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■4代目サニーにスタイリッシュなステーションワゴン登場
1979(昭和54)年1月23日、日産の4代目サニーシリーズにステーションワゴン「サニー・カリフォルニア」が加わった。米国で人気が高まったステーションワゴンを、当初は北米市場をターゲットに販売していたが、日本の需要の高まりを受けて日本にも投入したのだ。


カローラとともにマイカーブームをけん引したサニー
初代サニーは、軽量ボディを生かした優れた動力性能と、ノーズが長く傾斜したリアウインドウで構成されるファストバックのような斬新なスタイリングでデビュー。半年後にデビューしたカローラとともに大ヒットし、日本に“マイカーブーム”を巻き起こした。

その後、サニーとカローラは排気量の拡大や様々なバリエーションで激しいライバル関係をもって進化し続けた。1977年に登場した4代目(B310型)は、シャープなスタイリングとバリエーションの豊富さが特徴で、2ドアクーペ/4ドアセダン、ハッチゲートを持つファストバッククーペ、バンが設定され、約1年後に登場したのがサニー・カリフォルニアだった。
車名は若者が憧れたカリフォルニアを意識して命名
1970年代後半には、クルマの普及ともにアウトドアを楽しむ人も増えてきた。日本の本格的なアウトドアブームは1990年代に入ってからだが、米国ではすでにRVブームが起こり、ステーションワゴンも人気を博していた。特に西海岸のカリフォルニアでは、ステーションワゴンやバンをドレスアップする若者が増え、その情報は映画やTVドラマを通じて日本に入り、一部の若者の間で流行り始めていたという事情があった。

これに対応するために、日産は4代目サニーをベースに北米をターゲットにした本格的なステーションワゴンの開発に着手。従来のセダンでは飽き足らず、居住性や乗り心地がよく、しかもアウトドアレジャーやショッピングにとより便利なクルマを求める声に応えて、広範な用途の利用を前提にサニー・カリフォルニアが誕生した。
当初は、輸出専用として北米をメインに販売され、その後日本で需要が高まり始めると、1979年1月のこの日から日本へも投入。車名は、“若々しく、自由で、明るいカリフォルニア。アメリカの最も新しい文化と風俗を生み出すカリフォルニア”のイメージを託して命名された。
シビック・カントリーは1代限り、シビック・シャトルにバトンタッチ
サニー・カリフォルニアは、全長をセダンより165mm延長し、全高をクーペ並みに低く設定し、リアのピラーとゲートの傾斜角を大きくとってスタイリッシュなステーションワゴンに仕立てられた。サスペンションはセダンと同じだが、ワゴン化による重量増しを考慮した専用セッティングが施された。

パワートレインは、最高出力80ps/最大トルク11.5kgmの1.4L直4 OHVエンジンと4速/5速MTおよび3速Aの組み合わせ、駆動方式はFRである。
バンとは異なる遊びのクルマのイメージを鮮明にするため、リアゲートの後方に向かうラインに従って狭まっていくサイドガラスやメッキタイプのアメリカンバンパーを採用。ボディ色は、イメージカラーの黄色を筆頭にブルーメタリックなど明るい色を用意し、オプションで米国生まれのステーションワゴンの定番である木目調サイドパネルも設定された。

インテリアについても、乗用車並みの豪華な装備が注目され、分割可倒機構を組み込んだリアシート、ファスナー付きトノカバー、コンソールボックスなどで利便性をアピール。さらに、ゲート開口部を広くし荷室地上高を低く設定して、荷物の積み下ろし性への配慮もされた。
車両価格は、標準グレードが91.6万円でその他に96.4万円と104万円の3グレードを用意。セダンよりも約5~8万円高額の設定なので比較的割安と言える。ちなみに、当時の大卒初任給は10.9万円程度(現在は約23万円)なので、現在の価値では標準グレードが約193万円に相当する。
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サニー・カリフォルニアは、テールゲートを寝かせたスタイリッシュなステーションワゴンの草分け的な存在として、今でも黄色いボディに木目調サイドパネルの画像が取り上げられる。1970年代のアメリカ映画やTVドラマでよく出てきたステーションワゴンに、当時の若者は憧れたのだ。
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