バッテリーモジュール、電動アクスル、インバーターなどすべてをマラネッロで開発・手作業で製造
2025年は、フェラーリにとって非常に重要な年となるだろう。それは、初の電気自動車(EV)を発表することになるからだ。
フェラーリはハイブリッドで純粋主義者を動揺させたものの、販売は好調に推移している。そして初のEVは、6ヶ月後に評価を待つことになりそうだ。

フェラーリの電気自動車というアイデアは、多くの人にとって反発を招きかねないが、この車の開発は長年にわたり進められており、10月9日のキャピタル・マーケット・デーで世界に公開される予定となっている。
これまで、フェラーリのEVテストの様子は何度か目撃されているが、マラネッロは口を閉ざしている。先日行われた年次株主総会で、フェラーリのジョン・エルカン会長とベネデット・ヴィーニャCEOはともに、このモデルをフェラーリ「Elettrica」(エレトリカ)と呼び、開発には何年もかかっていると述べた。
またエルカン氏は、「電動化は、F1から始まり、レーシングカー、そしてスポーツカーへと、私たちが数十年にわたって追求してきた道です。フェラーリ・エレトリカ(電気自動車)の発表を大変楽しみにしています」と締めくくったようだ。
さらにEVにおいてもイノベーションを自社内で完結させるという同社のコミットメントを強調し、「これで、主要な電気部品はすべてマラネッロで開発・製造されていると言えるようになりました」と付け加えている。

エレトリカという名称が量産型にそのまま使われるかどうかは不明だが、その可能性が高いと考える人もいるようだ。なぜなら、フェラーリは、新型「12Cilindri」のように、車名にイタリア語の直訳語を使うことが多いからだ。
フェラーリは初のEV製造に向けて、電動化への投資を強化している。2024年4月には、ボローニャ大学、NXPと共同で新たなE-Cells Labを開設している。この研究センターは、材料に関する知識と「リチウムセルの化学的・物理的特性」を強化するために設立されており、過去1年間で200件のバッテリー関連特許を申請したと発表している。
また同年6月には、次世代フェラーリ車の製造拠点となるeビルディングも開設した。純粋主義者にとって、フェラーリはこれまでと変わらずイタリアらしさを保っており、エレトリカでもそれは変わらない。実際、フェラーリは「バッテリーモジュール、電動アクスル、インバーター、電動エンジン」のすべてが、マラネッロで開発・手作業で製造されていると発表している。
フェラーリのEVは、純粋なスポーツカーとして位置付けられるわけではない。テスト車両のスパイショットからは、4ドアを備えたハッチバックのようなクロスオーバーの形状になる可能性が示唆されているからだ。また、同社が2023年に特許を取得した、内燃機関(ICE)パワートレインのサウンドトラックを模倣できる「サウンド再生装置」を搭載する見込みとなっている。
プロトタイプは、フェンダーフレアが延長されていることから、EVは広いトレッドを持つことが示唆されている。さらにフロント23インチ、リア24インチのスタッガードホイールを備えていることも注目される。
もうひとつの興味深いディテールは、屋根に取り付けられたシャークフィンのアンテナだろう。黒く見えるが、時折緑や赤に点滅していたといい、何らかの充電状態インジケーターである可能性を示唆している。
2025年10月、いよいよフェラーリの歴史が動く。




















