開幕間近!フォーミュラE東京は週末2レースに拡大。チケット需要増への対応とドッズCEOが語る

2025年4月25日、『Tokyo E-Prixメディア説明会』がオンラインで開催された。フォーミュラEオペレーションズのジェフ・ドッズCEOが、間近に迫る2度目のフォーミュラE東京大会に向けた新たな展望と変化を語った。

成長を続けるフォーミュラE、技術革新と世代交代

2025年5月17日(土)〜18日(日)に開催される、ABB FIAフォーミュラE世界選手権「フォーミュラE 2025 Tokyo E-Prix」は、今年も東京・江東区有明の東京ビッグサイト周辺の特設コースで実施される都市型レースだ。開催を間近に控えた4月25日、フォーミュラEオペレーションズのジェフ・ドッズCEOがフォーミュラE東京大会の概要と今後の展望をメディアに語った。

フォーミュラEは2014-2015年シーズンに開幕して以来、フル電動フォーミュラカーによるレースシリーズとして進化を続けてきた。現在、FIA世界選手権のひとつとして認められており、ファンベースの規模ではF1、MotoGPに続く第3位、約3億7000万人を誇る。

ドッズ氏は、フォーミュラEが近年著しい成長を遂げている点を強調し、2023年から2024年にかけてファンベースは23%拡大していると語った。これは他の主要モータースポーツ、たとえばSBK(スーパーバイク世界選手権)などが成長の停滞に直面している中で際立った成果である。

インターネットでの動画視聴回数が147%増加するなど、フォーミュラEに人気は年々高まり着実にファン層を拡大していっている。

フォーミュラEの進化は、単なる人気の拡大にとどまらない。マシンもGEN1からGEN3エボへと進化を遂げ、来シーズンの2026年にはさらなる進化型であるGEN4マシンの投入が予定されている。電動パワートレインやバッテリー技術、ソフトウェア開発など、パートナー企業との協力による技術革新も大きな推進力となっている。

特に次世代GEN4マシンでは、より高効率なエネルギーマネジメントと、ドライビングダイナミクスの向上が見込まれており、観客にさらなるスリリングなレース体験を提供することが期待される。

来シーズンより投入予定のGEN4マシンは、350kW〜600kWの仕様になるとされ、開発テストが進められている。

2回目の開催となる東京大会は週末2レースに拡大

注目すべきは、東京大会が今年から「2レース制(ダブルヘッダー)」となる点だ。これについてドッズ氏は、「ファンからの高いチケット需要に応えるための拡大」と説明した。初開催となった前年の東京E-Prixは、チケット発売と同時に完売するなど、予想以上の反響を呼んだ。これを受け、今年はより多くの観客がレースを体験できるようにレース数を増やす決断が下された。

さらに、コースレイアウトについても若干の変更が加えられる予定である。具体的な内容は明らかにされていないが、よりエキサイティングなレース展開を生み出すことを目的に設計が見直されているという。

東京ビッグサイトをぐるりと取り囲むように2.582kmのフォーミュラE専用ストリートサーキットを建設。コースの一部は一般道を使用し、高速コーナーとタイトコーナーを3本のストレートでつなぎ合わせたレイアウトとなっている。

フォーミュラEが他のモータースポーツと異なる魅力について尋ねるとドッズ氏は次のように語った。
「レースデーは予選から決勝まで、すべて一日で完結する。レースはオーバーテイクが多く競争が激しい。また、ファン層も若者が中心で、40歳未満のファンが約半分で、全体の男女比も約半分と、他のモータースポーツのファンに比べ、活気がある。東京大会で初めてモータースポーツを観戦するというファンでも楽しむことができると思う」

メディア向けのオンライン会見でフォーミュラE東京大会の魅力を語った、フォーミュラEオペレーションズのジェフ・ドッズCEO

また、フォーミュラEが東京大会を重視する背景には、日本市場の戦略的重要性がある。日本は電動モビリティ分野において世界でも屈指の技術力を持ち、かつサステナブルな未来志向が強い国である。ドッズ氏も、「日本はフォーミュラEの理念に非常にマッチする市場だ」と語っており、東京大会を単なるイベントではなく、アジアにおけるシリーズ拡大の重要な拠点と位置付けている。

持続可能なモビリティ社会への展望と課題

ドッズ氏は、「フォーミュラEは単なるレースシリーズではなく、持続可能なモビリティの未来を示す存在であり続けたい」と語った。そのためには、レースのエンターテインメント性と、技術革新の両立が不可欠である。

一方で、東京大会のような大都市での開催には多くの課題も存在する。都市部特有の道路事情、環境規制、住民への影響への配慮など、都市型レースならではの運営上のハードルが依然として存在する。これらに対しては、運営側が継続的に地元行政と連携を取り、慎重な対応を続けていく必要がある。

フォーミュラE東京大会は、昨年の初開催の成功から、さらなる飛躍を目指している。2レース制導入、コースレイアウトの改良、そしてファン体験の向上という取り組みは、シリーズ全体を盛り上げる施策でもある。持続可能なモビリティ社会を目指す世界的潮流の中で、フォーミュラEがどこまで存在感を高められるか。東京という舞台での挑戦が、今まさに新たなフェーズに突入しようとしている。

フォーミュラEは、女性ドライバーだけのテストを実施するなど、新しい時代にフィットした新たな取り組みに前向きな姿勢を示している。

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