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MARCH 718 Speed Ster by 筑波研究学園専門学校
茨城県土浦市にある筑波研究学園専門学校の自動車整備工学科は、レストアに挑戦。それも市販車ではなく、2016年に先輩たちが作り上げたコンセプトカーに、再び命を吹き込んだ。

当時の学生たちは、オープンのスポーツカーを作りたいと考え、ポルシェ356ルックのカスタムを行ったという。その名が示す通り、ベースとなったのは2代目のK11型日産マーチだ。

ブルーのボディは、愛嬌たっぷり。パネルは、全て専用となっているが、フロントウィンカーには、マーチのフロントフェンダーに装備されていたウィンカーが流用されている。このほかにも、リヤのナンバー灯とドアハンドルが流用されている。ボディは、6mmの鉄パイプを格子状とし、その上から鉄板を張り、パテで仕上げているという。
インテリアはシンプルに作られており、ボディ同色のインパネには最小限の装備が並び、クラシックカーの雰囲気を醸し出す。ベンチシートはダイハツ・ミラからの流用だそう。足元を見るとAT車ベースだと分かるが、シフトレバーもMT風によく仕上げられている。

今回はレストアだが、やはり2016年の展示での役目が終わった後は、動かされていなかったことで不動状態に。約半年かかったという作業では、ボディの塗装よりも、エンジンや冷却系などを修理し、実走可能な状態までもっていくことの方が大変だったとのこと。

学生の卒業制作であるコンセプトカーやカスタムカーは、一定期間は保管や活用されるが、その後は廃棄となってしまうことが多いと聞く。再び、日の目を見ることになったMARCH 718 Speed Sterに当時の卒業生たちも大いに喜んでいるに違いない。

WiZ CONCEPT XIX CX-Vision by 国際情報工科自動車大学校

福島県郡山市にある国際情報工科自動車大学校の作品は、なんとピックアップトラックだ。その理由は、製作したメンバーにピックアップトラック好きが多かったからだという。しかも市販のピックアップトラックをカスタムするのではなく、この世にない1台だけとするために、SUVをベースに作り上げることにした。

デザインは、クールなピックアップトラックが鎬を削るNASCAR風とすることを決定。その際、マツダからCX-5を提供してもらえることに。そこで「マツダといえば787Bだ」となり、カラーリングをチャージ・マツダ風とした。

ベースとなるCX-5は、なんと新車。それを大胆にもBピラーから後ろを切断し、ピックアップトラック化した。ロールケージやインパネ、トラックベッドなどを可能な限り手作りしたという。
NASCARのスタイルに拘り、ドアやミラーをスムージングしている。そのため、乗降は、サイドウィンドウからというのも本格的だ。迫力満点のボディにも手を加えており、左右+40mmのワイド化。全長を+400mmとし、長いトラックベッドを与えた。
最も大変だったというのが、キャンディ塗装だ。メタリック塗装の上に、クリアカラーのトップコートを重ねることで、キャンディのように半透明で強い光沢を放つ塗装だが、ボディ表面で液ダレを起こしてしまうと、塗装を剥離して塗り直さなくてはならないそうだ。それだけに慎重に作業が進められた。その苦労もあり、存在感のある美しいチャージカラーに仕上がっていた。

製作には、15名で約2か月を要した。ベース車の面影を残すのは、フロントマスクだけというほど、大幅に手を加えて生まれた世界に一つだけのCX-5のピックアップトラックは、大きな注目を集めていた。

NATS MINI RANGER by 日本自動車大学校「NATS」

NATSの愛称で知られる千葉県の日本自動車大学校は、例年、複数台のカスタムカーを展示。学生たちの力作を楽しみにいている来場者も多い。その中で注目したのが、小さなパリダカマシンだ。

「Small and Big Rally Car」をコンセプトに、パリ・ダカールラリーで2001年まで参戦車として活躍していた日野レンジャーをモチーフに、軽自動車で製作されている。可愛くユーモアに溢れる存在だが、ラリーカーらしい雰囲気もしっかりと再現されている。

ボディには、90年代に販売された軽トラックのDC51T型スズキ・キャリイを使っているが、ライトをバンパー内蔵とし、フロントグリルもレンジャー風に改造されているので、一目では、まずキャリーとは気が付かない仕上がり。もちろん、外装は学生たちによるオリジナルデザインだ。

驚いたことにフレームは、キャリーにあらず。同じく90年代に販売されていた2代目スズキ・ジムニーのJA11V型を使用しているのだ。つまり中身もミニマムとはいえ、しっかりとラリー仕様が目指されている。
車内を覗くとAT車なのはご愛敬だが、ステアリングホイールはディープコーンタイプのNARDIスポーツタイプラリーを装着。シートもBRIDEのフルバケットシート「ZETAⅢ」に変更されていた。
足回りと排気系チューニングには、大阪のジムニー専門店「モーターファーム」のパーツが使われている。走行可能というから、ラフロードを走る姿を一度見てみたいものだ。
