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■3代目シビックセダンに高性能Siモデル登場
1985(昭和60)年3月8日、ホンダは1983年にデビューした3代目「シビック」セダンに高性能16バルブのDOHC(ZC)エンジンを搭載した高性能モデル「シビック4ドアSi」を追加した。シビック4ドアSiは、前年11月にデビューした「シビックSi」に続いての登場で、そのスピードを生かしてサーキットレースで大活躍した。

3つのボディスタイルで人気を獲得した3代目“ワンダーシビック”
1983年にモデルチェンジで登場した3代目“ワンダーシビック”は、ロングルーフのビュレットフォルムを基本として、ハッチバック、セダン、ハイトワゴンの3つのボディを用意し、それぞれに異なるプラットフォームを使って最適設計をしているのが最大の特徴だ。

3ドアハッチバックは、先代よりも全高を100mm下げ、全幅を50mmも広げたワイド&ローのスマートなスタイル。その1ヶ月後にデビューしたセダンは、広い室内空間とトランクルームを確保したモダンな3ボックススタイル。ユーティリティが求められるシビックシャトルは、ハイトワゴン風のスタイルであり、同じシビックシリーズにはとても見えない個性的なモデルに仕上げられた。
パワートレインは、最高出力80psを発揮する1.3L、90psの1.5L直4 SOHCのキャブ仕様、100psの1.5L直4 SOHC燃料噴射仕様の3種エンジンと、4速/5速MTおよびホンダマチックの組み合わせ。いずれもホンダらしく俊敏な走りとともに優れた燃費もアピールポイントだった。
やや人気が減速した2代目を継いだ3代目は、ボディバリエーションの豊富さで人気を盛り返したのだ。
ZCエンジン搭載のシビックSi登場


3代目シビックには、DOHC・16バルブを搭載した高性能グレードSiが追加された。DOHCエンジンは、1996年にデビューしたオープンスポーツ「S800」以来の搭載である。

1.6L直4 DOHC・16バルブ(ZC)エンジンを搭載したSiモデルは、1994年11月にまずハッチバックに「シビックSi」として設定され、1995年3月のこの日にセダン「シビック4ドアSi」が追加された。

このDOHCエンジンには、市販乗用車で世界初の4バルブ内側支点スイングアーム方式を採用。これにより吸排気弁のハイリフト化が可能となり、吸排気効率を大幅に向上させて高回転・高出力化が実現された。さらにエンジンのコンパクト化や世界初の異形中空カムシャフトを採用するなど数々の軽量化によって、高性能と小型軽量化が両立された。
その他にも、ペントルーフ燃焼室形状の最適化やセンタープラグ方式の採用、排気系の最適化によって、最高出力135ps/最大トルク15.5kgmの高性能を達成し、パワフルなSiは全日本ツーリングカー選手権などで大活躍した。
シビック4ドアSiの車両価格は、5速MT仕様で146.7万円。当時の大卒初任給は19.4万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値で約174万円に相当する。
シビックの高性能モデルは、Siに始まり、SiRからタイプRへ進化

歴代のシビックには、モータースポーツで活躍するベース車として高性能なスポーツモデルがラインナップされてきた。DOHCエンジンを採用した3代目シビックSiに続いたのは、1987年にデビューした4代目“グランド”シビックのマイナーチェンジで1989年9月に登場した「シビックSiR」だ。搭載された1.6L直4 DOHC VTECエンジン(B16A型)は、160ps/15.5kgmとリッター100psオーバーを達成した。

1991年9月に登場した5代目シビックでは、スポーツモデルは4代目と同じB16A型エンジンが搭載された「SiR」が設定され、その出力は170ps/16.0kgmまで引き上げられた。SiRは、ハッチバックだけでなくセダン「フェリオ」にも設定された。

1995年9月に、シビックは6代目にフルモデルチェンジ。SiRは当初からラインナップされ、エンジンは同じB16A型で出力も170ps/16.0kgmと同じだった。


そして1997年8月のマイナーチェンジで、高性能モデルとして現在もホンダスポーツの象徴的な存在となっている「タイプR」が設定された。これを機に、それまでモータースポーツ用のベースモデル的存在だったSiRはなくなり、以降はシビック・タイプRが後を引き継いだのだ。
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ホンダのスポーツモデルには、伝統的にF1レースで培ってきた技術が投入されてきた。3代目シビックのZCエンジンもその後のB16型エンジンも高回転化や高性能化、軽量化、低フリクション化などF1の技術が随所に生かされている。これが、他社と異なるホンダの大きなスロングポイントなのだ。
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