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名門チームの飛躍に期待!アルピーヌF1の2025シーズンが開幕した!

モータースポーツの最高峰、FIAフォーミュラ1世界選手権(F1)の2025年シーズンが、オーストラリアGPで開幕した。今シーズンは過去最多にならぶ24戦が予定され、10チーム、20名のドライバーが世界一をかけて争う。
BWTアルピーヌ・フォーミュラワン・チーム(以下アルピーヌ)は、イギリスのエンストンに拠点を置き、1995年、2005年、2006年にコンストラクターズチャンピオンに輝いた名門だ。
現在はアルピーヌと名乗っているが、F1に参入したのは1986年。ベネトンとしてF1での戦いを開始すると、1994年から2年連続でミハエル・シューマッハーがドライバーズタイトルを獲得。ルノーに買収された翌年の2002年からはルノーF1に名を改め、2005年、2006年にフェルナンド・アロンソがドライバーズ選手権を連覇を果たした。
その後、ロータスを名乗る期間を経て2016年に再びルノーF1に戻ると、2021年にはアルピーヌにリブランドされた。

アルピーヌとして再スタートを切った2021年は、第11戦ハンガリーGPでエステバン・オコンが優勝。しかし、2022年はポディウムフィニッシュはゼロ、2023年は2度表彰台を獲得したものの優勝には手が届かないなど、苦戦が続く。
3年目の2024年、前半は入賞もままほど成績が低迷するなか、チームは再建に舵を切った。6月にシューマッハーとアロンソをチャンピオンに導いたフラビオ・ブリアトーレがエグゼクティブ・アドバイザーとして復帰させると、7月には元レーシングドライバーで、ジュニア・フォーミュラの強豪であるハイテックGPの創始者であるオリバー・オークスがチーム代表に招聘した。
その後、シーズン後半戦から成績が上向き始めると、第21戦ブラジルGPではオコンが2位、ピエール・ガスリーが3位とダブル表彰台を獲得。最終的にコンストラクターズランキング6位でシーズンを締めくくった。
日本人ドライバー「平川亮」を起用するなど、ドライバーラインナップにも大きな変化
2025年に向けては、ドライバーラインナップを変更。ガスリーをエースとして続投させる一方、ロードレース世界選手権の元王者ミック・ドゥーハンの息子であるジャック・ドゥーハンをレギュラードライバーに昇格させた。

さらに大きな変化として、アルピーヌはトヨタ系ドライバーである平川亮をテスト兼リザーブドライバーとして起用した。平川はスーパーGTシリーズGT500クラスでチャンピオンに輝くなど日本のトップドライバーとして活躍したほか、FIA世界耐久選手権(WEC)ではTOYOTA GAZOO Racingからハイパーカークラスに参戦した2022年から2年連続でドライバーズチャンピオンを獲得している。
2023年9月にはリザーブドライバーとしてマクラーレンF1に加入。シミュレーター開発に携わったほか、2024年の最終戦アブダビGPでFP1に出走した。

アルピーヌでもすでに活動を始めており、エンストンのファクトリーでのシート合わせを経て、この3月2日にはバーレーンでの2026年用タイヤ開発テストに参加。2023年型をベースにしたマシンを用いたこのセッションで131周を走破した。さらに、4月4~6日には、三重県の鈴鹿サーキットで日本GPが開催されるが、そのFP1にも出走する見通しだ。
“コンスタントなトップ6入り”を目標に今シーズンは奮闘

3月16日のオーストラリアGPでは、アルピーヌはガスリーが予選9位/決勝11位、ドゥーハンは予選14位/決勝リタイアと、ノーポイントに終わった。同グランプリの決勝は雨により波乱含みとなったこともあり、今季のチームのポジションを見極めるのは難しい状況だ。
ただ、開幕前にブリアトーレが掲げた目標である“2025年にコンスタントなトップ6入り”は、昨季後半の立ち直りを見れば不可能ではないかもしれない。“2026年には表彰台と優勝、2027年にタイトルを争う”を狙う来季以降に向け、またルノーが今季いっぱいでパワーユニットサプライヤーとしては撤退する(アルピーヌは来季メルセデス製パワーユニットを搭載)ということを考えても、アルピーヌはなんとしても巻き返したいところだろう。
そのためにも、レギュラードライバーのふたりの奮闘はもちろん、平川を含めたリザーブドライバーたちの開発における貢献は欠かせない。
果たして、飛躍を目指す名門は2025年にどのようなシーズンを過ごすことになるのか。4月の日本GPでは、その戦いぶりをその目で見ることができる貴重な機会となる。
