ホンダ「WR-V ブラックスタイル」の評価は? 1クラス格上のカローラクロスとスペック比較

ホンダ WR-Vは発売から約1年を経た2025年3月に初の改良を受け、内外装に専用装飾を加えた特別仕様車「ブラックスタイル」が追加された。2023年10月の改良で2.0Lエンジンに換装されたトヨタ カローラクロスのガソリンモデルをベンチマークとして、両車のスペックや装備を比較してみよう。

クラスを超えた広い室内空間のWR-V!内装も上質に進化

各部寸法はカローラクロスのほうが若干大きいが、ボディサイズほぼ同じといってよいだろう。しかし、後席空間はWR-Vの方が広い。後席頭上空間は同じくらいだが、膝周り空間はWR-Vの方が明らかに広くなっている。

荷室の広さもWR-Vの方が若干広く、5名乗車時の荷室長はWR-Vの840mmに対してカローラクロスは848mmとほぼ同等だが、2名乗車時はWR-Vが2181mm、カローラクロスが1885mmとなり、ホイールハウス間の幅もWR-Vの方が80mmほど広い1020mmだ。

両車とも荷室床面と後席背もたれの間には段差があるが、どちらもオプションのラゲージボードを追加することでフラットにできる。後席にはエアコン吹き出し口が備わり、シートは6:4分割可倒式となる点も共通だ。

大きな違いは、カローラクロスの後席には調整幅が狭いもののリクライニング機構が備わる点くらいだろう。両車の基本的な車内機能はほぼ同じであり、広いぶんWR-Vが上手といえる。最小回転半径はどちらも5.2mだ。

2025年3月に改良を受けたWR-Vは内装の質感向上が図られ、最上級グレードの「Z+」はブラウンカラーのプライムスムースを全面に使ったシートが装備される。特別仕様車「ブラックスタイル」は従来のコンビシートのまま、内外装にブラックの装飾等を追加したモデルだ。

ホンダ WR-V Z+ BLACK STYLE
ボディサイズ=全長4325mm×全幅1790mm×全高1660mm
ホイールベース=2650mm
車両重量=1230kg
タイヤサイズ=215/55R17(前後)

トヨタ カローラクロス Z
ボディサイズ=全長4490mm×全幅1825mm×全高1620mm
ホイールベース=2640mm
車両重量=1380kg
タイヤサイズ=225/50R18(前後)

排気量2.0Lとなったカローラクロスは1.5Lエンジンを上回る燃費性能

カローラクロスは、2023年10月の改良でガソリンモデルのエンジンが1.8Lから2.0Lへと変更された、対するWR-Vは、フリードなどと共通の1.5Lエンジンを搭載している。

排気量差による動力性能の違いは大きいが、WR-Vも必要十分な動力性能は備えており、日常的な走行で不満を覚えることは少ないだろう。また、WR-Vには全グレードにパドルシフトも装備されており、任意のタイミングでシフトチェンジが可能だ。

両車のWLTCモード平均燃費は、WR-Vは16.0km/L(Z+グレード)、カローラクロスは16.6km/L(Zグレード)だ。カローラクロスのエンジンは、排気量が大きいのにも関わらず優れた燃費性能を発揮する。

なお、アグレッシブな外観であってもWR-Vの駆動方式は全車FFだ。カローラクロスもガソリンモデルはFFのみで、4WDを所望する場合はハイブリッドモデルを選ばなければならない。

ホンダ WR-V Z+ BLACK STYLE
エンジン形式=直列4気筒ガソリンエンジン
排気量=1496cc
最高出力=118ps/6600rpm
最大トルク=142Nm/4300rpm
トランスミッション=CVT
駆動方式=2WD(FF)

トヨタ カローラクロス ハイブリッドZ
エンジン形式=直列4気筒ガソリンエンジン
排気量=1986cc
最高出力=170ps/6600rpm
最大トルク=202Nm/4900rpm
トランスミッション=CVT
駆動方式=2WD(FF)

WR-Vの魅力を引き上げる特別仕様車「ブラックスタイル」

カローラクロスの最上級グレード「Z」の価格は290万円。それに対し、WR-Vの特別仕様車「Z+ブラックスタイル」は258万600円だ。今回の改良で基本価格が5万円ほど値上げされたがWR-Vの安さは健在だ。

安価で広いコンパクトSUVとして注目を集めて登場したWR-Vは、発売当初から内外装の質感の低さが指摘されており、今回の改良はユーザーの要望に応えたかたちとなる。停止まで対応しないアダプティブクルーズコントロールはそのままだが、魅力的になった内外装が気に入るなら買いといえるだろう。

対するカローラクロスは全グレードで電動パーキングブレーキとなるうえ、Zグレードには本革シートやシートヒーターなどが標準で備わっており装備を考慮すれば買得だ。過剰な装備が不要ならエントリーグレードの「G“X”(218万4000円)」も選べる。

WR-Vの最廉価グレードの「X」は2025年夏に追加予定とされており、欲しい場合はもうしばらく待たなくてはならない。価格は他グレードの値上げ幅から、215万円程度になると予想される。

車両本体価格

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