
ランドローバー・レンジローバー初となるミッドサイズの完全電気式レンジローバーは2026年に発売される予定で、これまでの冬季テストから、市街地へと開発の場を移した。実はこのテストは、現在のレンジローバー・ヴェラールの後継車となるこの次期型EVにとって、たいへん重要なものになる。その理由は後ほど説明しよう。

ヴェラール後継EVは、新型のポルシェ マカンEVをターゲットに、耐久性、性能、実用性を大幅に向上させ、洗練された高級電動SUVとして生まれ変わると言われている。
このヴェラ―ル後継EVには、JLRの今後のEVシリーズに搭載される予定である電動モジュラーアーキテクチャ(EMA)が採用されるという。これは、英国ヘイルウッドにある同社の最新製造ラインで生産される最初の完全電動車となり、その後すぐにレンジローバー イヴォークとランドローバー ディスカバリー・スポーツの後継EVが続く予定だ。現在、工場をEV生産専用施設に転換する作業が進行中で、ヴェラール後継EVは、今年後半に生産開始される予定となっている。

捉えられたプロトタイプは、リヤのシルエットさえも隠す完全偽装だ。しかし、現行の内燃エンジン版ヴェラールと同様に、特徴的な低いルーフラインと先細りのサイドウィンドウデザインはかろうじて確認でき、SUVの基準からすれば非常にスポーティな外観となっていることがわかる。リヤウィンドウは信じられないほど浅く、プラスチックパネルで覆われているように見えるため、ウィンドウがまったくないのではないかと疑ってしまうほどだ。姉妹ブランドのジャガーの新型EVセダンにはリヤウィンドウがないことはすでにわかっているが、こちらは、最終的にはリヤウィンドウが装備される可能性が高い。

また、内燃機関版のヴェラールは座席が2列しかないが、プロトタイプの後輪に対する後部ドアの位置から判断すると、新型には3列目シートを設置する余地があるように見える。あるいは、トランクのスペースが大幅に拡大されるのかもしれない。
現在JLRの計画は野心的だが、これまで電動化の採用に消極的だった。同社がこれまでに発売した唯一の完全電気自動車は、ジャガーのSUVであるI-Paceで、より確立されたライバルメーカーに対抗するのに苦戦していた。また、レンジローバーの完全電気自動車版も苦戦しているという。一方、メルセデス・ベンツ、BMW、アウディなどの競合他社はEVへの移行を強化しており、プラグインモデルを全タイプに提供している。

現行ヴェラールは英国ソリハルで製造されているが、後継モデルは新しい拠点で生産されるだけでなく、使い慣れたD7 アーキテクチャからEMAと呼ばれるまったく新しいプラットフォームに切り替わる。2021年に初めて発表されたこの新しいスケートボード・プラットフォームは、小型のランドローバーモデルに対応するために考案され、当初は純電気システムに加えてハイブリッドパワートレインを搭載できるように設定されていたが、現在ではヴェラール、イヴォーク、ディスカバリースポーツの後継車は完全電気自動車のみになることがわかっている。
先ほど、舗装路でのテストが重要と記したが、その理由を説明しよう。その技術的な構成や機能の詳細は厳重に秘密にされているが、EMAは、フルサイズのレンジローバーやディスカバリーの電気自動車版を支えるMLAアーキテクチャよりも、明らかに舗装路重視の提案になる可能性が高い。そのため、市街地でのテストはより重要課題となるのだ。











