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数少ないデュアロジック搭載 オープントップモデルも必見

最初にフィアット500が日本市場にお目見えしたのは2008年2月。昨今は紙のカタログをなくす方向で最新の同車も例外ではないが、導入時に配布されたスパイラルノート式のカタログ(英語のUK版だった)は、セルロイドのページに印刷されたオプションのストライプやルーフデカールをクルマの写真の上に重ねて見ることができたりと、いかにもこのクルマらしい遊び心満載の、ページを捲るだけでも心弾ませてくれる内容、構成のものだった。
エクステリア




途中マイナーチェンジがあったものの、基本的に最初期型と大枠は変わらず17年目(!)に突入という実に息の長いモデル。そればかりか、この4月には新グレートの「1.2ドルチェヴィータ」を追加、それをベースにした限定車(いったい何台目の限定車だろう!?)もリリースするなど、BEVの500eがある今でも現役感は十二分。とはいえあの2気筒ツインエアはすでにカタログ落ちしており、目下のICE車のラインナップは、結局当初からあった4気筒の1.2ℓ車のみで、500と電動ソフトトップ仕様の500Cの2モデル、計3グレードの用意となっている。いずれも2ペダルのデュアロジックのみの設定だ。
乗降性


ところでこのクルマの魅力は何か?といえば、日本の軽自動車+α程度のコンパクトな実用車でありながら、実にチャーミングでタイムレスな姿カタチをしている点だろう。実用性でいえば、アップライトな着座姿勢により室内空間は必要にして十分以上だし、外観同様にクラシカルな〝先代〞をモチーフにしたインパネのデザインも見飽きない。また気軽にオープンエアが楽しめる500Cも魅力。この場合、全開にすると畳まれたトップが後方視界を遮るので、リヤウインドウを残した位置で止めるといい。
インストルメントパネル

乗り味は2300㎜のホイールベースゆえ、1〜2名乗車時のピッチングが小さくないのは事実。だが厳密に燃費を厭わないのであれば、手段のひとつとしてラゲッジルームにミネラルボトルを1ケース載せておくと乗り心地はずいぶん落ち着く。
居住性


現在は1.2ℓのみの設定となったが、このエンジンはイザという加速時のパンチこそ控えめながら、4気筒のスムーズで穏やかなエンジンフィールは心地いいし、高速道路をサラッと流した際の実燃費は、むしろツインエアを上回るほど。スポーティという説もある勇ましくピーキーなツインエアに対して(筆者は1.2ℓとツインエアの両方の所有経験がある)クセのないエンジン特性は運転しやすく快適性も高い。メーカーのホームページで見ることになる最新の主要諸元&装備表をチェックしてみると、ステアリングが〝レザー調〞の表記になっているのを発見。従来型の本革はオフホワイトの表面塗装が走行距離に比例して部分的に見苦しく剥げてきたから、あるいは合理的な対策なのかもしれない。
うれしい装備





月間販売台数 NO DATA
現行型発表 08年2月(「1.2 DOLCEVITA」追加24年4月)
WLTCモード燃費 18.0 ㎞/ℓ「1.2 CULT」

ラゲッジルーム


機能面では500e同等にADAS関連の機能の搭載を本当は望みたいところだが、クルーズコントロール、パドルスイッチ、7インチタッチパネル、Bluetooth、USBポートなどの標準装備は、今や常識とはいえ初期型オーナーからすれば羨ましいアイテムでもある。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.159「2024-2025 コンパクトカーのすべて」の再構成です。