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CX-80マイルドハイブリッド・ディーゼルを試す
マツダCX-60が登場してから、ほぼほぼ2年くらい経ったのか。ラージ軍はFRプラットフォームで直6エンジンがガソリンとディーゼルの両方あるし、本格的なプレミアムセグメントに片足入れたような、ちょっと高級車っぽいSUV。
今乗っているのはCX-80、24Vのマイルドハイブリッド3.3Lディーゼル。他には2.4Lのプラグインハイブリッドがあるが、私的には絶対ディーゼルが一押し!! エンジンに関しては本当に気持ちよく走れる。マツダのディーゼルは尿素SCRがいらないので（SKYACTIV-D）、気を遣わないで走ることができる。
課題だったのは、このデカいクルマをどういう風に気持ちよく走らせるか？というところだと思う。乗り心地（ハーシュ）とか、3列シートということでホイールベースも長くなり、ちょっと重たくなったせいもあってしなやかな乗り味になっている。今、こういう上級指向のSUVってありそうでなく、日本ではクラウンとCX-60、CX-80だけなのかな。
ADASの具合はどうだ？
試乗は淡路島。これだけ2車線でいい路面なのに制限速度は70km/h…。ADASテストをしてみたいが、なんか交通の流れに逆らうような感じ（汗）。
まず、右手の親指でセット。走っている速度にマイナスのボタンを押すと設定できる。今は規制速度70km/h、設定速度70km/h。ADASはACC（車間距離制御装置）とLKAS（車線維持支援システム）のスイッチが2系統になっている。でLKASも入れるとどうなるか。メータパネルには車線が出てきて、右の車線に近づくと電動パワステで左の方に戻してくれる。この辺は実動においてはよくできている。ADASも合格！
インテリアのデザインも凝っていてイイが、私的には…試乗車のような豪華なラグジュアリーバージョンがあってもいいと思うが、質素で質実剛健なインテリアがあってもいいかなと思う。白のインテリアって買う時に度胸がいる。汚れたらどーしよ～みたいに。まぁ高級車を買う人はそういうことはあまり気にしないのかもしれないけど。
マツダの得意技は、やっぱりディーゼルエンジンだと思う。バイオ燃料みたいなものを使っていくと、サスティナブルにディーゼルエンジンが使える。
それと、この縦置きでFRにAWD含めたプラットフォーム、これもライバルで見るとBMWとメルセデス・ベンツくらいしかないから、マツダの差別化というのがCX-60やこのCX-80でできるような気がする。ここにひとつのリソースをかけてしっかりしたプラットフォームを築き上げていった方がいいと思う。
スライドドアの設定さえあれば最強なのになぁ
最近MAZDA2やCX-30に乗ると思うのが、Bセグ／Cセグのクルマは本当によくできていて、またインテリアの質感もいい。それは褒められる点だ。
が、ただ問題なのは、マツダはエンジニアたちがいいねと思うクルマに拘りすぎて、マーケット、お客さんが欲しいと思うものを提供しているか？というと、必ずしもそうではないような気がしている。
例えば、最近メガヒットしているホンダ・フリードやトヨタ・シエンタもそうだが、Bセグでスライドドアを持っている。高齢者になると、私も最近タクシー乗り場でゼロクラウンとジャパンタクシーがいたら、待ってでもジャパンタクシーに乗っちゃう。乗り心地は絶対的にクラウンだが、乗り降りが楽っていうのがポイント。やっぱりスライドドアのクルマをマツダは持っていなくてはダメ。昔はプレマシーとかあったと思うのだが。
そういうところにこだわりを持てば、例えばこのCX-80はホイールベースが長い3列シートだから、これをスライドドアで作ったらトヨタ・アルファード／ヴェルファイアの強敵なライバルとなり得るんじゃないかなと思う。トヨタはハイブリッドしかないが、マツダにはこのディーゼルがあるので、レクサスLMみたいに2列シートにすればすごい高級車が作れるような気がする。
ただ必要なのは、スライドドア。それが実はマーケットが求めていること。マツダのデザイナーなどが“スライドドアなんかボクシーでカッコ悪い…”なんて思っていたら、ビジネスチャンスを逃すかなっていう気がする。ユーザーが何を求めているかということをもうちょっとしっかり考えていけば、違うビジネスのやり方もあるかなと思う。そういう意味で、商品計画とか営業とかと、もう少し一体となったチームで頑張って欲しいなと思うね。
