ロータスやオースチンにバンデンプラとMGも……英国クラシックカーが勢揃い!?『ジャパンミニデイin浜名湖』はミニじゃなくても参加できる!

2024年11月3日(日)に開催された『ジャパンミニデイ in 浜名湖』の主役はあくまでもクラシック・ミニ。だが、主催団体の「JMSA」はミニ以外の英国車にも門戸を開いている。リポート7回目となる今回はロータスやMG、ヒーレー、ADO16などのミニ以外の車両に注目してみた。
REPORT&PHOTO:山崎 龍(YAMAZAKI Ryu)

クラシック・ミニだけが『ジャパンミニデイ』じゃない?
イギリスの往年の名車が会場に大集合!!

2024年11月3日(日)、静岡県浜松市の渚園キャンプ場を会場に『ジャパンミニデイ in 浜名湖』が開催された。このイベントは全国のミニ専門店が加盟する団体である「JMSA」(Japan MINI’s Specialist Association)が主催する日本最大のクラシックミニの祭典で、全国から3000台ものクラシック・ミニがエントリーする日本最大級のワンメイク・カーミーティングだ。

ガチャピン&ムックにトトロまで!? クラシック・ミニが3000台!『ジャパンミニデイin浜名湖』が自由すぎた……記念すべき第32回開催をチェック!!

2024年11月3日(日)、静岡県浜松市にある渚園キャンプ場にて『ジャパンミニデイ in 浜名湖』が開催された。このイベントは全国から3000台ものクラシック・ミニがエントリーする国内最大級のワンメイクミーティングだ。今回はミニ生誕から65周年目のメモリアルイヤーであるとともに、『ジャパンミニデイ』は1993年の第1回から数えて32回目(32回でミ・ニ)の開催となる。そんな特別な回となったイベントをこれから数回に渡って余すことなく紹介する。 REPORT:山崎 龍(YAMAZAKI Ryu) PHOTO:山崎 龍(YAMAZAKI Ryu)/りな(RINA)

ミーティングの主役はあくまでもクラシック・ミニである。しかし、英国車なら車種やメーカーなら参加が可能という間口の広さも併せ持つ。全参加車両に占める割合は少ないものの、ミニの姉貴分に当たるADO16シリーズをはじめ、ミニ以前にアレック・イシゴニスが設計を手掛けたモーリス・マイナー、ロータス・ヨーロッパやエランなどのクラシックスポーツ、英国車のイベントでは定番のMG-BやMGミジェットなど錚々たる顔ぶれが集まった。

ロータス、MG、ヒーレー、ADO16……英国社ファン垂涎の車両を写真で一気に紹介!

『ジャパンミニデイ in 浜名湖』リポート7回目となる今回は、写真を中心にミニ以外のエントリー車両を紹介していこう。

■ジネッタG4

ボブ、アイバー、トラバース、ダグラスのウォークレット兄弟が起こしたジネッタが1961年に発表したライトウェイト・スポーツカーのG4。鋼管スペースフレームのシャシーに直列4気筒エンジンをフロントミッドシップに縦置きで搭載する。
ジネッタG4のリヤビュー。曲線を生かしたグラマラスなボディはグラスファイバー製だ。写真のクーペ以外にロードスターモデルが存在する。スタイリングはアイヴァー・ウォークレットが担当した。
ジネッタG4のエンジンルーム。フォード製Zetec直列4気筒DOHCエンジンにウェバー製キャブレターを組み合わせる。

■モーリス・マイナー・トラベラー

アッシュ材のウッドトリムが外観上の特徴となるモーリス・マイナー・トラベラー。オースチン・ミニ・カントリーマンやモーリス・ミニ・トラベラーのウッドトリムとは異なり、このクルマはパネルを接合する構造材となる。

クラシック・ミニのワゴンって知ってる?トラベラー、カントリーマン、クラブマン・エステートの違いとは!?『ジャパンミニデイin浜名湖』

静岡県浜松市にある渚園キャンプ場にて、2024年11月3日(日)に開催された『ジャパンミニデイ in 浜名湖』には、全国から3000台ものクラシック・ミニがエントリーした。数の上では2BOXサルーンがもっとも多いのだが、日頃街中ではなかなかお目にかかれないエステートモデルのオースチン・ミニ・カントリーマン/モーリス・ミニ・トラベラーの参加もかなりのもの。今回は瀟酒なスタイリングと実用性の高さから世界的に人気のあるクラシック・ミニのエステートモデルを紹介して行く。 REPORT:山崎 龍(YAMAZAKI Ryu) PHOTO:山崎 龍(YAMAZAKI Ryu)/りな(RINA)

