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癒し系からハンサム顔に進化 内装各部や先進機能も大幅刷新

かつてルノー・カングーの寡占市場だった輸入ピープルムーバー市場に割って入ったのが、2019年秋に発売されたシトロエン・ベルランゴだった。以後、同じステランティスグループ傘下で基本設計も共有するプジョー版やフィアット版も上陸。このクラスの日本市場は、カングーとステランティス軍が群雄割拠する構図に様変わりしてしまった。
エクステリア




そんなステランティス軍でも一番人気を誇ってきたのが、このベルランゴである。シトロエンブランドの知名度に加えて、最初に上陸したこと、そしてエアバンプをモチーフとする癒し系デザインが日本人に受けた……のが、その理由と思われる。そんなベルランゴも上陸から約5年で、初のマイナーチェンジを受けた。主眼は外観デザインの刷新で、従来のかわいい系から、ある意味で真逆とも言えるハンサム顔に一変した。内装ではステアリングホイールが新デザインになったほか、メーターのデジタル液晶化、センターディスプレイの大型化、先進運転支援システムの世代交代、そしてシフトセレクターやドライブモードスイッチなど、各部がアップデートされた。
乗降性


逆に言うと、デザインや装備以外のクルマの本質に大きな変化はない。標準モデルで4405㎜×1850㎜×1830㎜というスリーサイズでは、全高のみ20㎜大きくなったが、これはルーフレールの形状変更によるものだ。さらに全長を365㎜、ホイールベースを190㎜延長してサードシートを備えたロングが変わらず用意されるのも、宿敵カングーに対するベルランゴの利点だ。
インストルメントパネル

もともとが商用バンと基本骨格を共有する高スペース効率設計もあって、室内空間は広大そのもの。荷室も余計なでっぱりのない四角四面の形状でとても使いやすく、リヤシートもきれいにフラットになるチルトダウン可倒。そのリヤシートが3分割式であることや、開閉式のリヤガラスハッチ、さらにガラスルーフと収納ブリッジを組み合わせたモデュトップが、カングーに対する明確な差別点で、これらの使い勝手を理由にベルランゴを選ぶ向きもあろう。1.5ℓディーゼル+8速ATのパワートレインを含めた走行メカニズムも基本的に変更はない。エンジンの最高出力や最大トルク、カタログ燃費もこれまでどおりだ。パワーはこれもまた必要十分レベルだが、少なくともカングーのディーゼルよりはパワフルで柔軟である。
居住性


その乗り味はシトロエンらしいもので、例えばライバルのカングーや、同じ基本設計ながらSUV仕立てのプジョー・リフターと比較しても、柔らかに上下するしなやかさを身上とする。アッパーボディの動きもルノーやプジョーと比較すると大きいが、マイルドなステアリングレスポンスによって巧くバランスされており、怖さを感じるような挙動にはならない。また、日本上陸からシャシーの改良は明言されていないものの、約5年前の上陸当初と比較すると、アッパーボディの動きはより抑制が効いたものとなり、ロードノイズなどの静粛性も0.5〜1ランク引き上げられたような印象である。
うれしい装備





月間販売台数 NO DATA
現行型発表 19年10月(マイナーチェンジ 24年10月)
WLTCモード燃費 18.1 ㎞/ℓ

ラゲッジルーム


ご承知のように、カングーも昨年に新しくなったばかりで、輸入ピープルムーバー市場はますます熱い。

