高められた総合力独自の装備で王者に肉薄「スズキ・スペーシア/スペーシア カスタム」【最新軽自動車 車種別解説 SUZUKI SPACIA /SPACIA CUSTOM】

機能的で大容量を収める貨物コンテナをモチーフにした現行3代目「スズキ・スペーシア/スペーシア カスタム」。先代と同様使い勝手の良い装備と快適な居住空間は変わりない。一方安全装備が大幅にアップデートされ、変わらない安心感と先進技術の安心感で安定した人気も納得。21のカラーバリエーションも気になるポイントだ。
REPORT:河村康彦(本文)/塚田勝弘(写真解説) PHOTO:神村 聖 MODEL:花乃衣美優

貨物コンテナが意匠モチーフ 頭上の広さや使い勝手は格別

軽自動車の中でも人気の高い〝スーパーハイトワゴン〞と呼ばれるカテゴリーに属するスズキ発のモデルが、2013年に初代が誕生した「スペーシア」。

エクステリア

デザインテーマは、大容量と遊び心を感じさせるコンテナ。キャラクターラインとプレス成形によるビード形状と呼ぶ2本のラインが箱型に変化を与えている。

ここに紹介する現行3代目モデルは23年の登場で、ライバルたちと同様に標準車に加えて個性的なルックスを売り物とする〝カスタム〞を当初から設定。さらに、先代のモデルライフ途中で設定されたSUVテイストの強い内外装を特徴とする派生モデルの〝スペーシアギア〞も24年に現行型へと移行して、現在に至っている。そんなスペーシアの基本的なデザインモチーフは、従来型がスーツケースであったのに対して、新型ではより大容量の貨物用コンテナだと言う。そう聞くと、なるほどボディのサイドに入る水平基調のキャラクターラインが生み出すイメージがコンテナ特有のビード模様とラップ。さらに、その造形がリヤのスライドドア用レールを巧みにカモフラージュすることにつながっている点も見どころのひとつになっている。

乗降性

ほぼすべての軽自動車が全長と全幅を規格上限の3395㎜×1475㎜という寸法で横並びさせる中で、比較的制約の緩いのが「2m以下」という全高の決まりごと。その中でスペーシアが選んだのは1785㎜というデータで、これは長年にわたってこのカテゴリーの〝絶対王者〞に君臨するホンダのN-BOXよりも僅かだけ小さな値となる。とは言え、ゆとりあふれる頭上の空間を筆頭として「軽自動車なのにこんなに広いのか!」と、実際に乗り込んでみると思わずそんな声を上げたくなる室内空間を実現させているのはN-BOXと同様。

インストルメントパネル

デザインテーマは、大容量と遊び心を感じさせるコンテナ。キャラクターラインとプレス成形によるビード形状と呼ぶ2本のラインが箱型に変化を与えている。

ボックスティッシュやスマートフォンを置くことを想定したシンプルなトレー状の造形へとあらためられながらUSBポートを近くに移設するなど、再度使い勝手の高さが吟味されたダッシュボードを採用した新型スペーシアで特に目を惹く装備が、上級グレードに採用される〝マルチユースフラップ〞と名付けられたリヤシート座面前端の機能でもある。

居住性

「軽自動車初のオットマン」とも紹介が可能なこのアイテムは、そもそもは後席上に置かれた荷物のストッパー役としての機能から発想を得たというもの。走行時の転落を考え、あえてシートの上ではなくあらかじめフロア上に荷物を置くというのはままあるシーンだが、前述オットマンとしての効用とともにこうした荷物ストッパーとしての役割も果たすこの機構は見事なアイデア賞ものと言って良い。

うれしい装備

後席両側の「パーソナルテーブル」は、スマホやタブレットを立て掛けられるほか、500㎖の紙パックにも対応するドリンクホルダーを用意。
月間販売台数       1万3551台スペーシアギアを含む(24年7月~12月平均値)
現行型発表     23年11月
WLTCモード燃費  25.1 ㎞/ℓ※「ハイブリッド G」のFF車

ラゲッジルーム

テストドライブを行なうと、シリーズ中で唯一カスタム系に設定されたターボ付きエンジン搭載の「XSターボ」の動力性能が優れているのは当然ながら、熱効率の高い新たなユニットを搭載する自然吸気エンジン仕様でも実用上特に不足を感じない加速の能力を提供してくれたのもまた事実。率直なところ、フットワークの仕上がりに関しては大きな特徴は感じられないものの、従来型でやや弱点とされていた運転支援機能を大幅に強化させるなど、最新モデルとして相応しい商品性を備えたことは確かと実感ができるのが新型スペーシアの総合的な印象でもある。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.166「2025年 最新軽自動車のすべて」の再構成です。

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