モーリス・マイナー・トラベラーのリヤビュー。最近になって交換したのかウッドトリムの状態はかなり良好。交換用のパーツは現在でも入手が可能だが、交換には車体後部の外装をバラバラに分解するためかなりの手間となる。同じ木材でワンオフ製作されたルーフキャリアが特徴だ。
モーリス・マイナー・トラベラーのインテリア。ウッドトリムと同じ木材でインパネ下に棚が作られ、床のカーペットと同じ素材でドアトリムが製作されている。

■モーリス・マイナー2ドアセダン

クラシック・ミニ以前にアレック・イシゴニスが設計を手掛けたモーリス・マイナー2ドアセダン。マイナーシリーズで最もベーシックなモデルとなる。
モーリス・マイナー2ドアセダンのリヤビュー。マイナーは1948年にヘッドランプの位置が低いシリーズ1がデビュー。次いで1952年にシリーズ2が登場。写真のシリーズ3はシリーズ2の改良型で排気量を0.85Lから1.0Lへと拡大したA型エンジンを搭載した。のちに排気量は1.1Lへと拡大している。
モーリス・マイナー2ドアセダンのサイドビュー。マイナーシリーズは大変な長寿モデルで、生産を終了したのは1971年のことだった。

■バンデンプラ・プリンセス

日本でも人気の高いADO16シリーズの最上級モデル・バンデンプラ・プリンセス。このブランドはもともとベルギーで発祥したコーチビルダーで、英語表記ではVanden Plasとなるが、ベルギーで公用語のひとつとされているフランス語では「Plas」の最後の「s」は発音しない。そのため日本語表記は「バンデンプラ」となる。
バンデンプラ・プリンセスのインテリア。バンデンプラのイギリス支社として同社の歴史は始まった。もともと独立メーカーであったが第二次世界大戦後にオースチンに吸収され、同社の高級大型セダンにこのブランド名が与えられることになる。バンデンプラ・プリンセスのインテリアは本革とウッドパネルを使った高級な意匠が特徴となる。
上とは別のバンデンプラ・プリンセス。コンパクトカーに高級車並みの装備が与えられ、前後輪関連懸架・ハイドロラスティックによる良好な乗り心地から「ベビー・ロールス」の異名を持つ。

■ウーズレー1300

ADO16シリーズのひとつウーズレー1300。バンデン・プラほどではないが豪華な内装を持つ小さな高級車。
ウーズレー1300のリヤビュー。ADO16シリーズとしては後発のモデルで、1965年秋に1.1Lエンジンを持つ1100として登場。1967年のマイナーチェンジで排気量を1.3Lに拡大した1300となる。

■オースチン1300・カントリーマン

ADO16シリーズの最終型でモーリス1300とともにボトムレンジを担ったオースチン1300。その中でも写真のクルマは珍しい3ドアエステートのカントリーマン。
ADO16
ADO16(Austin Drawing Office Project No.16)とは、BMCミニ(ADO15)のワンクラス上の小型乗用車として1962年に登場した。
設計はミニに引き続いてアレック・イシゴニスが担当。可能な限り四隅にタイヤを配置した上で、ミニで実績のある横置き2階建てパワートレインを使用したFWDレイアウトを採用しているが、新たな試みとしてラバースプリングの一部に液体を封じ込めた前後輪関連懸架のハイドロラスティック・サスペンション(シトロエンのハイドロニューマチックの簡易版ともいえる構造のサスペンション)を採用したことに特徴がある。
当時のBMCの販売方針に従って、内外装の意匠やトリムレベルを変えた上で、傘下の複数のブランドで販売した。ボトムレンジの大衆車はオースチンとモーリスが担い、中級車をウーズレー、スポーツモデルをMG、ウーズレーよりやや高級なレンジをライレー・ケストレル、「ベビー・ロールス」の異名を持つ最高級車をバンデン・プラ・プリンセスが受け持った。
当初、シリーズは1.1Lだけだったが、のちに1.3Lが追加されている。また、ボディバリエーションは4ドアサルーンを基本としながらも、ブランドによって2ドアサルーンやエステート(ステーションワゴン)の設定もあった。1970年に徐々に後継者と入れ替わって行き、最後まで生産が続いたバンデン・プラ・プリンセス1300の生産終了は1974年のことだった。
クラスを超えた優れた乗り心地と居住性、卓越した操縦性、高い実用性と経済性により英国市場のみならず欧州全土で人気となったが、生産コストが高く、BMCの経営を充分に潤したとは言えなかった。

