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乗用車部門:「シーライオン 7」は4月販売スタート。PHEVは2025年内に正式発表予定

中国の自動車メーカー、BYDは2024年、躍進の1年を迎えた。同社の昨年1年間の世界販売台数は425万台を記録し、初めて400万台を超える快挙となった。日本市場においても、「DOLPHIN」「ATTO 3」「SEAL」の3モデルが揃い、昨年の販売台数は前年比5割増の2,223台、累計販売台数は約4000台に達した。

2024年の活動総括と評価
BYDは2024年を「創業期の総仕上げ」と位置付け、プロダクトのアップデート、体験機会の拡充、そしてコミュニケーションの強化を図った。中でも、BYDのフラッグシップモデル「シール」は、日本カー・オブ・ザ・イヤーで10ベストカー、RJCカー・オブ・ザ・イヤーではテクノロジーカー・オブ・ザ・イヤーに選出され、高い評価を得た。
さらに、長澤まさみさんを起用したテレビコマーシャル第2弾では、BYDの先進技術と電動化のリーダーシップを訴求。ブランド認知とイメージ向上に大きく寄与した。
次世代に向けた両輪経営の展開
昨今、「EV減速」の報道が目立つ中でも、BYDはピュアEVとPHEVの両輪経営により成長を遂げた。BYDは2008年に世界初の市販PHEVを導入し、2020年には内燃機関車の生産を終了。現在では、EVとPHEVのみを生産している。この両輪経営により、世界の電動化の潮流に柔軟に対応し、PHEVの需要拡大にも適応している。

2025年以降の成長戦略
BYDの乗用車部門は、2025年を「成長期」のスタートと位置付け、3つの経営基盤を強化していく方針を発表した。
1. コミュニケーションの強化
引き続きマーケティング活動を展開し、ブランド認知やイメージ向上を目指す。また、今年も「Japan Mobility Show」への出展が予定されている。
2. ネットワークの拡充
全国100拠点体制の構築を掲げ、現在の59拠点をさらに拡大。より多くの顧客が安心して購入やメンテナンスを受けられる体制を整える。

3. 商品展開の拡大
4月には新型モデル「シーライオン 7」の発売が予定されている。このクロスオーバーSUVは、RWD(後輪駆動)とAWD(四輪駆動)の2モデルをラインアップし、優れた快適性と上級装備を兼ね備えているという。さらに、2025年末までにPHEVモデルを発表し、EVとPHEVの双方を軸にしたラインアップを拡充する。
BYDは2027年までに7~8モデルの体制を構築し、多様な顧客のニーズに応えることで、日本市場でのさらなる成長を目指す目論みだ。

商用車部門:日本市場向けの中型EVバス「J7」を2025年内に納入開始
日本市場では、2015年に大型EVバス「K9」の初納車から約10年が経過した。これまでに350台のEVバスが納車され、国内EVバス市場で7割以上のシェアを占めるまでに成長している。
今回、小型EVバス「J6」および大型EVバス「K8」に加え、中型EVバス「J7」をラインアップに加えることを発表。「J7」は2025年内より納車が開始される予定だ。「J6」と「J7」は、日本の道路事情に合わせた専用設計が施されているが、さらに「J7」は最新のインホイールモーター技術を採用し、フルフラットの車内設計と優れた乗降性を提供する。

2030年に向けた目標とサポート体制の強化
「J7」の導入により、小型・中型・大型の路線用EVバス3モデルが日本市場に出揃ったわけだが、これを皮切りに、BYDは2030年までに累計4000台のEVバス販売を目指す。また、全国6か所に事業所を設け、迅速な部品供給と24時間365日対応の緊急サービス「BYDバス・ロードサポート」を展開し、顧客サポート体制を強化している。

EVトラック導入で次なるステージへ
BYD商用車部門は、2026年以降に日本市場でEVトラックの展開を開始することを正式に決定した。発売時期や車種、価格などの詳細は今年秋に発表予定。これにより、EVバスとEVトラックの両輪で日本市場の電動化を支え、政府の環境目標達成に貢献する意向だ。
