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マツダCX-5
マツダCX-5の現行モデルは2017年にデビュー。マツダのSUVでは2014年デビューのCX-3に次いで古いモデルであり、この2台が車名が二桁化するSUV車名の中に残る一桁モデルである。
すでに登場から8年が経過する現行CX-5だが、2024年の販売台数は約1万9000台を数え、月平均でも約1600台と堅調。モデル末期でありながらマツダのラインナップ中では人気モデルに挙げられる。

古さを感じさせない魂動デザインによるエクステリア、ディーゼルエンジン「スカイアクティブD」によるパワフルな走りと経済性、ちょうど良いサイズ感、そしてクルマの価格が高騰する中で車格に対して300万円台が中心というコストパフォーマンスの良さが人気の秘密だろうか。
モデル末期ながら確たる人気を誇るCX-5と、先んじてフルモデルチェンジが行われた新型フォレスターを比べてみよう。
ディメンジョンは異なるがボディサイズはほぼ同等
まずはボディサイズから見てみよう。
フォレスター:全長4655mm×全幅1830mm×全高1730mm
CX-5:全長4575mm×全幅1845mm×全高1690mm
一番差があるのが全長で、フォレスターがCX-5より80mm長い。それほど大きな差ではないがCX-5の方が気持ちワイド&ローなディメンジョンだ。


一方で、ホイールベースは
フォレスター:2670mm
CX-5:2700mm
とCX-5の方が長く、全長の差は前後のオーバーハングの差=フォレスターの方が長いと言えるだろう。


そのホイールベースの違いによるものか、最小回転半径はフォレスターの5.4mに対し、CX-5は5.5mと若干大きくなっている。
また、最低地上高は本格的なオフロード走行も視野に入れたフォレスターが220mmを確保するのに対し、CX-5も210mmと負けてはおらず、単なるシティSUVではないと感じさせる。


車重はストロングハイブリッドを採用したフォレスターの「Premium」や「X-BREAK」は1730kg〜1780kgと重いが、1.8Lターボの「SPORT」は1640kg〜1660kgに留まる。
対してCX-5は2.0Lガソリンエンジン車が1600kg〜1610kg、2.5Lガソリンエンジン車が1650kg、ディーゼルエンジン車が1690kg〜1710kg。
ノンハイブリッドで考えるとCX-5の方が若干重いように思われる。なお、4WDオンリーのフォレスターに合わせて、CX-5も4WDモデルのみで比較している。
タイヤとホイールのサイズは、フォレスターが235/50R19(「Premium」)と225/55R18(「X-BREAK」「SPORT」)と18インチ19インチという設定。CX-5は225/55R19と225/65R17と、17インチと19インチという設定だ。
大きく異なるパワートレイン構成
同クラスのSUVながら、大きく異なるのがパワートレインだ。
フォレスターはスバルお馴染みの水平対向4気筒ガソリンエンジンに、得意のターボモデルと新たに設定されたストロングハイブリッドという構成。


CX-5は2.0Lと2.5Lの直列4気筒DOHCガソリンエンジン「スカイアクティブG」と2.2L直列4気筒DOHCディーゼルターボの「スカイアクティブD」というラインナップはデビュー以来不変だ。
ガソリンエンジンは2.0Lで115kw(156ps)/6000rpm・199Nm(20.3kgm)/4000rpm、2.5Lで138kw(188ps)/6000rpm・250Nm(25.5kgm)/4000rpmという出力。
ディーゼルは147kW(200ps)/4000rpm・450Nm(45.9kgm)/2000rpm。やはりディーゼルならではの圧倒的なトルクを発揮している。