■オースチンA30

1950~1956年にかけて生産されたオースチンA30は、名機Aシリーズエンジンを初めて搭載したFRレイアウトのコンパクトセダン。1956年には排気量0,8Lから1.0Lへと拡大したA35が登場している。

■オースチン・ヒーレー・スプライト

「カニ目」「フロッグアイ」「バグアイ」など特徴的なヘッドランプに起因する意表を持つオースチン・ヒーレー・スプライト。生産期間は1959年から2年間と短かったものの、世界中に多くのファンを持つライトウェイト・スポーツカー。
上とは別のオースチン・ヒーレー・スプライト。こちらはフロントスクリーンをレーシングスクリーンに換え、ロールバーを追加したクラブマン ・レーサー仕様。

■オースチン・ヒーレー・スプライトMk.2

1961年に誕生したオースチン・ヒーレー・スプライトMk.2。MGミジェットのバッジエンジニアリングモデルで、エンブレムやグリルの意匠を除いてデザインやメカニズムは基本的に同一となる。

■ロータス・エランS4スプリント

ロータス・エランS4スプリント。強力な「ビッグバルブ」エンジンを搭載したエランのハイパフォーマンスバージョンだ。
ロータス・エランS4スプリントのリアビュー。写真のフィクスドヘッドクーペのほかオープンモデルのドロップヘッドクーペの設定もあった。

■ロータス・エランS3

ロータス・エランS3。幌をかけた状態のドロップヘッドクーペだ。エランはヒーレー・スプライトの大ヒットに触発されたコーリン・チャップマンが二匹目のドジョウを狙ってロン・ヒックスに開発を命じたライトウェイト・スポーツカーだ。

■ロータス・ヨーロッパ・スペシャル

JPSカラーのロータス・ヨーロッパ・スペシャル。フォードがGT40プロジェクトを進めていた際にロータスが提案したミッドシップ・レーシングカーの設計を元にロードゴーイング・スポーツカーとして誕生した。
ロータス・ヨーロッパ・スペシャルのリヤビュー。その独特なスタイリングから「ブレッド・バン」(パン屋の配達バン)と揶揄された。設計はロータス社に在籍していたエンジニアのロン・ヒックマンが担当した。
ルノー16用の1.5L直列4気筒OHVから始まったロータス・ヨーロッパのエンジンは、1971年の「ツインカム」からフォード製のエンジンにロータス製DOHCヘッドを組み合わせている。スペシャルではこのDOHCユニットをチューンした「ビッグバルブ」と呼ばれるユニットを搭載。

■MG-A

MG-Aは1955年に誕生したMGが戦後に設計した初のロードスター。戦前型のTAに始まるTシリーズから発展したメカニズムを持ち、それに空力的に優れた流麗なボディを載せている。イギリスだけでなく北米にも多数輸出され、世界的なヒットモデルとなった。

■MG-B GT

MG-Aの後継として1962年に誕生したMG-Bから派生した2ドアハッチバッククーペのMG-B GT。1965年に追加され、耐候性に優れた金属製ルーフと簡易なリヤシートを持つことから人気となった。

■TVRタスカン

1999年にTVRが発表した2代目タスカン。曲面を多用した軽量なFRP製ボディに360psを発揮する4.0L直列6気筒DOHCエンジンを搭載したスポーツカー。製作が中止となったドラマ『西部警察2003』は刑事役の俳優がカーアクション中にこのクルマのハンドル操作を誤って見物人に突っ込んだのが原因。タスカンをパトカーに使う警察って一体……。

■ケータハム ・セブン170S

軽自動車登録されたピュアスポーツカーのケータハム ・セブン170S。2021年に160の後継としてデビューした。スズキ製のR06A型直列3気筒ターボエンジンを搭載し、ギヤボックスやデフもスズキの軽自動車用のパーツが使用される。

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著者プロフィール

山崎 龍 近影

山崎 龍

フリーライター。1973年東京生まれ。自動車雑誌編集者を経てフリーに。クルマやバイクが一応の専門だが、…