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ただの日本仕様にとどまらない、日本仕様専用のデバイスも!
昨年2024年の現地時間8月1日に、TOYOTA GAZOO Racing(以下「TGR」)は、アメリカカリフォルニア州にて、モータースポーツ参戦でのノウハウをフィードバックして進化したGRカローラを初披露。この時点で「北米以外の導入は検討中」としていたが、その日本仕様の導入が正式にアナウンスされた。
本日2月4日より受注を開始、発売は3月3日となる。
TGRが各モータースポーツ参戦で得た知見は、GRカローラでは高速コーナーでの旋回性能、加速性能や冷却性能の改良に活かされ、進化版GRヤリスにも採用された新開発8速ATのGAZOO Racing Direct Automatic Transmission(GR-DAT)も追加された。
昨年発表されたGRカローラの改良内容は以下のとおりだ。
1.旋回性能の進化
・前後ショックアブソーバーにリバウンド側で作動するスプリングを内蔵し、旋回時の車両姿勢と内輪の接地荷重特性を改善することで旋回中の車両安定性を向上させた。
・リヤのコイルスプリングとスタビライザーのばね特性を見直し、それぞれのロール剛性の分担率を最適化することで旋回時のリヤタイヤ接地性を向上させ、車両コントロール性を高めた。
2.加速性能の進化
・スポーツ走行でのエンジン使用領域を分析し、コーナーでの立ち上がり加速に重要な中速域でのエンジントルクを現行型に対して30N・m増加させ、最大トルクを400N・mまで高めた。
・進化型GRヤリスにも採用した、世界トップレベルの変速スピードを目指した新開発8速ATのGR-DATを搭載。従来は減速度や車両速度などの車両状態に基づいて変速させていたものを、よりドライバーの意図を反映するために、ブレーキの踏み込み方・抜き方、アクセル操作まで細かくモニタリングすることで運転状況を先読みし、プロドライバーによるシフト操作と同じようなタイミングでのギヤ選択を実現した。
3.冷却性能と空力性能の進化
・GR-DAT搭載車には、エンジン始動時の暖機促進も兼ねる水冷式ATFウォーマー&クーラーに加え、空冷式ATFクーラーを標準化。同時に、スポーツ走行を考慮し、エンジン冷却を強化するためにサブラジエーターを設定した。
・空冷式ATFクーラー前のロアグリルに冷却用の開口を設定。フロントバンパー側面のサイドダクトに空気の排出用の開口を設けることで冷却用の空気をスムーズに排出できる構造を採用した。
・より安定した制動力を確保するブレーキダクトを採用。フロントブレーキローターに直接風を導いて冷却効果を向上することで、ブレーキ温度の上昇を抑制する。
・バンパーコーナー部からの空気の剥離を抑えるため、バンパーコーナー部に安定的に小さな乱気流を発生させる小さな段差を設定、冷却性能強化のため必要な各機構を追加した上で操縦安定性を確保した。
・空気をスムーズに排出するサイドダクトを設定。ATFクーラーから排出された空気がサイドの空気の流れを乱すことなく後方へ流れるよう、計算された突起形状を採用した。
4.減速性能の進化
・限界領域でも安全安心で懐の深いクルマに近づけるため、ABSを改良。上下Gセンサーにより、ABS作動輪の接地荷重をモニタリングすることでABS作動時の安定した制動力を実現した。
5.クルマと一体感の進化
・ステアリングコラムとインストルメントパネルリインフォースメントの締結部に、締結剛性の高い溝付ワッシャーボルトを採用し、直進安定性とステアリング操作に対するダイレクト感を向上させた。
・シャシー部品の締結ボルトの一部に締結剛性の高い特別なボルトを採用。ロアアームとロアボールジョイントの締結部はステアリング操作に対する応答性を向上させ、リヤショックアブソーバーとボディの締結部はステアリング操作に対するリヤのグリップ感を向上させている。
・クラッチシステムのトータルレバー比やクラッチカバー、ターンオーバースプリングの荷重特性を最適化することで、クラッチペダルの操作性を向上させた。
と、ここまでは昨年8月にカリフォルニア州で発表された、アメリカ仕様GRカローラの進化内容。
今回導入が発表された日本仕様、てっきりこのアメリカ仕様を日本の法規に合わせただけのGRカローラかと思ったらそうではない。
日本仕様のみに採用された進化があるというのだ。
■進化型GRカローラ、日本仕様にのみ採用された主な進化内容
1.メーカーパッケージオプション「SPORT Package」の設定
よりスポーティで上質感のある内装にこだわったSPORT Packageがメーカーパッケージオプションとして設定された。




2.公道では味わえない躍動感を得られる「サーキットモード」の設定
「サーキットモード」は、国内のサービス対象サーキット・施設に於いて、アンチラグ制御の追加やスピードリミッター上限速度の引き上げなど、クルマのポテンシャルを引き出す機能が有効となるサービスのことだ。
GPSによる位置判定および専用アプリ上での操作により、シフトタイミングやエンジン回転数を直感的に示す専用メーター表示に切り替わり、サーキットモードが利用可能となる。



3.進化型GRカローラの進化点を体感できる、アップグレード用の部品セットも用意
GRカローラ既存ユーザーにも、進化型GRカローラの部品を購入・装着することで、今回の進化の一部を体感することができる。
下表は、それらの部品を装着する上で、最適な車両バランスとなる組み合わせ、および変化を体感しやすい装着順を示すTGRの提案で、2ステップ用意されている。














【メーカー希望小売価格(消費税込み)】
RZ(GR-DAT(8AT)) : 598万0000円
RZ(6MT(4WD)) : 568万0000円
なお、TGRは、2025年2月7日(金)~9日(日)の3日間、インテックス大阪(大阪市)で開催される「大阪オートメッセ2025」に出展し、進化型GRカローラ RZ(日本仕様車)を展示するという。
お近くの方はぜひ。