燃費は
フォレスター(ストロングハイブリッド):18.4km/L(「Premium」)/18.8km/L(「X-BREAK」)
フォレスター(ガソリンターボ):13.6km/L(「SPORT」)
CX-5(2.0Lガソリン):14.0km/L※
CX-5(2.5Lガソリン):13.0km/L※
CX-5(ディーゼル):16.6km/L※
フォレスターのストロングハイブリッドは、ようやく他社に追いついてきたレベル。ノンハイブリッドのターボエンジンは一般的なレベルだが、ターボエンジンでもレギュラーガソリンなのはガソリン価格高騰の時代にはありがたい。
そういう意味では、流石にモデルライフ末期のCX-5はスカイアクティブテクノロジーをもってしても、現在では特に優れた燃費性能とまでは言えないが、燃料価格の安いディーゼルがラインナップされているのは魅力的なポイントだ。
(※)全て4WD車の数値
また、フォレスターは全車4WDだが、CX-5はグレードによってFFと4WDを選ぶことができるのが大きな違い。
フォレスターにはスポーツモードを選べる「SI-DRIVE」と悪路走破性を高める「X-MODE」が用意される。一方でCX-5もスポーツモードやオフロードモードを選べる「Mi-Drive(マツダインテリジェントドライブセレクト)」と、オフロード走行を助ける「オフロード・トラクション・アシスト」が備わる。
トランスミッションはフォレスターが全車CVT(リニアトロニック)、CX-5が全車6速ATとなり、長らく残されていた6速MTは無くなっている。
インテリア&ユーティリティ
フォレスターのインストゥルメントパネルは現行のスバル車に共通するレイアウトで、センターコンソールに配置された縦型の11.6インチセンターインフォメーションディスプレイが特徴的。
一方でCX-5もマツダに共通する横長の10.25インチディスプレイをダッシュボード上部に配置するレイアウトだが、今となってはディスプレイのサイズが数字ほどには大きくない印象だ。


メーターはいずれもクラスター内に収めるコンサバティブなレイアウト。フォレスターは表示の変更も可能だが、基本は2眼レイアウトで、右が速度計、左がパワーメーター(ストロングハイブリッド)か回転計(ガソリンターボ)となっている。
CX-5は3眼レイアウトで左から回転計、速度計、水温計と燃料計となっている。それぞれの間に燃費計や航続可能距離などを挟んでいるのは上手い配置と言えるだろう。

室内サイズもメーカー公表値※ではあるが、それぞれ発表されており
フォレスター:室内長1950mm×室内幅1540mm×室内高1270mm
CX-5:室内長1890mm×室内幅1540mm×室内高1265mm
と、全長の差はほぼ室内長の差になっている。
(※)計測基準はメーカーごとに異なるのであくまで参考として
ラゲッジルームはフォレスターは荷室幅以外の数字が現状では未公表なので、それほど変わらないであろう先代モデルの数字でCX-5と比較してみよう。
車名 | フォレスター | CX-5 |
荷室長(通常) | 908mm | 950mm |
荷室長(拡大・シートバック先端) | 1547mm | 1610mm |
荷室長(拡大・フロントシートバックまで) | – | 1830mm |
荷室幅(最大) | 1250mm(※) | 1450mm |
荷室幅(ホイールハウス間) | 1100mm | 1040mm |
荷室高 | 884mm | フロアボード上段:750mm フロアボード下段:790mm |
数値的には荷室高以外はCX-5の方が広いようだ。加えて、フォレスターはリヤシートは6対4分割だが、CX-5は日本車には珍しい4対2対4分割を採用しており、シートアレンジの幅がやや広がることになる。さらに、CX-5はフロアボードが上下二段に切り換えられるのもフォレスターにはないポイントだ。
価格&スペック表
フォレスターの価格は今のところ未公表。予想価格も最も安くなると思われるガソリンターボの「SPORT」でも400万円を下回ることはなく、ストロングハイブリッドの最上位モデル「Premium」ともなれば、上位グレード「EX」は450万円を超えることが想定される。
一方でCX-5は、まだそこまで車両価格が高騰していない時代のクルマであり、前述の通り300万円台が中心。フォレスターと揃えて4WDモデルだけで見ても、ガソリンエンジンモデルは304万1500円(「20S i Selection」)〜381万2600円(「25S Sports Appearance」)。ディーゼルモデルが336万500円(「XD i Selection」)〜422万5100円(「XD Exclusive Mode」)となっている。

