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トルクフルなターボエンジン 静粛性が際立つハイブリッド

子育てファミリー層に人気のカテゴリーと言えば、Mクラスのミニバンだが、その本家家元がステップワゴン。他社がキャブオーバーバンをベースにミニバンを仕立てていた20世紀末、FFプラットフォームをベースとすることで、乗降性や室内高を大幅に改善。ライバル他車も、それに追随することとなった。
エクステリア




そんなステップワゴンも、現行モデルで第六世代。全幅を1750㎜まで広げて5ナンバーサイズと決別し、新たなステップを踏み出した。ラインナップを二系統に分けているのは先代までと同じだが、サブネームの付かなかった標準モデルに「AIR(エアー)」という名前を新たに付与。プレミアムモデルの「SPADA(スパーダ)」と対等の関係にしている。
乗降性



ライバル他車との違いは、まずパワーユニットの設定。純ガソリンエンジンとハイブリッド仕様を用意するのは同じだが、前者には1.5ℓの直噴ターボを採用。同カテゴリーでターボエンジンを搭載するのはステップワゴンが唯一だ。最大トルクは203Nmと、ライバルの2.0ℓエンジンを出し抜いてトップの数値。しかも発生回転数が1600〜5000rpmと低速側に広いため、力強さはひとクラス上の印象がある。ハイブリッド仕様のエンジン排気量は2.0ℓと、ライバル他車の1.4ℓや1.8ℓに対して余裕をもたせた設定。しかも燃費ばかりを追求せず、静粛性にも配慮してクランクシャフトなどの剛性を高めているため、エンジン稼働時の静かさでもライバルをリードする。
インストルメントパネル

ハイブリッドシステムはホンダ独自のe:HEV。エンジンで発電してモーターで走行するシリーズ式をベースに、エンジンと駆動軸を直結するクラッチを加え、エンジン走行やパラレル式ハイブリッドとしても運用できる。純粋なシリーズ式の日産セレナと燃費を比べると、直結クラッチが活躍する郊外モードと高速道路モードで効果があるのがわかる。走行用モーターの最大トルクは315Nmと、セレナとは同じで、ノア/ヴォクシーの約1.7倍。後者はエンジントルクも上乗せされるので、システムトルクではここまでの差はないが、ここ一発の瞬発力ではステップワゴンが上回る。
居住性



装備面でライバルと異なるのが、床下格納式の3列目シート。ライバルはいずれも左右跳ね上げ式であるため、格納時にラゲッジスペースの横幅を制約するが、ステップワゴンは室内幅がフルに使える。乗り味は従来までのドライバー・コンシャス路線からがらりと変わり、乗員全員の快適性とクルマ酔いしにくさを追求している。特に従来型のスパーダは、操舵応答性に〝やり過ぎ感〞があり、同乗者は振り回され気味だったが、新型はマイルドな応答性と、それなりにロールを許すセッティングとなり、同乗者の快適性は格段に向上。それでいて動きの予測は付けやすいため、ドライバーはクルマとやりとりしながら、楽しくドライビングを組み立てられる。
うれしい装備





月間販売台数 3985台(24年5月~10月平均値)
現行型発表 22年5月
WLTCモード燃費 20.0 ㎞/ℓ※「e:HEV AIR」

ラゲッジルーム



販売台数ではライバルの後塵を拝しているステップワゴンだが、他車にはない個性が気に入ったなら、むしろ「これ一択」でも良いのではないか。

