらず、という印象だ。

A3 Sportback 30TFSI 1st edition
全長×全幅×全高:4345mm×1815mm×1450mm
ホイールベース:2635mm
車重:1320kg
サスペンション:Fマクファーソンストラット式 Rトーションビーム式
エンジン形式:直列3気筒DOHCターボ
エンジン型式:EA211型(DLA)
排気量:999cc
ボア×ストローク:74.5mm×76.4mm
圧縮比:11.4
最高出力:110ps(81kW)/5500rpm
最大トルク:200Nm/2000-3000rpm
過給機:ターボチャージャー
燃料供給:筒内燃料直接噴射(DI)
使用燃料:プレミアム
燃料タンク容量:47ℓ
モーター:
 最高出力:13ps(9.4kW)
 最大トルク:62Nm
駆動用バッテリー:44V
トランスミッション:7速DCT

WLTCモード燃費:17.9km/ℓ
 市街地モード 14.9km/ℓ
 郊外モード 17.6km/ℓ
 高速道路モード 20.0km/ℓ
車両価格○453万円

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著者プロフィール

世良耕太 近影

世良耕太

1967年東京生まれ。早稲田大学卒業後、出版社に勤務。編集者・ライターとして自動車、技術、F1をはじめと…