ヤマハ「MT-07 ABS」がモデルチェンジ!クラッチ操作不要のY-AMT仕様もラインナップ

ヤマハ発動機販売はこのほど、モデルチェンジを受けたロードスポーツバイク「MT-07 ABS」を2月26日(水)に発売すると発表した。税込価格は「MT-07 ABS」が96万8000円、クラッチ操作不要の自動変速トランスミッション「Y-AMT(ワイ・エーエムティ)」を搭載した「MT-07 Y-AMT ABS」が105万6000円。

大型スポーツバイクのエントリーモデルとして、質感、先進性、軽快感を充実

MT-07 ABS」は、慣性トルクが少なく燃焼室のみで生み出される燃焼トルクだけを効率良く引き出す設計思想“クロスプレーン・コンセプト”に基づいた水冷4ストローク直列2気筒DOHCの688ccエンジンを搭載するロードスポーツモデル。

新しい「MT-07 ABS」の開発コンセプトは”The Advocator of Riding Delight”。トルクフルなエンジンに扱いやすいボディ、そしてコストパフォーマンスの高さといった従来からの特徴に加えて、大型スポーツバイクのエントリーモデルとして、質感、先進性、軽快感の充実を図っている。

主な変更点は、①「YCC-T」(電子制御スロットル)の初採用、②トルクフルなフィーリングを際立たせるサウンド、③走行性アップに伴い剛性バランスを最適化した新設計フレーム&リアアーム、④倒立式フロントサスペンションの新採用やリンク式モノクロスサスペンションのセッティング変更、「MT-07」専用設計のスピンフォージドホイールなど足回りの強化、⑤つながる機能搭載の5インチフルカラーTFTメーターや新作の小型LEDヘッドライト・LEDポジションライトなどの機能装備、⑥大型バイクならではの走りの楽しさを予感させる新スタイリングなどだ(詳細は下記にて)。

カラーリングは、ヤマハのレースイメージを強調する“ブルー(ディープパープリッシュブルーメタリックC)”、MTシリーズの新たな象徴カラーとして鮮やかなスカイブルーのホイールを組み合わせ、未来的でクリーンなイメージの“マットライトグレー(マットライトグレーメタリック4)”、そしてシリアスなスポーツイメージを高める“マットダークグレー(マットダークグレーメタリックD)”の3色が設定された。

①CP2エンジンとして「YCC-T」を初採用し、全回転域で滑らかなトルク特性を実現

CP2(クロスプレーン・コンセプトの2気筒)エンジンでは、ヤマハ発動機として初となる「YCC-T(Yamaha Chip Controlled Throttle=ヤマハ電子制御スロットル)」を新たに採用。吸入空気の取り込みの最適化と合わせて、全回転域での滑らかなトルク特性を実現。CP2エンジンが備える扱いやすいトルクをよりリニアなものとし、ライダーの意志に沿ったレスポンスや出力特性をもたらしている。

また「YCC-T」化によって、好みや路面状況にあわせてエンジンの出力特性や各種電子デバイスの介入度を選択できる機能「YRC(Yamaha Ride Control)」や、シフトダウン側にも対応するクイックシフターの装備が可能になり(スタンダードモデルにオプション設定)、より幅広い走行シーンへの対応を実現している。

②CP2エンジンのトルクフルなフィーリングを際立たせるサウンドの作り込み——「アコースティック・アンプリファイア・テクノロジー」搭載

CP2エンジンが発する不等間隔爆発特有のサウンドは、高音と低音が混じり合った和音がベースだ。スロットル開度とエンジン回転数の上昇がもたらすそのサウンドを、よりトルクフルに感じられるよう吸気系をチューニング。ゴロゴロと唸るような「ランブル感」を引き出すことによって、MTシリーズのキャラクターを際立たせた。

その実現のため、エアクリーナーボックス、吸気ダクト、吸気ファンネル、吸気口カバーなどの形状やレイアウトを検証・調整しながら最適化。吸気口で発生した吸気音がライダーの耳に効率的に届くようレイアウトや燃料タンクカバー4カ所の穴の設置など「アコースティック・アンプリファイア・テクノロジー」を採用し、ライダーへ魅力的なサウンドを届ける。

③走行性アップに伴い剛性バランスを最適化した新設計フレーム&リアアーム(ライディングポジションもアップデート)

バックボーン型高張力鋼管フレームの設計を変更し、強度剛性を引き上げた。電子制御スロットルや新たな変速機構(Y-AMT)の搭載とエアクリーナー容量確保の両立、倒立式フロントサスペンションの採用、スタビリティの確保などの要件を満たすもので、ヘッドパイプを除くすべての部位のパイプワークや径、肉厚、板金などを最適化。質量は現行と同等(約14.8kg)としながら、倒立フォークの採用と合わせ、スタビリティ向上と軽快なハンドリングを実現する剛性バランスの最適化を図っている。

