5ナンバー3列7人乗りのトヨタ「ウィッシュ」はスポーティなコンパクトミニバン、168.8万円~2003年にデビュー【今日は何の日?1月20日】

トヨタ・ウィッシュ
トヨタ・ウィッシュのリヤビュー
一年365日。毎日が何かの記念日である。本日1月20日は、トヨタのコンパクトミニバン「ウィッシュ」が誕生した日だ。1990年代、トヨタ「エスティマ」とホンダ「オデッセイ」が起爆剤となったミニバンブームが到来、ミニバンはコンパクトサイズにも波及し、5ナンバーサイズのウィッシュも人気を獲得した。
TEXT:竹村 純(Jun TAKEMURA)/PHOTO:三栄・トヨタ ウィッシュのすべて

■扱いやすいコンパクトミニバンのウィッシュが登場

2003(平成15)年1月20日、トヨタから5ナンバーサイズのコンパクトミニバン「ウィッシュ」がデビューした。低床で車高を抑えたステーションワゴン風のスポーティなフォルムが特徴で、アクティブな若いファミリー層から支持されて大ヒットした。

トヨタ「ウィッシュ」
2003年にデビューした5ナンバーのコンパクトミニバン、トヨタ「ウィッシュ」
トヨタ・ウィッシュ
トヨタ・ウィッシュのサイドビュー

ミニバンブームの中でコンパクトミニバンのストリームも大ヒット

バブルが崩壊した1990年代は、セダンやスポーティなクーペも人気が低迷して、代りにRVブームとミニバンブームが到来した。ミニバンブームに火をつけたのは、“天才タマゴ”のキャッチコピーで1990年にデビューした流線形ボディのトヨタ「エスティマ」と、1994年に乗用車のように低床で車高の低いホンダ「オデッセイ」である。

トヨタ「エスティマ」
1990年にデビューした”天才タマゴ”のキャッチコピーでデビューしたトヨタ「エスティマ」

両モデルとも、従来の商用車派生のボックス型ミニバンとは大きく異なる新世代のミニバンとして大ヒット。その後様々なミニバンが登場し、ミニバン市場が一気に活気づいたのだ。

ホンダ「オデッセイ」
1994年にデビューしたホンダ「オデッセイ」

特にホンダのミニバン攻勢は他を圧倒し、オデッセイに続いて1996年にミッドサイズのミニバン「ステップワゴン」、2000年にコンパクトサイズのミニバン「ストリーム」を発売。いずれも大ヒットとなった。

ホンダ「ステップワゴン」
1996年にデビューしたミッドサイズ・ミニバンのホンダ「ステップワゴン」

ストリームは、5ナンバーサイズでありながら、画期的な低重心・低床パッケージングによって流麗なスタイリングと、3列7人乗りの室内空間を実現、扱いやすいコンパクトミニバンとして、若いファミリー層から圧倒的な支持を獲得したのだ。

ホンダ「ストリーム」
2000年にデビューしたホンダ「ストリーム」

ストリームに対抗してトヨタからウィッシュ登場

トヨタ・ウィッシュ
トヨタ・ウィッシュ

ウィッシュは、基本的にはホンダのストリームと同じコンセプトで、低床で後席ドアはヒンジ式、車高を抑えたステーションワゴン風のスポーティなフォルムが特徴。中型セダン「プレミオ」のプラットフォームを使って、シートは3列配置の6名または7名乗り、セカンド/サードシートは分割可倒式で、用途に応じてフラットで広いラゲッジスペースや多人数乗車が使い分けられる。

トヨタ・ウィッシュ
トヨタ・ウィッシュの1列目シート
トヨタ・ウィッシュ
トヨタ・ウィッシュの2/3列シート

パワートレインは、最高出力132psを発揮する1.8L直4 DOHC VVT-iと4速ATの組み合わせ。2003年4月には155psを発揮する2.0Lエンジンが追加された。駆動方式は、FFとアクティブトルクコントロール4WDが用意された。

トヨタ・ウィッシュ
トヨタ・ウィッシュのコクピット

サスペンションは前輪はストラットだが、後輪は4WDがダブルウィッシュボーン、2WDはトーションビーム式。安全面では、衝突安全ボディのGOAや電子制御式ブレーキ付ABS、前席エアバッグ&サイドエアバッグ/カーテンシールドエアバッグなどが装備された。

車両価格は、標準グレードが168.8万円(2WD)/193.8万円(4WD)。当時の大卒初任給は19.7万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算で現在の価値は約197万円/226万円に相当する。

ウィッシュは発売後すぐにストリームの販売台数を超え、最初の1年間で約15万台を販売する大ヒットを記録した。

その後は人気が肩下がりとなって生産終了

ウィッシュは、ホンダ・ストリームとまったく同じコンセプトで、ボディサイズもスタイリングも似通っていたが、ストリームの開拓した市場を簡単に奪取した。トヨタは、ストリームの市場評価を分析して、コンセプトとボディサイズをほぼ同じにしながらも、すべてにおいてストリームを少しずつ上回る、いわゆる“2番手戦略”で成功したのだ。

トヨタ・ウィッシュ
トヨタ・ウィッシュ

ところが、その後ウィッシュの販売は徐々に失速して2017年に生産を終了。ちなみに、ストリームは2014年に生産を終了していた。

ウィッシュの販売失速の理由は、市場が求めるミニバンがより実用的でファミリー志向が強くなったことに関係している。乗用車のようなスタイリッシュさよりも、余裕のある室内の広さ(車高の高さ)や乗降のしやすさ(両側スライドドア)が必須アイテムとなってきたのだ。

トヨタ・ウィッシュ
トヨタ・ウィッシュのリヤビュー

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2000年当時は、ミニバンが人気を獲得し、ステーションワゴンもまだ人気があったことから、ステーションワゴンとミニバンを融合したようなスタイルのウィッシュやストリームが人気を獲得したのだろう。その後、ステーションワゴン人気も去って、市場は軽も含めて実用性や居住性を重視したボクシーなクルマが人気となったのだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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著者プロフィール

竹村 純 近影

竹村 純

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までを…