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一部改良というよりもマイナーチェンジに近い大幅改良

Aセグメントのコンパクトハイトワゴンは、ダイハツ・トール/トヨタ・ルーミーとスズキ・ソリオ/三菱デリカD:2という選択肢がある。Bセグメントのトヨタ・シエンタ、ホンダ・フリードも合わせて購入を考える方もいるかもしれないが、駐車場が狭いなどの理由でAセグメントのコンパクトハイトワゴンを選択する人も多いだろう。ここでは、一部改良を受けたスズキ・ソリオ/ソリオ バンディットについてピックアップする。

2025年1月16日に受けた一部改良は、マイナーチェンジともいえる比較的大がかりな内容になっている。ソリオ、ソリオ バンディットともに顔つきが変わり、押し出し感を強めた迫力あるフロントマスクになった。全長3810×全幅1645×全高1745mm、ホイールベース2480mmというサイズは、ほとんど変わっていないが、全長が20mmだけ伸びている。4.8mの最小回転半径、狭い場所での乗降や取り回しに寄与する全幅も不変だ。

こうした取り回しの良さを維持しつつ、「アルファード顔」ともいえそうな顔つきにすることで、コンパクトクラスでも迫力を増し、売れ行きを左右する押し出し感を高めている。パワートレーンでは、「K12C」型からスイフト譲りの「Z12E」型エンジンとCVTとの組み合わせに変更。全車にマイルドハイブリッドも組み合わされているのは変わらない。ただし、マイナーチェンジ前にあったフルハイブリッドが姿を消している。フルハイブリッドは、シングルクラッチのマニュアルをベースとしたAGSと駆動用モーターを組み合わせていて、マニュアル感覚の変速フィールが特徴だったが、売れ筋のマイルドハイブリッドとCVTの組み合わせに集約されたことになる。「Z12E」型エンジンの搭載により、実用域の走りの良さと実用燃費の向上が期待できる。
先進安全装備をアップデート

先進安全装備もアップデートされ、ミリ波レーダーと単眼カメラの組み合わせにより、衝突被害軽減ブレーキは、「デュアルセンサーブレーキサポートⅡ」になり車両や歩行者、自転車やオートバイも検知し、交差点での検知にも対応している。さらに、全車速追従機能、停止保持機能付アダプティブクルーズコントロール(ACC)と車線維持支援機能の採用により、高速道路などでのドライブをサポートする。ほかにも低速時ブレーキサポート(前進/後退)や発進お知らせ機能[先行車/信号切り替わり]、ブラインドスポットモニター、リヤクロストラフィックアラートなどが設定されたほか、パーキングブレーキの作動、電動パーキングブレーキやブレーキホールドの採用もトピックスだ。
取り回しの良さや居住性、積載性、使い勝手は変わっていない

居住性や積載性、使い勝手に関する大幅な改良はアナウンスされていない。先述したとおり、最小回転半径などの取り回しの良さは不変だ。ソリオの美点である後席スライドドアと低床設計による乗降性の良さをはじめ、前後席間のウォークスルー、前席左右間のウォークスルーにも対応する。1365mmという高めの室内高により、子どもの着替えなども容易にできる。後席は、左右席別々に165mmの前後スライドと最大56°のリクライニングが可能で、最後端にすれば足を伸ばして座れるほどの足元空間と余裕のある頭上空間が広がる。

後席のスライドとリクライニングは、後席背もたれの肩口にあるレバーで操作できるため、荷室側(リヤゲート側)からも容易に操作できるのが美点だ。2WDを選べば、深さのあるサブトランクも備わる。後席背もたれを前倒しするとほぼフラットのまま拡大可能で、さらに、スズキ自慢の助手席前倒し機構(座面を前に引き上げて床面に格納し、背もたれを前倒しできる)によりスキー板やサーフボードなどの長尺物も積載できる。

こうした利便性の高さを誇る一方で、前席は左右間と前後間のウォークスルーを可能にするため、座面の前後長とシート幅が狭く感じる。頭上まわりには十分過ぎる余裕が残るが、大柄な人にとっては窮屈さを覚えるかもしれない。前席の快適性も重視したいのなら、より全幅がワイドになるBセグメントのコンパクトハイトワゴンを選択する手もあるだろう。このあたりは、展示車や試乗車で座り心地を念入りに確認しておきたい。