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■北京モーターショー2016で3代目ティーダ公開
2016年(平成28)年4月29日、日産自動車は北京モーターショー2016において3代目となる「ティーダ」の一般公開を始めた。ティーダは、新生日産の世界戦略車として2004年に誕生したハッチバックセダンだが、2代目以降は海外専用車となり、国内販売は見送られていた。

日産リバイバルプランの世界戦略車として誕生したティーダ
バブル崩壊以降、経営悪化に苦しんでいた日産は、1999年にルノーと提携して傘下に収まることなった。最高経営責任者に、当時ルノーの副社長であったカルロス・ゴーン氏を迎え、大胆なリストラ策などの“日産リバイバルプラン”を敢行。V字回復によって2003年に負債を完済し、再生は成功した。

その勢いで、日産は世界戦略車の開発に注力し、2004年から6台の新型車を次々と投入。ラージサイズのクロスオーバーSUV「ムラーノ」を筆頭に、セドリック/グロリアの後継となる高級セダン「フーガ」、パルサーの後継となるハッチバックセダン「ティーダ」、ティーダの派生車の小型セダン「ラティオ」、リバティの後継となる7人乗りミニバン「ラフェスタ」、そして最後がコンパクトカー「ノート」だ。
パルサーは、ティーダの誕生によって日本ではその車名は消えたが、豪州や欧州でパルサーは復活して、今回中国で発表された3代目ティーダは、8代目パルサーとフロントマスクの一部が異なるが、基本的には同じモデルである。
初代ティーダは1代限りで国内販売から撤退
初代ティーダは、2004年9月に誕生した。“コンパクトの質をシフトする”というキャッチコピーで生まれたティーダは、5ナンバーサイズの空間をより広く、よりクオリティ高く仕立てた5人乗りのコンパクトハッチバックである。240mmのロングスライド機構が備わるリヤシートがアピールポイントだった。

また安全装備として、全車にSRSデュアルエアバッグやEBD(電子制御制動力配分システム)&ブレーキアシスト付ABS、前席アクティブヘッドレストが採用された。

パワートレインは、新開発の最高出力109ps/最大トルク15.1kgmを発揮する1.5L直4 DOHCエンジンと4速ATおよびCVTの組み合わせ。駆動方式は、FFと電気式パートタイム4WD「e-4WD」が設定された。また翌2005年1月には、128ps/17.9kgmの1.8L直4 DOHCエンジン+CVTのトップグレードが追加された。
地味目のスタイリングでこれといった特徴もなかったことから苦しい販売を強いられ、2011年4月に海外で2代目モデルが発表されたものの国内には投入されず、2012年8月にワンクラス下のコンパクトカー「ノート」に統合される形で国内販売は終了となった。
インテリジェント・モビリティを実践した3代目ティーダ

北京モーターショー2016で公開された3代目「ティーダ」は、日産車の象徴であるダイナミックなVモーショングリルや流線型の若者をターゲットにしたスタイリングを採用し、パワートレインや安全性能も強化。また、快適で広い室内空間も魅力だった。
エンジンは、日産とルノーが共同開発した126ps/15.7kgmを発揮する1.6L直4 DOHCエンジンとCVTおよび5速MTの組み合わせ。また、18.9km/Lの低燃費を実現したこともアピールした。

ティーダは、2016年に日産が発表した「日産インテリジェント・モビリティ」の3つの領域、“インテリジェント・ドライビング”、“インテリジェント・パワー”、“インテリジェント・インテグレーション”のすべてを具現化したモデルである。
・インテリジェント・ドライビング
エマージェンシーブレーキ、車両逸脱警報、後側方車両検知警報などの安全技術を採用。
・インテリジェント・パワー
改良されたエクストロニックCVTやアイドリングストップシステムと連動した1.6Lエンジン搭載によって、低燃費を実現。
・インテリジェント・インテグレーション
様々な媒体をクルマに接続し、7インチのオーディオディスプレイを活用してインフォテインメントシステムを楽しむことができるなど、高い利便性を実現。
モーターショーで公表されると同時に予約も開始した。車両価格は、10万~14万元(1元=17円換算で日本円170万~238万円)に設定された。
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当時の日産は、日本メーカーの中でも特に中国で強く、現在の低迷ぶりからは想像できないほど、フォルクスワーゲンとGMに肩を並べるほどの勢いがあった。2011年に中国でデビューした2代目ティーダも人気は高く、3代目も順調に販売を伸ばしていたのだ。
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