フルモデルチェンジした今だから5代目フォレスターを振り返る!マイナーチェンジの軌跡と魅力……これは今でも”買い”では?

ついに日本仕様が発表された6代目となる新型フォレスター。しかし、先代モデルとなる5代目フォレスターは発売から、このモデル末期まで好調なセールスを維持しているという。そんなヒットモデル、5代目フォレスターを振り返る。
REPORT:井元貴幸 PHOTO:SUBARU/平野 陽(HIRANO Akira)

日本仕様がついに発表!スバルの正統派SUV・フォレスターがフルモデルチェンジ!! ストロングハイブリッドで燃費も改善!? 気になる価格は……

スバルはすでに北米モデルを発表しているSUV、フォレスターの日本仕様を発表。7年ぶりのフルモデルチェンジとなったフォレスターは、正統派SUVとしてさらなる進化を遂げた。その詳細をチェックしていこう。 PHOTO:中野幸次(NAKANO Kouji)/神村 聖(KAMIMURA Satoshi)/SUBARU

2018年に登場した5世代目にあたるSK型は、6代目同様に北米にて3月に先行発表。続いて6月に国内で正式発表となった。スバル最量販車種として米国で高い人気を誇るフォレスターならではだ。

2018年5月に日本仕様が発表された5代目フォレスター(SK型)。

SGPの採用やX-MODEが進化したメカニズム

5代目インプレッサで先行投入された新世代プラットフォームSGP(SUBARU Global Platform)を採用し、従来のSI(SUBARU Intelligent)シャシーから一新された。SIシャシーの約2倍の剛性向上といわれる新しいプラットフォームは、操縦安定性や衝突安全性が大きく向上した。

SUBARU Global Platform
SUBARU Global Platform

パワーユニットは2.5L直噴NAエンジンと2.0Lマイルドハイブリッドの2種類を用意。最上級グレードの「Advance」はマイルドハイブリッドのe-BOXER専用グレードに。「Premium」「Touring」「X-BREAK」が2.5L 直噴ガソリン仕様として展開された。

2.5L水平対向4気筒DOHC直噴エンジン。
スバルのマイルドハイブリッド「e-BOXER」

また、トランスミッションは全車がリニアトロニックCVTとなり、NA車に残っていた6速MT車は廃止となった。ただし、CVTのマニュアルモードは6速から7速となり、よりきめ細かなシフトを選択することが可能になっている。

リニアトロニックCVT

AWDシステムはアクティブトルクスプリット式を引き続き採用し、滑りやすい路面からの脱出を容易にしてくれるX-MODEは、路面状況に応じて切り替えが可能な2モードタイプへと進化した。

X-MODEはノーマル以外では「SNOW/DIRT」と「D(DEEP).SNOW/MUD」が用意された。電動パーキングブレーキも採用されたことで追従クルーズコントロール時の停止保持が可能になった。

スバル初のドライバーモニタリングシステムを採用

アイサイトはver.3からツーリングアシスト相当のものへグレードアップ。何よりサイドブレーキが手引きから電動パーキングブレーキへ変更されたことで、追従クルーズコントロール使用時に、待望の停止保持機能が追加されたことがトピックだ。

スバル自慢の先進安全装備「アイサイト」も進化。

ほかにもスバル車初の装備として、ドライバーモニタリングシステムを採用。高精度な顔認証システムにより運転中の居眠り検知やわき見運転などの安全運転支援に加え、登録したドライバーに合わせ、顔認証と同時にシートポジション、ドアミラー角度、エアコン設定などを呼び出し、自動的にすべて登録時の状態にセットしてくれる便利機能だ。

ドライバーモニタリングシステム
ドライバーモニタリングシステム
ドライバーモニタリングシステムの居眠り警告

安全面ではインプレッサシリーズに続き、全車に歩行者保護エアバッグを標準装備。乗員だけでなく交通死亡事故ゼロを目指すスバルらしい装備といえる。

歩行者保護エアバッグ

「DYNAMIC x SOLID」を取り入れた力強いエクステリア

エクステリアは、前モデルのSJ型(4代目)のイメージを踏襲しつつ、当時のスバル車のデザインフィロソフィー「DYNAMIC x SOLID」を取り入れ、キュービックなシルエットがもたらす容積感と、左右フェンダーの張り出しによるスタンスの良さを併せ持った「モダンキュービックデザイン」としている。

