アグレッシブな迫力フェイスで人気沸騰「トヨタ アルファード」【最新ミニバン 車種別解説 TOYOTA ALPHARD】

新たなプラットフォームを使用したことでより安定性・安全性も向上し、迫力あるエクステリアにふさわしい骨太なLLサイズミニバン「トヨタ・アルファード」。ショーファーモデルとしてのラグジュアリーさだけでなく、引き締まった走りと操縦性も楽しめ、デビューから変わらない絶大な支持を得ている。
REPORT:青山尚暉(本文)/塚田勝弘(写真解説) PHOTO:平野 陽 MODEL:日南まみ

上級仕様の2列目席は大進化 操縦安定性や乗り心地も好感

国産ハイエンドミニバンを望む一般ユーザーから会社役員、VIPや芸能人にも絶大なる人気、信頼があるのがトヨタ・アルファード。

エクステリア

先代よりもめっき感を減らした落ち着きのある顔つき。グリルのめっき加飾と連続感のあるシームレスなデイタイムランニングライトが先進的なイメージを強調。両側スライドドアには、半分開いた状態からでも開閉できるワンタッチシーソースイッチが備わり、直感的に操作できる。テールゲートの開閉スイッチは、テールランプサイドに隠すように配置する。
抑揚のある側面とひと筆書きのようなめっきモールにより、単なる箱に見えないように工夫している。シームレスに点灯するテールランプが先進性を強調。最小回転半径は5.9m。

プラットフォームをTNGA GA-Kに一新したこの4代目は兄弟車のヴェルファイアとの差別化が拡大され、威風堂々としたバランスの良いスタイリングはさらに進化し、より迫力あるアグレッシブな顔つきを実現。先代比で全長こそ伸びたものの、ホイールベースや全幅は不変。骨太なプラットフォームを使うため、車内が狭くなるところを工夫して、先代同等の居住空間を確保している。

乗降性

パワーユニットは2.5ℓガソリンと2.5ℓ+2モーターのHVの2タイプで、HVにもFFが用意される(先代のHVは4WDのみ)。グレードは現時点で2列目が豪華キャプテンシートの「エグゼクティブラウンジ」と「Z」の2タイプ。前者は乗り心地重視の17インチタイヤ、後者はやや走りに振った18インチタイヤを装着する。

インストルメントパネル

ラウンドしたダッシュボードと、幅広いセンターコンソールが高級車らしさを演出。14インチセンターディスプレイ、先進的な12.3インチカラーメーターパネルを標準装備する。

特等席となる2列目席も大幅に進化。プライベートジェットをイメージしたその空間は、従来、天井左右に配置、点在していた照明や各種スイッチ、後席エアコン吹き出し口などの機能をルーフ中央にある、新開発されたスーパーロングオーバーヘッドコンソールに集約。「エグゼクティブラウンジ」は左右各席にあるスマホサイズの取り外し可能なリヤマルチオペレーションパネルによって多彩な機能を手元でも指先ひとつで操作可能(反対側席の操作もOK)。そして先代モデルで気になったキャプテンシートの微振動の解消も先代を知るユーザーにとっては納得の徹底した防振対策が施されている。また、パワーバックドアのスイッチはボディサイド側に移設され、3列目席の跳ね上げ格納位置が前後2ポジションとなり、2列目席を後端までスライドしても3列目席の跳ね上げが可能になったのも特筆点だ。

居住性

「エグゼクティブラウンジ」のE―Fourを走らせれば、乗り心地はゆったり快適。決してフワフワしているのではなく、段差やうねり路をしなやかに受け流す感覚だ。システム出力が先代の197PSから250PSに高められた加速性能はアクセルレスポンスを含め意外なほど穏やか。あくまで「エグゼクティブラウンジ」に相応しいジェントル(快適感重視)なものとなっている。操縦性もスムーズかつ穏やかな応答性に躾けられているのは乗員に不快な揺れを感じさせない配慮。しかも曲がるシーンでの前後左右の姿勢変化は最小限。乗り心地とのバランスは見事と言っていい。ただし、きつい段差ではやや唐突な突き上げが認められるシーンもある。これは最も重いグレードゆえ、前後サスを硬めに設定しているから。FFモデルならその点は解消方向にある。

うれしい装備

「エグゼクティブラウンジシート」の両側に格納式テーブルを用意する。軽食を摂る際などに重宝するほか、天板内にはバニティミラーも備えるため、身だしなみのチェックやメイク直しもできる。
月間販売台数        6446台(24年5月~10月平均値)
現行型発表    23年6月
WLTCモード燃費  17.7 ㎞/ℓ※「Z(ハイブリッド)」のFF車 

ラゲッジルーム

18インチタイヤを履く「Z」は周波数感応型ショックアブソーバーやアクティブノイズコントロールなどが省かれ、静粛性では「エグゼクティブラウンジ」に一歩譲るものの乗り味はより引き締まった印象で、ドライバーズカーとしての資質が高い。

 
※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.164「2025年 最新ミニバンのすべて」の再構成です。

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