新車販売台数トップに君臨する大人気車「ホンダ N-BOX/N-BOX カスタム」【最新軽自動車 車種別解説 HONDA N-BOX/N-BOX CUSTOM】

デビュー以来常にトップセラーの一角を占め、ユーザーの求める声にオールマイティに応えた「ホンダ N-BOX/N-BOXカスタム」。独自の燃料タンクの配置で広い荷室や低床で使い勝手の良いリアゲートなど、日常生活への配慮が細かく行き届いている。ターボモデルはもちろん、NAモデルもパワフルでストレスはない。落ち着いた組み合わせのボディカラーもポイント。
REPORT:渡辺陽一郎(本文)/塚田勝弘(写真解説) PHOTO:神村 聖 MODEL:花乃衣美優

一級品の空間効率と使い勝手 走行安定性や乗り心地が進化

2024年に国内で最も多く販売された車種は、このN-BOXだった。先代が発売された17年以降、21年を除くと国内販売の1位を守り続けている。販売が好調な一番の理由は、軽乗用車では車内の広さが最大級だからだ。全高は1790㎜(FF)と高く、ホイールベースは軽自動車で最も長い2520㎜に達する。

エクステリア

シンプルで塊感を強調したフォルムが目を惹く。カスタムはエアロ形状のロアグリルや専用テールゲートスポイラーを用意。リヤコンビランプは、初代から受け継がれるクリアレンズで上質感を演出する。最小回転半径は4.7m。

エンジンは補機類の配置を含めて縦長に設計され、有効室内長を十分に確保。その結果、身長170㎝の大人4名が乗車した際、後席を後端までスライドさせると足元空間は握りコブシ4つ分に達する。後席を少し前側へ寄せても足元に十分な広さがあり、この状態で後席の後ろ側に相応の荷室を確保できる。後席の背もたれを前側に倒すと座面も下がり、大容量の荷室に変更できる。特にN-BOXは燃料タンクを前席の下に配置するため、ほかの車種よりも荷室の床が低い。路面からリヤゲート開口下端部までの高さは470㎜に収まり、自転車を積むときも前輪を高く持ち上げる必要はない。先代型に比べて収納設備は減ったが、積載性は優れている。

乗降性

N-BOXはこのように車内が広く実用性が高い一方で、車両の基本部分を入念につくり込んだ。全高が1700㎜を超える軽自動車は、ボディが重いためにターボを装着しない自然吸気エンジン車では動力性能が不足しやすいが、N-BOXは実用回転域の駆動力に余裕があり、登り坂でもパワー不足を感じにくい。ターボは最大トルクが自然吸気エンジンの1.6倍に増えて、発生回転数も実用域の2600rpmだから、走行中は常にターボが効果を発揮する。1.0ℓエンジンを搭載するような感覚があって運転しやすい。

インストルメントパネル

フラットなダッシュボードと水平基調のインパネ、インホイールメーターの採用によりすっきりした視界が広がる。7インチのTFT液晶メーターをホンダ軽で初めて搭載した。

走行安定性は現行型で改善され、車線変更時の左右方向の揺り返しを抑えた。ステアリングホイールを回し始めたときも、反応の鈍さを感じさせない。乗り心地は、売れ筋になる14インチタイヤ装着車は指定空気圧が高めで40㎞/h以下では少し硬いが、タイヤが路上を跳ねるような粗さは抑えられている。シートの座り心地も、乗り心地に優れた効果をもたらした。前席の座面は十分な厚みがあり、路面の細かなデコボコを乗員に伝えにくい。後席は先代型では柔軟性が乏しかったが、現行型になって改善された。それでも後席には注意点が残り、座面の前端に少し丸みを付けたため、大腿部と接する部分が短く感じる。この部分をもう少し長くすると、後席のサポート性と座り心地が向上して、ファミリーカーとしてさらに快適に使えるだろう。

居住性

現行N-BOXの発売は23年10月で設計が比較的新しく、低速域で作動する衝突被害軽減ブレーキ、前後両方向の誤発進抑制機能なども備える。このように現行N-BOXは安心感を高めている。内装のデザインでは、インパネの上端部分は先代型よりも約70㎜低く抑えられ、ボリューム感を伴う豪華な印象は薄れたが、小柄なドライバーも前方が見やすくなった。

うれしい装備

後席座面を跳ね上げて固定できるチップアップにより、ベビーカーなどの背の高い荷物が積載できるほか、子どもの着替えなどにも重宝する。
月間販売台数       1万7598台 N-BOXジョイを含む(24年7月~12月平均値)
現行型発表        23年10月
WLTCモード燃費      21.6 ㎞/ℓ ※「N-BOX」のFF車 

ラゲッジルーム

フロントマスクもシンプルな印象になり、存在感は少し弱まったが、良好な視界と相まって馴染みやすい。N-BOXは、従来以上に毎日の生活の中で使いやすいクルマに発展している。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.166「2025年 最新軽自動車のすべて」の再構成です。

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