スバル「レガシィ」をニューヨーク国際自動車ショーで公開、日本発売は5月、220.5万円~BM/BR系デビュー【今日は何の日?4月8日】

3.6L V6水平対向エンジン
SUBARU5代目「レガシィ」搭載の3.6L V6水平対向エンジン
一年365日。毎日が何かの記念日である。本日4月8日は、2009年に開催された“ニューヨーク国際自動車ショー”で5代目となる新型「レガシィ」が公開された日だ。新型レガシィは、先代よりも大きくなったボディに大きく張り出したホイールアーチなどで、スポーティさとダイナミックさをアピールしていた。
TEXT:竹村 純(Jun TAKEMURA)/PHOTO:三栄・SUBARU 歴代レガシィのすべて、新型レガシィのすべて

■5代目レガシィが、“ニューヨークショー2009“でデビュー

SUBARU5代目「レガシィ」
SUBARU5代目「レガシィ」

2009(平成21)年4月8日、スバルの中核モデル「レガシィ」の5代目が“ニューヨークショー2009“で公開された。先代よりひと回り大きくダイナミックになって広い室内空間を確保、さらに3.6L水平対向エンジンが追加されたことがトピックスだ。

SUBARU5代目「レガシィ」
SUBARU5代目「レガシィ」

ステーションワゴンブームを巻き起こした初代レガシィ

SUBARU初代「レガシィ・セダン」
1989年にデビューしたSUBARU初代「レガシィ・セダン」

1989年2月1日に誕生したレガシィ(BC/BF系)は、4ドアセダンと5ドアツーリングワゴンの2タイプで構成。注目の水平対向エンジンは、最高出力110psの1.8L SOHCと150psの2.0L DOHC、最強グレードRSに220psを誇る2.0Lターボエンジンの3機種を設定。トランスミッションは、5速MTおよび4速ATで、駆動方式はアクティブスプリット4WD、これにより現在に続くスバルのコア技術であるシンメトリカルAWDが実質的に完成した。

SUBARU初代「レガシィ・ツーリングワゴン」
1989年にデビューしたSUBARU初代「レガシィ・ツーリングワゴン」。ステーションワゴンブームを巻き起こした

レガシィは、当時のRVブームの後押しもあって、特にツーリングワゴンの人気が高まり、同年10月に2Lターボを搭載した200psの「ツーリングワゴンGT」が追加されると、その人気は一気に加速した。レガシィ・ツーリングワゴンの人気に刺激を受けて、他メーカーからステーションワゴンが相次いで市場に投入され、ステーションワゴンブームが巻き起こった。ただし、シンメトリカルAWDの魅力はユーザーの心をガッチリつかみ、レガシィの牙城を崩すワゴンは現れなかった。

徐々に大きくなって進化し続けた2代目~4代目レガシィ

2代目「レガシィ」
1996年にデビューした2代目「レガシィ」

・2代目 BD/BG系(1993年~1998年):ハイパワー+4WDの魅力をブラッシュアップ
基本的には、キープコンセプトで面構成のスポーティなスタイリングとなった。ボディ剛性や居住性、動力性能の向上などが全体的なレベルアップを実現。特に250psの2.0L水平対向ツインターボの追加などで、ハイパワーエンジン+4WDのレガシィの魅力を高めて、人気はピークに達した。

3代目「レガシィ・ツーリングワゴン」
1998年にデビューした3代目「レガシィ・ツーリングワゴン」

・3代目 BE/BH系(1998年~2003年):全車4WDとなり、セダンにB4のサブネームを付加
駆動方式が全車フルタイム4WDに一本化されたほか、セダンに「B4」のサブネームが付けられてよりスポーティなセダンとなった。また、220psの3.0L水平対向6気筒エンジンを搭載した「ランカスター6(アウトバック)」が登場して注目を集めた。

4代目「レガシィ」
2003年にデビューした4代目「レガシィ」

・4代目 BL/BP系(2003年~2008年):全車3ナンバーボディとなり、操縦安定性が向上
ボディが全車3ナンバーサイズとなり、更なる低重心化設計と相まって操縦安定性が向上したほか、ボディのワイド化を生かした空力特性の改善が実現された。メカニズムにおいては、世界初の4輪駆動力自在制御システム“SH-AWD:スーパーハンドリング・オールホイールドライブ”が採用された。

米国市場を意識してさらに大きくダイナミックに変貌した5代目

SUBARU5代目「レガシィ」
SUBARU5代目「レガシィ」

2009年4月のこの日に、“ニューヨーク国際自動車ショー”で公開された新型(5代目 BM/BR系)レガシィは、日本では同年5月20日から販売された。

スバル5代目「レガシィB4 2.5GT Sパッケージ」
スバル5代目「レガシィB4 2.5GT Sパッケージ」
スバル5代目「レガシィ・ツーリングワゴン2.5i Sパッケージ」
スバル5代目「レガシィ・ツーリングワゴン2.5i Sパッケージ」

スポーティかつ力強さを強調したスタイリングの5代目レガシィは、従来と同様セダンB4とツーリングワゴンおよびアウトバックが設定された。B4は、先代より全高が100mm、全幅は90mm全高が80mm拡大し、ホイールベースも80mm延長されて、ゆとりある室内空間と広いトランク容量を実現して大人のセダンになった。

SUBARU5代目「レガシィ」搭載の3.6L V6水平対向エンジン
SUBARU5代目「レガシィ」搭載の3.6L V6水平対向エンジン
5代目「レガシィ」のドライブトレイン(シンメトリカルAWD)
5代目「レガシィ」のドライブトレイン(シンメトリカルAWD)

エンジンは、もちろん伝統の水平対向エンジン。最高出力170ps/最大トルク23.5kgmを発揮する2.5L NA、285ps/35.7kgmの2.5Lターボの4気筒に加え、260ps/34.1kgm の3.6L NAの6気筒が加わった。2.5L NAには新開発のリニアトロニックCVTが、他は5速ATおよび6速MTが組み合わされた。

スバル5代目「レガシィ・ツーリングワゴン2.5GT Lパッケージ」のコクピット
スバル5代目「レガシィ・ツーリングワゴン2.5GT Lパッケージ」のコクピット
SUBARU5代目「レガシィ」
SUBARU5代目「レガシィ」
SUBARU5代目「レガシィ」
SUBARU5代目「レガシィ」

足まわりはフロントがマクファーソンストラット式で、リアは従来のマルチリンク式に代えて、低床タイプのダブルウィッシュボーンを採用。フロントスタビライザーのレイアウトやサイズを改めロール剛性をアップするなど、スバルらしい走りの追及は忘れていない。

レガシィ・アウトバック
レガシィ・アウトバック

車両価格は、セダンB4が220.5万~320.3万円、ツーリングワゴンが236.3万~336万円、アウトバックが267.8万~370.1万円に設定された。

2014年に6代目に移行したが、この時点でツーリングワゴンは、「レヴォーグ」へ引き継がれる形で販売を終了し、レガシィB4とレガシィ・アウトバックの2構成となった。

6代目「レガシィ・アウトバック」
2014年にデビューした6代目「レガシィ・アウトバック」

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その後、B4は2020年に販売を終え、アウトバックは2025年3月に販売を終えた。これで、スバルのコア技術であるシンメトリカルAWDを熟成させてブランド力を向上させたレガシィが、多くンファンに惜しまれながら36年続いた歴史の幕を下ろしたのだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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著者プロフィール

竹村 純 近影

竹村 純

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までを…