クロスオーバー軽の元祖は機能も超充実「スズキ・スペーシア ギア」【最新国産新型車 車種別解説 SUZUKI SPACIA GEAR】

ギア=装備・道具という名前を持つ通りツール感満載の「スズキ・スペーシア ギア」。硬質なフォルムとボディデザイン、ルーフやガーニッシュなどの味付けはスペーシアシリーズの中でも特別感をまとっている。アウトドアでの気配り装備や最新の運転支援機能で、いつでも誰もがアクティブで安心、快適なライフスタイルを提供してくれる。
REPORT:青山尚暉(本文)/山本晋也(写真解説) PHOTO:神村 聖 MODEL:あらた唯

ギアだけの豊富な専用装備 先進安全機能も燃費も優秀

今、スーパーハイト軽自動車が売れに売れている。各車、標準車とカスタム系に加え、アウトドアシーンにも適するクロスオーバーモデルを用意しているのだが、そのクロスオーバー軽のパイオニア的存在なのが2018年に登場したスズキのスペーシアギアだ。そして3代目スペーシアにも、待望のギア(2代目)が24年9月に発売されている。

エクステリア

ルーフレールや前後バンパーのスキッドプレートがSUVテイストを表現。テールゲートの車名ロゴとサイドドアのエンブレムにオレンジのアクセントカラーを配することでスペシャリティ感を演出する。最小回転半径は4.4m。

新型スペーシアギア最大の特徴はエクステリアだ。ひと目でギアとわかる顔つきやフロント&リヤ部分のスキッドプレート、GEARのロゴが入るサイドドアガーニッシュ、サイドアンダーガーニッシュ、ルーフレール、そしてプラスのネジをモチーフにした15インチアルミホイールなどによって標準車、カスタムとは別物の佇まい、デザインを採用する。インテリアは基本的にスペーシアに準じているものの、基本内装色をブラックとし、低彩度のカーキグリーンと、随所にアクセントカラーとしてオレンジを組み合わせた、タフに使い倒せるアウトドアギアのような道具感が強調された世界を演出。シートは撥水加工が施され、ラゲッジルームも防汚タイプに変更。キャンプシーンやSURF&SNOWのスポーツシーンでガンガン使えるように仕立てられているのである。

乗降性

もちろん、3代目スペーシアの目玉と言える同モデル初の電子パーキングブレーキとオートブレーキホールド機能や、フラップの位置や角度の調整で3種類のモードに対応するマルチユースフラップ、暑い時期にうれしいスリムサーキュレーター、寒い時期に役立つステアリングヒーター、そして14種類もの衝突軽減ブレーキや全車速追従機能・停止保持機能付きのACC、ヘッドアップディスプレイなどを含む先進運転支援=スズキセーフティサポート、サイド&ガーテンエアバッグなどの機能・安全装備も充実している。

インストルメントパネル

お弁当を置けるほど広い助手席前のオープントレーなどは標準モデルと共通だが、スペーシア ギア専用のカーキグリーンとすることで道具感を演出する。メーカーオプションのナビは9インチの大画面を採用。

ギアのラインナップは上級の「XZ」のみでNAとターボモデルの2タイプ。それぞれにFFと4WDが揃う。クロスオーバー軽と言っても最低地上高はスペーシアと同じ150㎜だ。スズキのクルマは軽量化に熱心だが、FFで900〜910㎏、ターボ4WDでも960㎏と軽い。

居住性

そんなスペーシアギアを走らせれば、NA、ターボエンジンモデルを問わず、ボディ剛性の高さを実感できる、やや硬めのしっかり感あるクラスを超えた上質な乗り味を示し、段差の乗り越えもビシリと不快感なくこなす。3代目スペーシアで開発陣がこだわった車内の静かさ。特に後席の静かさはギアにも引き継がれ、軽自動車らしからぬ巡行時の静かさと快適感ある走りを披露。動力性能的にはNAエンジンだと街乗りメイン+αという印象だが、ターボエンジンになれば高速走行や山道でも余裕ある加速性能、巡行性能を味わわせてくれるのだ。

うれしい装備

座面先端の位置や角度を調整できる「マルチユースフラップ」を最前方まで引き出すとオットマンモード(駐車時の使用を推奨)となる。シートバックテーブルやウインドウのロールシェードも備えた快適空間だ。
追加モデル発表     24年9月20日 
月間販売台数       13532台(24年6月~11月平均)※スペーシア/スペーシアカスタムを含む
WLTCモード燃費    23.9km/ℓ ※NAのFF車

ラゲッジルーム

高速走行時の特筆点はACCの作動だ。全車速追従機能・停止保持機能付きであるとともに、なんとカーブ速度抑制機能(メーカーオプションナビ使用時)、ウインカーと連動した車線変更時の補助機能(スムーズで安全な追い越し、合流を補助)まで備わっているのだから先進的だ。なお、東京〜南房総往復の実燃費は20.6㎞/ℓと極めて優秀だった。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.165「2025年 最新国産新型車のすべて」の再構成です。

キーワードで検索する

著者プロフィール

MotorFan編集部 近影

MotorFan編集部