こうしたフレーム変更などに伴い、ライディングポジションも調整。車体との一体感をさらに高め、スポーティな走行を実現するため、ハンドル位置を手前かつ下方へ変更し、グリップ幅を拡大。あわせてフットポイントを下げ、ポジションに余裕を持たせた。また燃料タンクとカバーのスリム化を実現し、ニーグリップ時のホールドのしやすさと一体感を向上させている。

④倒立式フロントサスペンションの新採用など足まわりを強化

フロントにはφ41mmインナーチューブの倒立式サスペンションを新たに採用。リアにはプリロードと伸側減衰力の調整機構を備えたリンク式モノクロスサスペンションが搭載された。サスペンションは前後共に車体各部のアップデートやディメンションに合わせて剛性を最適化し、旋回時や制動時の良好な接地感を実現。優れた応答性を発揮する。

またフロントブレーキキャリパーには、取り付け剛性に優れるラジアルマウント式を新たに採用。安定した制動力と優れたコントロール性を実現している。

さらに大幅な軽量化(従来モデル比)とそれに伴う慣性モーメントの低減に貢献するスピンフォージドホイールを専用に新設計し、「MT-07」として初採用。俊敏なハンドリングを支える。

⑤つながる機能搭載の5インチフルカラーTFTメーターなど便利な機能

5インチTFTメーターを採用。速度やデジタルバーによるタコメーターのほか、燃料計、平均燃費、水温計、気温計、シフトインジケーターなどの表示機能を搭載。各機能の情報操作、セレクトはハンドルスイッチの操作で行います。表示パターンは4種から選択可能だ。

また、専用アプリ「Y-Connect(Yamaha Motorcycle Connect)」をインストールしたスマートフォンと車両を接続し、手元でYRCのセッティングを行ったり、さまざまな情報や画像をメーターに表示できる。これにより車両の管理、電話やメールの着信通知など、多様なコンテンツが利用できる。

さらに「Garmin StreetCross」アプリをスマートフォンにインストールし、車両とペアリングすることによって、メーター画面上でナビゲーション機能も使用できる。

加えて以下のような機能・装備を新たに採用している。
●直感的に操作可能な新設計ハンドルスイッチ
「MT-07 Y-AMT」は、ハンドルスイッチ左側にシフトアップとダウンを担うシーソー式レバーを装備。また、ハンドルスイッチ右側には、AT/MTモードの切換ボタンを追加している。
●新機能を搭載したフラッシャー(左右方向指示とハザード時の点滅機能に加え「二段階フラッシャー機能」「エマージェンシー機能」「消し忘れ機能」を新追加)

⑥新スタイリング

“Natural Simplicity for everyone”をデザインコンセプトに、先代が築きあげてきた俊敏さに寄与する軽量スリムなボディ、トルクフルな走りを想起させるスタイリングを継承。様々な体格や幅広いライディングスキルをもつライダーが走る楽しさを享受できるよう、マシンのプロポーションやフォルムは、よりナチュラルかつシンプルに洗練させた。特にタンクまわりからシートにかけてニーグリップしやすくし、マシンとの一体感を感じやすいようにしている。

またイメージを一新した小型で薄い小径LEDヘッドライトを採用。その下部に薄型のポジションライトを配置し、2眼に見立てることによって、端正でありながら親近感を感じるフロントマスクを実現した。テールライトも薄型の新作だ。

⑦コンパクトなレイアウトの電子制御シフト機構「Y-AMT」搭載車を設定

「MT-07 Y-AMT」には、左手によるクラッチ操作と、左足によるシフト操作をアクチュエーターが担うことで、ギアチェンジを自動化したシステム「Y-AMT(Yamaha Automated Transmission)」を搭載。「YCC-T」を含め、クラッチアクチュエーターやシフトアクチュエーターなどのレイアウトを工夫することによって、CP2エンジンならではの軽量コンパクトさを維持している。

ショートホイールベースで軽量な車体と新採用のサスペンションにマッチするように専用セッティングし、「MT-07」本来の楽しさを簡単な操作で味わえる。「Y-AMT」を採用することで、有段トランスミッション特有のスポーティなシフトフィーリングを損なわず、ライディングの楽しさを最大限に引き出した。

なお「MT-07 Y-AMT」にはATモードが備わっている。街中やワインディングロードなどオールラウンドな走行に対応できるモードと、スポーティな走行が楽しめるモードを設定するとともに、迅速な加速を実現するためキックダウン機能を搭載。MT-07のエンジンに合わせた専用セッティングが施されている。

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