5代目フォレスター「X-BREAK」

これまで外板は比較的フラットな印象のフォレスターだったが、SK型ではインプレッサ同様フロントドアに抑揚を持たせたプレスラインが特徴となっている。

5代目フォレスターのサイドビュー。

また、機能面ではフューエルリッドオープナーがレバー式からリッドプッシュオープン式へと変更され、昨今のセルフサービスのガソリンスタンドでの利便性が向上している。

リッドプッシュオープン式となった給油口。

地味ながらユーザーフレンドリーな進化を果たしたインテリア

インテリアには、GT/GK型インプレッサのダッシュボード形状をベースとしながら、SUVらしさを取り入れた力強さと開放感を演出。SJ型でも好評だったブラウンの内装色を設定したほか、「X-BREAK」には、専用のカラーアクセントを取り入れ、室内空間もカジュアルでポップな印象としている。

5代目フォレスターのインテリア。
4代目から継承したブラウン内装。
「X-BREAK」は各所にオレンジの差し色が入る。

また、後席にもエアコン吹き出し口やシートヒーターを装備するほか、2.1AのUSBタイプAポートを2つ装備。後席のニースペース拡大と相まってすべての乗員が快適に過ごせるよう進化している。

センターコンソールボックス後端には後席用のエアコン吹き出し口とUSB電源(2.1AタイプA×2)とシートヒーターのスイッチを配置。

フロントシートは形状を刷新し、座り心地と乗降性を両立。サイドサポート形状の最適化やワイヤー入りウレタンサポートの採用により剛性が向上。サポート性を高めている。また、バックレストのランバー部分に追加されたプレートにより、上半身をしっかりと支える工夫も取り入れられている。

形状を刷新したフロントシート。

操作性の面ではセレクトレバーにディテントスプリングと呼ばれる板バネとマニュアルプレートの組み合わせにより、操作時の節度感を向上。小さな部分だがドライバーが必ず触れる部分だけに質感の向上が感じられる部分だ。

地味ながら操作時の質感を向上させたシフトレバー。

リヤドアやバックドアの開口部の拡大により乗降性や積載性が向上。パワーバックドアのモーターをダンパー内蔵式に変更し開閉スピード向上と予約ロック機能を追加するなど利便性も大きく向上している。

リヤドアの掃き出しを広く取り、滑り止めを施すことでルーフへの積載性を向上させている。
開口部を拡大して積載性を高めたラゲッジルーム。パワーバックドアには予約ロック機能も追加された。

2020年のC型で1.8Lターボエンジン車を追加&e-BOXER搭載車を拡大

ターボエンジンを搭載した新グレード「SPORT」が登場。

2020年にC型へ年次改良を実施したSK型フォレスターは、VNレヴォーグに搭載されていたCB18型1.8L水平対向DOHC直噴ターボエンジン車を「SPORT」に設定。同時に2.5Lエンジンを廃止し「Advance」に加え「X-BREAK」「Touring」もe-BOXER搭載車となった。

「SPORT」に搭載されたCB18型1.8L水平対向DOHC直噴ターボエンジン。

新たに追加された「SPORT」は、 SIドライブをCB18の搭載に合わせ、Sモードの制御を変更。加速レスポンスを向上し、Dレンジでのステップ変速時はマニュアルモードを7速から8速化することによりクロスレシオ化された。

「SPORT」用にセッティングされたSIドライブ。

さらに、サスペンションを専用に新開発。微少ストローク領域でのフリクション低減により、乗り心地と「SPORT」の名に恥じぬ高いスタビリティを両立している。また、電動パワステのセッティングも専用チューニングされているのが特徴だ。

ちなみに、C型への改良時にヘッドランプが全グレードでブラックベゼル化され精悍な印象となったほか、e-アクティブシフトコントロールを「X-BREAK」に装備するほか、標準装着タイヤにファルケンZIEXのオールシーズンタイヤ装着車を拡大するなど、搭載エンジンの変更だけでなく、細かな改良も見逃せないポイントだ。