流石にディーゼルの上位2モデル(「XD Exclusive Mode」と「XD Sports Appearance」)は400万円を超えて来るが、それでも新型フォレスター(の予想価格)と同程度。モデル末期ということもあり、お得な特別仕様車なども登場していたり、コストパフォーマンスはとても良い。同クラスのSUVの中でも古いモデルであることから商談もしやすいかもしれない。

いずれにせよ、フォレスターはストロングハイブリッドとターボエンジン、CX-5は純ガソリンエンジンとディーゼルとパワートレインのラインナップが全く異なる。その上、基本的にスクエアで力強い”ギア”感のあるフォレスターに対し、曲線で構成された優美で都会的な印象のCX-5というエクステリアの違いも大きい。最終的な判断は”好み次第”といったところだろうか。

メーカー | スバル | マツダ | |||
車名 | フォレスター | CX-5 | |||
グレード | Premium | X-BREAK | SPORT | XD Field Journey | 25S Sports Appearance |
全長 | 4655mm | 4575mm | |||
全幅 | 1830mm | 1845mm | |||
全高 | 1730mm | 1690mm | |||
室内長 | 1950mm | 1890mm | |||
室内幅 | 1540mm | 1540mm | |||
室内高 | 1270mm ※サンルーフ装着車は室内高-15mm | 1265mm ※サンルーフ装着車は室内高-50mm | 1265mm | ||
乗員人数 | 5名 | 5名 | |||
ホイールベース | 2670mm | 2700mm | |||
最小回転半径 | 5.4m | 5.5m | |||
最低地上高 | 220mm | 210mm | |||
車両重量 | 1750~1780kg | 1730~1770kg | 1640~1660kg | 1690kg | 1650kg |
パワーユニット | 2.5L水平対向4気筒DOHC直噴 + 2モーター[e-BOXER(ストロングハイブリッド)] | 1.8L水平対向4気筒DOHC直噴インタークーラーターボ | 2.2L直列4気筒DOHC直噴ディーゼルターボ | 2.5L直列4気筒DOHC直噴 | |
エンジン最高出力 | 118kW(160ps)/5600rpm | 130kW(177ps)/5200-5600rpm | 147kW(200ps)/4000rpm | 138kW(188ps)/6000rpm | |
エンジン最大トルク | 209Nm(21.3kgm)/4000-4400rpm | 300Nm(30.6kgm)/1600-3600rpm | 450Nm(45.9kgm)/2000rpm | 250Nm(25.5kgm)/4000rpm | |
燃料(タンク容量) | レギュラー(63L) | 軽油(58L) | レギュラー(58L) | ||
モーター型式・種類 | MC2・交流同期電動機 | ー | ー | ||
モーター最大出力 | 88kW(119.6ps) | ー | ー | ||
モーター最大トルク | 270Nm(27.5kgm) | ー | ー | ||
バッテリー | リチウムイオン電池 | ー | ー | ||
電池容量 | 4.3Ah | ー | ー | ||
定格電圧[V] | 259V | ー | ー | ||
燃費(WLTC) | 18.4km/L | 18.8km/L | 13.6km/L | 16.6km/L | 13km/L |
トランスミッション | リニアトロニック(CVT) | 6速AT | |||
ステアリング | ラック&ピニオン | ラック&ピニオン | |||
サスペンション | 前:ストラット式独立懸架 後:ダブルウィッシュボーン式独立懸架 | 前:マクファーソンストラット式独立懸架 後:マルチリンク式独立懸架 | |||
ブレーキ | 前後:ベンチレーテッドディスク | 前:ベンチレーテッドディスク 後:ディスク | |||
タイヤサイズ | 235/50R19 | 225/55R18 | 225/65R17 | 225/55R19 |