日産ハイオーナーカー「ローレル」7代目が3ナンバー化でレベルアップ、価格は215.6万円~【今日は何の日?1月25日】

日産7代目「ローレル」
日産7代目「ローレル」
一年365日。毎日が何かの記念日である。本日は、日産自動車の7代目「ローレル」が誕生した日だ。ローレルは、ハイオーナーカーを謳ったアッパーミドルモデルだが、3ナンバーボディとなった7代目は、ゆったりした室内で居住性の高さが売りだった。
TEXT:竹村 純(Jun TAKEMURA)/PHOTO:三栄・新型ローレルのすべて

■3ナンバーに進化して完成度を高めた7代目ローレル

1993(平成5)年1月25日、1968年に“ハイオーナーセダン”を謳ってデビューした日産自動車「ローレル」の7代目(C34型)がデビューした。ボディを3ナンバー化して室内空間が拡大され、また乗り心地や静粛性などがレベルアップした。

日産7代目「ローレル」
日産7代目「ローレル」
日産7代目「ローレル」
日産7代目「ローレル」

ハイオーナーセダンを謳った初代ローレル(C30型)

自動車が普及して1960年代後半には、マイカーブームの到来とともに、市場では上級志向のクルマが求められるようになった。そのような中、日産は1968年4月に「ブルーバード」と「セドリック」の中間に位置するアッパーミドルセダンのローレルを、“ハイオーナーセダン”というキャッチコピーを掲げて投入した。

日産初代「ローレル(C30型)」
1968年に誕生した日産初代「ローレル(C30型)」。“ハイオーナーセダン”というキャッチコピーで登場

スタイリングは、ブルーバードで採用された“スーパーソニックライン”を踏襲した直線基調で、当初は4ドアセダンのみで最高出力100ps/最大トルク15kgmを発揮する1.8L直4 SOHCエンジンを搭載した。

先進技術を採用して注目された初代ローレルだったが、半年後に登場したトヨタの初代「コロナマークII」に人気を奪われた。コロナマークIIは、4ドアセダンと2ドアハードトップが用意され、特にスタイリッシュな2ドアハードトップは月販2万台を記録する大ヒットになった。これに対抗するため、ローレルも1970年に日産初のピラーレスハードトップを追加した。

2代目~6代目までのローレルの軌跡

日産2代目「ローレル・ハードトップ(C130型)」
1972年に登場した日産2代目「ローレル・ハードトップ(C130型)」

・2代目(C130型:1972年~)
プラットフォームが4代目「スカイライン」と共通になり、スタイリング全体の雰囲気もケンメリ風になった。4ドアセダンと2ドアハードトップが用意され、2ドアハードトップにビルドインされたリアコンビランプを採用した独特のリアデザインから“ブタケツ”の愛称で親しまれた。

・3代目(C230型:1977年~)
高級車をイメージさせる重厚なスタイリングとなり、さらに豪華で落ち着いたインテリアが本来のハイオーナーカーの性格を強めた。

日産3代目「ローレル(C230型)」
1977年にデビューした日産3代目「ローレル(C230型)」
日産4代目(C31型)「ローレル」
1980年にデビューした日産4代目(C31型)「ローレル」

・4代目(C31型:1980年~)
2代続いたアメ車風デザインから一転、空力を意識したスラントノーズを採用した直線基調の欧州車風スタイリングに変更。流線型に生まれ変わったデザインは、“アウトバーンの旋風”と称された。

・5代目(C32型:1984年~)
欧州車風から再びアメ車風の押し出しの強いスタイリングに戻った。ハイソカーブームが盛り上がりを見せる中で、期待したほど販売を伸ばすことができなかった。

日産5代目「ローレル(C32型)」
1984年にデビューした日産5代目「ローレル(C32型)」
日産6代目「ローレル(C33型)」
1989年にデビューした日産6代目「ローレル(C33型)」

・6代目(C33型:1989年~)
バルブ絶頂期のまっただ中に登場し、全体として落ち着いた大人の上質な4ドアサルーンに仕上げられ、バブル好景気の後押しもあり人気を獲得した。

3ナンバーボディで上質化を目指した7代目(C34型)

日産7代目「ローレル」
日産7代目「ローレル」

7代目がデビューした1993年は、バブル好景気が終焉を迎えた、バブルが崩壊した時だった。市場が華やかさや豪華さではなく、本物志向へと変化した状況下で7代目は登場したのだ。

日産7代目「ローレル」のリアビュー
日産7代目「ローレル」のリアビュー

ボディを3ナンバー化し、側面衝突時の安全性を確保するため、ピラーレスからピラード4ドアハードトップに変更され、その結果ボディ剛性が大幅に向上し、乗り心地や静粛性が向上した。また室内空間、特に後席空間が拡がり、大切なゲストを迎えるにも十分な広さと質感を実現。その他、ファインビジョンメーターやスーパーサウンドシステム、前席パワー調節シート、フルオートACなど室内装備も十分だった。

日産7代目「ローレル」
日産7代目「ローレル」

エンジンは、最高出力260psの2.5L直6 DOHCを筆頭に、2.0L直6のSOHC(125ps)&DOHC(150ps)、2.8L直6 SOHCディーゼルの4種が選べた。トランスミッションは、4速/5速AT、ディーゼルのみ5速MTが用意された。

日産7代目「ローレル」のコクピット
日産7代目「ローレル」のコクピット
日産7代目「ローレル」のインテリア
日産7代目「ローレル」のインテリア
直6NAのRB25DE型エンジン
メダリストV、SとクラブSに搭載される、直6NAのRB25DE型エンジン

車両価格は、215.6万~250.9万円(2.0L)、250.9万~293.9万円(2.5L)、227.6万~239.8万円(ディーゼル)に設定。当時の大卒初任給は18.5万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値で約312万~365万円(2.5L)に相当する。

日産7代目「ローレル」
日産7代目「ローレル」

完成度が高かった7代目ローレルだが、デザインが地味だったこともあり、クルマの出来は販売には直結しなかった。

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7代目ローレルは、歴代ローレルの中でも目立つ存在ではなく、バブル崩壊という最悪なタイミングで登場したことが不幸だった。この時期の高級セダンは、クルマの出来に関係なく、販売を伸ばすのは難しかったのだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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著者プロフィール

竹村 純 近影

竹村 純

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までを…