四輪制御技術に磨きを掛けた日産の旗艦BEV「日産 アリア ニスモ」【最新国産新型車 車種別解説 NISSAN ARIYA NISMO】

日産のフラッグシップBEVをラグジュアリーでありつつスポーティでもあるという命題を両立させた新モデル「日産 アリア ニスモ」。オーバーフェンダーやバンパー、GT-R並のパワーなどNISMO専用のチューンを施され、BEVならでは加速感と爽快感をエレガントで力強いエクステリアの中にも予感させる。まさに大人ためのスポーツラグジュアリーカーと言えるだろう。
REPORT:竹岡 圭(本文)/山本晋也(写真解説) PHOTO:平野 陽 MODEL:松田彩花

NISMOの手により走りを一新させたアリア

「より速く、気持ちよく、安心して走れるクルマ」これがNISMOコンプリートカーのコンセプトだ。このコンセプトを、GT-R並みの600Nmのパワーをもちつつ、GT-Rより約500㎏重い2.2tの車両重量のアリアで、どう具現化していくか……。これが最大の難関だったらしい。というのも、NISMOという名前を聞いたときに、人々がいちばん最初に思い浮かべるのはスポーティで速いクルマであり、それをBEVの頂点というだけでなく、いまや日産全体のフラッグシップとなったプレミアムラグジュアリーカーのアリアで、どう料理すればいいのか……。確かに難問である。

エクステリア

NISMO専用バンパーやオーバーフェンダーなどで外観を差別化。標準車の全長が4595㎜なのに対し、NISMOの全長は4650㎜と55㎜伸ばされている。ダブルのシャークフィンアンテナはプロパイロット2.0装着車の識別ポイントだ。最小回転半径は5.4m。

そこでNISMOの出した答えは、「コーナーを安心して曲がれる安定性」を主眼に置いたクルマづくりだった。e-4ORCEという四輪制御技術を目いっぱい使い、GT-R NISMOを超える旋回時発生横力を抑え込み、四輪の接地性を極限まで高める。このおかげで、操舵角度も減らせるし、さらには修正操舵も少なくなり、より速くしかもエレガントに走れるようになるという寸法だ。

乗降性

誤解を恐れずに正直に言ってしまうと、オリジナルのアリアはこのEVならではの重さを料理するのが難しかったようで、開発初期段階のモデルは特にバタつき感が残るのが否めなかった。それがNISMOになると路面を選ばずに安定して走り、特にライントレース性が向上しているのはさすがである。さらに最高出力30kW(41PS)パワーアップしたことを活かし、より重量感を感じさせないものになっていた。この力をいきなり絞り出すことができるというのはモーターならでは。EVにしか成しえない芸当である。EV食わず嫌いの方には、是非一度は体験してもらいたい世界観だ。

インストルメントパネル

いずれも12.3インチのセンターディスプレイとフルデジタルメーターによるコクピットは最新のEVらしいムードを高める。タッチセンサーに見えるエアコン操作系は振動によって操作感を表現する。

ちなみに最大トルク600Nmは同じだが、より高速域までトルク感をキープできるようになり、より高速走行の伸びを実現したというのも、NISMOらしいセッティングだと頷けるポイント。さらにドライブモードでNISMOモードを選択すると、発進や中間加速など、ココぞ!というときに瞬時にレスポンス良くパワーを得られるので、爽快なドライビングを楽しめる。

居住性

その際に気持ちを昂らせてくれるサウンドもチューニングが施されている。EVは静粛性の高さがウリではあるものの、やはり音というのは重要なファクターなのだなと、あらためて頷かされるところだ。さて、もちろんこのパワーを受け止める足まわりも存分に強化されており、フロント&リヤともにバネレートを上げつつ、サスペンション、スタビライザーなどしっかり手が入れられている他、ブレーキも耐フェード性を強化したものが投入された。

うれしい装備

前後席で開放感が得られるパノラミックガラスルーフをメーカーオプションで設定。電動チルト&スライドとなる上、電動格納式シェードの動きもスムースで高級感があるのはうれしい。
追加モデル発表      24年3月8日 
月間販売台数      45台(24年6月~11月平均)
一充電走行距離       ー

ラゲッジルーム

また、ホイールはリム幅を0.5インチ拡大。サイドウォールを立ててより踏ん張り方向にタイヤを使えるような姿勢となり、ディスク面の剛性も上げつつ軽量化するという力の入れようだ。ちなみにタイヤもフォーミュラeと同じデザインが施され、足元のオシャレとともに気分も高めてくれる仕上げが施されている。ステルスグレーのボディカラーを身にまとい、大人のスポーツラグジュアリーとしてまとまったモデルだ。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.165「2025年 最新国産新型車のすべて」の再構成です。

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