ABB FIAフォーミュラE世界選手権は1月23日、2月14~15日に開催されるジェッダE-PrixでPIT BOOST(ピットブースト)を導入すると発表した。

ピットブーストは決勝レース中にピットレーンでバッテリーの充電を行うもの。コンシューマー向けチャージャーの2倍以上の出力となる600kWを発揮する最新鋭の急速充電器を用い、30秒間で10%(3.85kWh)の充電を行う。
これは全ドライバーに義務付けられる。トラックポジションを失う一方で、追加のエネルギーを得られるこのシステムはアタックモードと組み合わされるため、チームにとっては戦略的な要素が増えることとなる。

ピットレーンでの作業にあたるクルーは2名で、それぞれリチャージとマシンのリリースを担当する。また、ピットブーストは1チーム1台ずつしか実施できず、2台同時に作業を行うことは許されない。

ピットブーストは今後、週末に2戦を開催する“ダブルヘッダー”の1戦で義務とされ、その最初のレースは2月14、15日のシーズン11第3、4戦ジェッダE-Prixとなる。
フォーミュラEの共同創設者であり、チーフ・チャンピオンシップ・オフィサーを務めるアルベルト・ロンゴは「包括的なテストとシミュレーションを経て、ついにこの画期的なテクノロジーを世界に発表できることをうれしく思う」とコメント。
「ピットブーストは我々のシリーズだけでなく、現代のモータースポーツにとって最も野心的でインパクトのある新機能のひとつだ。激しいプレッシャーのなかで、チームもドライバーも同じように大きな決断を迫られることになる。劇的なオーバーテイクの可能性や予想外の展開、人間の創意工夫は、ファンの興奮を高め、フォーミュラEとFIAの革新への絶え間ないコミットメントを示すだろう。サーキットから公道への技術移転を強化するために誕生したシリーズとして、このレースは消費者向け車両とEV性能の将来的な可能性に一歩の変化をもたらすものだ」