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■ダイハツ・ビーゴのOEM車、ラッシュがデビュー
2006(平成18)年1月17日、トヨタの「ラッシュ」がデビューした。ラッシュは、トヨタとダイハツが共同で企画し、ダイハツ主導で開発されたコンパクトSUV。ラッシュは、ダイハツからのOEM車という形で、同時にダイハツからは「ビーゴ」として発売された。

積極的に小型車の共同開発を進めたトヨタとダイハツ
トヨタは、1997年にダイハツへの出資比率を34.5%から51.2%に引き上げ、ダイハツはトヨタの連結子会社になった。これを機に、両社はまず共同でリッターカー「パッソ/ブーン」の開発に着手。トヨタが企画とマーケティングを、小型車の開発ノウハウに長けているダイハツが開発と生産を担当した。2004年にデビューした初代パッソと2代目(2010年~)は、共同開発の兄弟車という位置付けだったが、3代目(2016年~)からはOEM車という位置付けとなった。

ラッシュは、ダイハツ主導で企画から開発・生産まで行なったので、最初からダイハツ・ビーゴのOEM車という位置付けだった。

ちなみに、ビーゴの先代は同じくコンパクトSUV「テリオス」であり、これもトヨタでは「キャミ」として1999年~2005年までOEM車として販売されていた。テリオスは、1.3L直4 SOHCエンジンを搭載したオフローダーで、本格的なメカニカルセンターデフ付きのフルタイム4WDを搭載して、優れた悪路走破性を発揮した。テリオス/キャミは、コンパクトで使い勝手の良いオフローダーとして、堅調な販売を記録した。
小型車ながらエンジン縦置き本格オフローダーのラッシュ
2006年1月のこの日、トヨタしては最小サイズのSUVとしてラッシュがデビューした。ラッシュのボディは、強靭なビルトインフレーム式モノコック構造を採用した、小型車ながら本格オフオーダーである。

スタイリングは、初代「RAV4」を小さくしたようなフォルムで、リアゲートに配置したスペアタイヤがオフローダーらしさをアピール。パワートレインは、最高出力109ps/最大トルク14.4kgmを発揮する1.5L直4 DOHCエンジンと5速MTおよび4速ATの組み合わせ。

駆動方式は、FRとセンターデフ式4WDを設定。4WDには、スイッチ操作でセンターデフをロックする機構を盛り込み、オプションで後輪用LSD(リミテッドスリップデフ)も用意された。最低地上高200mmが確保され、足回りは前がストラット、後は5リンク式、16インチタイヤを履き雪路でも高い走破性が自慢だった。

車両価格は、4WDの標準グレード170.1万円(5速MT)/178.5万円(4速AT)に設定。その後、内外装のリファインやVSC(車両安定装置)やTRC(トラクションコントロール)を標準装備するなどして、2016年に約10年のモデルライフに終止符を打った。ヒットモデルではなかったが、アウトドアを楽しむ若者からは支持された。
ラッシュ/ビーゴの後継モデルはライズ/ロッキー
ラッシュ/ビーゴの生産停止から約8年8ヶ月ぶりに、後継車に相当するコンパクトSUVのトヨタ「ライズ」とダイハツ「ロッキー」が2019年11月にデビューした。ラッシュ同様、ライズはロッキーのOEM車である。

エンジン縦置きでFRベースの本格オフローダーだったラッシュに対して、ライズはDMGA(ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャ)プラットフォームを採用し、悪路走行だけでなく街乗りでも快適に走れた。
4WDシステムは、横置きFFベースのダイナミックトルクコントロールを採用。発進時およびタイヤがスリップしやすい路面を走行するときに、車両の状態に最適なトルクを後輪へ配分して、安定した走りを見せるのが特徴である。

ライズのパワートレインは、98ps/14.3kgmの1.0L直3 DOHCターボと「D-CVT」と呼ばれるCVTの組み合わせで、ハイブリッド車も追加された。
ラッシュ/ビーゴが本格オフローダーであるのに対して、後継のライズ/ロッキーは今風の街乗りもオフロードも快適に走れる都会派SUVなのだ。
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トヨタとダイハツの共同開発車や互いにOEM供給しているモデルは多い。提携することで、相手の強みを上手く活用し、また弱点を補完することが可能だ。さらに、共同開発することで開発期間やコストを低減、設備を有効活用できるという大きなメリットがあるのだ。
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