ホンダ「トゥデイ」2代目、軽ボンネットバンからトランク付きのセミノッチバックになり79.8万円でデビュー【今日は何の日?1月26日】

ホンダ2代目トゥデイ
ホンダ2代目トゥデイ
一年365日。毎日が何かの記念日である。本日は、ホンダの軽自動車「トゥデイ」の2代目が誕生した日だ。初代は、当時流行っていた商用車ベースの軽ボンネットバンだったが、2代目はキュートで扱いやすいセミノッチバックスタイルの乗用車として登場した。
TEXT:竹村 純(Jun TAKEMURA)/PHOTO:三栄・新型トゥデイのすべて

■ボンネットバンからセミノッチバックの乗用軽となった2代目トゥデイ

1993(平成5)1月26日、ホンダの2代目「トゥデイ」がデビューした。1985年に誕生した初代は人気を獲得したが、1980年代後半には多くのライバル出現で人気が右肩下がりに、人気挽回のために登場したのが2代目トゥデイだった。

ホンダ2代目トゥデイ
ホンダ2代目トゥデイ
ホンダ2代目トゥデイ
ホンダ2代目トゥデイ

ホンダの軽自動車が11年ぶりにトゥデイで復活

ホンダ初代「シビック」
1972年にデビューしたホンダ初代「シビック」

小型車の開発に専念するためにいったん軽自動車の生産を休止していたホンダだったが、リソースに余裕ができたことから、11年ぶりとなる1985年に「トゥデイ」(商用)で軽復活を果たした。1972年にデビューした「シビック」の大ヒットで、開発リソースを小型車に集中するため、一時的に軽自動車の開発を止めていたのだ。

スズキ「アルト」
1979年にデビューしたスズキ「アルト」。軽ボンネットバンという新しいコンセプトを開拓

復活したトゥデイは、当時ブームとなっていた商用車の軽ボンネットバンだった。軽ボンネットバンとは、1979年にデビューしたスズキの「アルト」が開拓した、軽商用車でありながら乗用車のようなスタイルのクルマである。商用車にすることで、物品税が非課税となり車両価格が下げられるのだ。

ホンダ初代「トゥデイ」
1985年にデビューしたホンダ初代「トゥデイ」(商用)

トゥデイは、愛らしい丸いヘッドライトを組み込んだ大胆なスラント&ショートノーズのフォルムで登場。パワートレインは、最高出力31psの550cc直2 SOHCエンジンと4速MTおよび3速ATの組み合わせ。駆動方式は基本FFだが、後に4WDも用意された。

1988年にデビューした初代トゥデイ(乗用)
1988年にデビューした初代トゥデイ(乗用)

軽商用車ながら流れるようなキュートなフォルムで人気を獲得、また後期型は軽の規格変更で排気量が660ccにアップしたことで走りに磨きがかかり、モータースポーツでも活躍した。

2代目はセミノッチバックの乗用軽として登場

2代目トゥデイは、バブル景気の崩壊が市場に影響を及ぼし始めた1993年1月のこの日にデビューした。

ホンダ2代目トゥデイ
ホンダ2代目トゥデイ

ボディタイプは、一般的な2ドアのハッチバックでなく、乗用車専用を強調するトランク付のセミノッチバックが選ばれた。スタイリングは、キュートな異形丸型のヘッドライトにCピラーにパノラミックタイプのリアウインドウ、インテリアはドライバー優先の大きなシートにフローティングパッドを配したインパネが個性を放った。

ホンダ2代目トゥデイ
ホンダ2代目トゥデイに搭載されるエンジン
ホンダ2代目トゥデイ
ホンダ2代目トゥデイのコクピット
ホンダ2代目トゥデイ
ホンダ2代目トゥデイの前後シート

パワートレインは、最高出力48ps/最大トルク5.8kgmを発揮する660cc直3 SOHCと、5速MTおよび3速ATの組み合わせ、駆動方式はFFと4WD。また、多連スロットルにハイレスポンス制御を組み合わせたMTRECを採用して出力を58ps/6.1kgmに上げた高性能エンジンも用意された。

ホンダ2代目トゥデイ
ホンダ2代目トゥデイ

車両価格は、FFモデルで79.8万/88.8万/100万円の3グレードに設定。当時の大卒初任給は18.5万円程度(現在は約23万円)程度だったので、単純計算では現在の価値で99万/110万/124万円に相当する。

キュートなデザインで登場した2代目トゥデイの人気は今ひとつ盛り上がりに欠けたが、皮肉なことに同時に発売された商用モデル「トゥデイPRO」の方が人気を獲得。商用車のトゥデイPROが人気を獲得したのは、ユーザーが乗用車の快適性よりも維持費の安い方を重視したためだった。

ただし、初代同様走りは健在で、特にMTRECを搭載した高出力モデルは初代以上にモータースポーツで活躍した。

商品力強化を進めた2代目トゥデイだが、生産終了

アソシエ
2代目「トゥデイ」の4ヶ月遅れでデビューした4ドア「アソシエ」

人気が伸びなかった2代目トゥデイは、積極的に商品力強化を行った。デビューの4ヶ月後には、4ドアモデル「アソシエ」を追加。さらに翌年にはマイナーチェンジを実施したが、販売はそれでも伸び悩んだ。

さらに、1994年にトゥデイPROをベースに、パワステやパワーウインドウなどの快適装備やカラードバンパーを装着した「トゥディハミング」を発売。これは、ベースのトゥデイを上回る人気モデルとなった。また1996年には、市場で不評だったセミノッチバックから一般的なハッチバックにボディが変更された。

ホンダ2代目トゥデイ
ホンダ2代目トゥデイ

そのような中で、2代目と同じ年の1993年にスズキからハイトワゴン「ワゴンR」が登場すると、市場には一気に背の高いハイトワゴンブームが巻き起こった。オーソドックスなスタイリングのトゥデイの存在感はさらに薄まり、ついに2代目で幕を下ろし、後継となる1997年にデビューしたハイトワゴン「ライフ」にバトンを渡した。

ホンダ2代目トゥデイ
1993年にデビューしたホンダ2代目「トゥデイ」のリアビュー

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ホンダの軽復活を担ったトゥデイ、初代はキュートなフォルムで人気を獲得したが、2代目はデビューのタイミングが悪かった。同年に背の高いワゴンRがデビューして話題をさらわれ、存在感をアピールできなかったのだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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著者プロフィール

竹村 純 近影

竹村 純

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までを…