ブラックベゼル化されたヘッドランプ(写真は「SPORT」)。
ファルケンZIEX XE001A/Sを純正装着。

2021年のD型は新デザインコンセプトで大胆フェイスリフト

2021年には大幅改良モデルのD型が登場。新デザインコンセプトの「BOLDER」を取り入れ、フロントデザインを大幅に変更。同時にハイビーム時に照射範囲を制御するアダプティブドライビングビームを従来のシェードロータリー式からアレイ式へ変更。夜間の視認性をさらに向上させた。

「BOLDER」デザインを取り入れたフロントグリルはこれまでよりマッシブな印象に。

走りの面では「X-BREAK」のみに搭載していたe-アクティブシフトコントロールを「Advance」「Touring」にも採用。さらにフロントコイルスプリングの荷重軸特性のチューニングや、ダンパーの減衰力特性の最適化により、ハンドリングの応答性を高めた。

また、後期型ではアイサイトの画像認識や制御ソフトの改良に加え、ステレオカメラを従来の約2倍に広角化することで横方向や交差点右左折時の認識制度を向上させた。

ステレオカメラの認識範囲のイメージ。従来型の青の範囲から、新型では赤の範囲に広がっている。

ほかにもスマートリヤビューミラー用カメラの高画素化やミラー内のフレームレス表示化など、ドライバーの視認性も向上している点も見逃せない。

視認性をより高める改良が施されたスマートリヤビューミラー。

2022年には待望の「STI Sport」を追加

「STI Sport」

2022年には待望の「STI Sport」を追加。CB18エンジンを搭載し、フロントサスペンションには、STIチューニングの日立Astemo製SFRDフロントダンパーを採用。サスペンションへの入力荷重に応じて、減衰力を可変させることであらゆる路面状況やシーンに合わせ、最適な乗り心地を実現しているのが特徴だ。

STIチューニングの日立Astemo製SFRDフロントダンパー。

専用エクステリアとなるフロントグリルやシャークフィンアンテナ、専用ホイールに加え、インテリアにもボルドー&ブラックの専用ナッパレザーシートやブラックインテリアなどを採用し、上質な空間を演出している。

「STI Sport」専用のボルドー&ブラックの専用ナッパレザーシートやブラックインテリア。
STIのロゴが入るフロントグリル。
専用のサイドスカート。
アルミホイールも専用デザイン。

300万円台は破格!5代目フォレスターは間違いなく名車だった

「STI Sport」

SK型フォレスターは、これまでフォレスターが作り上げてきた世界観をブラッシュアップし、エクステリアデザインから装備、機能面まで大きく進化を遂げたモデルだ。ハイパワーターボモデルこそラインアップされなかったものの、「STI Sport」や細かな年次改良でオンロードでも気持ちの良い走りを実現したスバルらしい1台だ。

5代目最後の特別仕様車となった「Urban Selection」。

筆者の個人的見解にはなるが、これだけの新装備と高い質感、あらゆるシーンで不満のない動力性能を備えながら、登場時の車両本体価格(消費税込)が330万円というのは称賛に値する。クルマ離れが叫ばれる昨今、理由のひとつには高額な新車の車体価格があげられるが、25年前の初代フォレスター「T/tb」と50万円程度しか変わらない価格にSUBARUの企業努力や若者へのクルマ購買意欲の後押しになっている点など、非常に高評価なモデルといえるだろう。

1997年に登場した初代フォレスターのトップブレード「T/tb」は248万5000円(+税)だった。

【新旧比較】ベールを脱いだ、国内版新型フォレスター6代目、サイズ、スタイル、ユーティリティ・・・5代目からのブラッシュアップぶりはいかに?

すでにアメリカで2024年から販売されている6代目フォレスターが日本でも出番待ち。本日4月3日から予約受注開始の運びとなった。 先代の発売が2018年6月だったから、日本市場にとっては7年11か月ぶりのフルチェンジとなる。 本記事では、先代5代めと新型6代目、どこがどう変わり、どう変わっていないのか、写真で追って比較していく。 TEXT:山口尚志(YAMAGUCHI Hisashi) PHOTO:中野幸次(NAKANO Kouji)/SUBARU/MotorFan編集部/モーターファン・アーカイブ

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著者プロフィール

井元 貴幸 近影

井元 貴幸

母親いわくママと発した次の言葉はパパではなくブーブだったという生まれながらのクルマ好き。中学生の時…