ワインディングでも大きさは感じないね
なんか楽しそうなワインディングなんだけど40km/h制限。このクルマでワインディング40km/hじゃ何も起きない！ 完璧オン・ザ・レール!! あまり大きさを感じないね。アクセルレスポンスもいいし、1500rpmくらいでアクセル踏むとスッとトルクが出て加速する。ちょっと路面の悪いところが出てくるともう少しサスペンションはしなやかでもいいかなと思うけど。
CX-80の2列目をショーファードリブン的に1列目のシートを前に倒して足元ゆったり、背もたれも倒してっゆったりと座って、2列目シートの乗り心地がどうなのか？っていうのをチェックしてみよう。路面のちょっとした微妙なアンジュレーション、凹凸に対して、運転席よりも2列目シートの方がお尻に感じるものがあるね。
スポーツではなくオールラウンドタイヤなら乗り心地もアップするかな？
マツダの力量が試されるCX-80。CX-60よりもホールベース伸びた分、全長も長いが（CX-80＝4990mm、ホイールベース＝3120mm／全長：CX-60＝4740mm、ホイールベース＝2870mm）、3列シートも2列シートもあり。マツダのラージ軍の中でエンジンを縦に置くFRプラットフォームでAWDもあり、1番のベース車両にはFRもある。
従来の、CX-5ベースでロングホールベースのCX-8が人気だったのでそれを残念がる人もいるが（2023年12月に生産終了）、その後継モデルとしてちょっとプレミアムになったラージ軍のCX-80。私的にはサイズ的にはCX-60がいいが、ただCX-80の方が最新版ということで、乗り心地とかパワートレーンを含め洗練されたモデルになっている。
今回この淡路島を中心に神戸、徳島とロングドライブしてきたが、なかなかよくできている。ただ、もうちょっと乗り心地がしなやかであって欲しいという注文はつけたい。
例えばタイヤを見ても、トーヨーのプロクセスを履いているが、“スポーツ”と書いてありドライグリップ仕様のタイヤになっている。これはもう少しオールシーズン的な、AWDにはオールラウンドなタイヤの方がいいのかな。そのほうが足り味はマイルドになるので、タイヤを換えれば乗り心地も変わるのではないか。
でも、このサイズでこのボリュームで直列6気筒3.3Lディーゼルとして値段は安い（XD-HYBRID Premium Modern：6,325,000円［税込］）。マツダは少し安くしすぎ！というきらいがある。こういうクルマは長く乗れるので、リセ－ルバリューもガタ落ちしないようにうまく仕組みを作れば、ちょっと車両価格を高くしてもオーナーはそんなには負担にならないかなとも思う。
そういう意味でも今回、かなり頑張って作ったCX-80。ただ残念なのは、アメリカにあって日本にはない直6のガソリンエンジン。多分欧州ではディーゼルも出すと思うが、日本でもガソリンの直6エンジンがあったらBMWみたいな気持ちのいいエンジンになったのかなとも思う。
でも、このディーゼルもパワートレーン的には気持ちいい。8速ATとのマッチングも悪くないし、ショッピングリストに入れてもいいのかなと思ったね。
【SPECIFICATIONS】
車名：MAZDA CX-80 XD-HYBRID Premium Modern
全長×全幅×全高：4990×1890×1710 mm
ホイールベース：3120mm
トレッド（前/後）：1640/1645mm
車両重量：2120kg
最小回転半径：5.8m
乗車定員：6名
エンジン種類：直列6気筒DOHCディーゼルターボ
内径×行程：86.0×94.2mm
総排気量：3283cc
エンジン最高出力：187kW（254ps）/3750rpm
エンジン最大トルク：550Nm(56.1kgm)/1500-2400rpm
モーター最高出力：12kW(16.3ps)/900rpm
モーター最大トルク：153Nm(15.6kgm)/200
燃料タンク容量：74L（軽油）
駆動方式：四輪駆動
トランスミッション：8速AT
サスペンション（前/後）：ダブルウイッシュボーン／マルチリンク
ブレーキ（前/後）：ベンチレーテッドディスク／ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ（前/後）：235/50R20／235/50R20
車両価格(税込)：6,325,000円