GENROQ編集部員推薦、今買うならコレ! 私的オススメのクルマ3選

2021-2022 MF編集者が推すのはこの3台 マセラティ・ギブリ・トロフェオ/BMW M3コンペティション/レクサスNX450h+

マセラティ・ギブリトロフェオ(1840万円)
Motor-Fan.jpのMotor-Fan/Motor-Fan TECH./Motor-Fan Bikes/Web Option/SW DressUp Navi/GENROQ webの各チャンネルを担当する編集者たちが、「個人的な想い」で推す、いまお勧めのクルマ3台をお届けする。今回はGENROQ編集部吉岡おすすめの3台です。
TEXT○吉岡卓朗(YOSHIOKA Takuro)

自動車専門誌編集者という職業柄、試乗するクルマは多い。2021年は95台だった。カウント方法は同じ車種でもグレードが異なる場合や同グレードでもMT/ATなど仕様が異なる場合、それぞれ違うクルマとして数えている。現在所属する編集部がいわゆるスーパーカー特化型自動車誌『GENROQ』(毎月26日発売)故に、試乗するブランドと車種カテゴリーに偏りがあって今イチ台数が伸びなかったが、以前別の会社の総合自動車誌編集部にいた頃は年間200台をゆうに超える年もあった。若さもあって乗る度にそれぞれの○×と燃費の評価メモをちくちく書いていたが、もはや新車慣れしてしまった不感症的現在では最低限しか取っていない。だが2021-2022私的オススメ車は何かと問われれば、そんな偏った95台のひと言メモのなかから印象深かった新型モデルを引きずり出して、下記の3台を推したい。

マセラティ・ギブリトロフェオ(1840万円)

殿堂入りの過激で保守なラグジュアリーサルーン

マセラティの主力モデルとなるスポーツサルーン、ギブリ。その最強グレードとなるトロフェオは、3.8ℓV8ツインターボを積む超ハイパワーラグジュアリーサルーンだ。最高出力580ps、最大トルク730Nmを発揮するエンジンはもちろんすでに充分な魅力を放っているが、最大のフックはフェラーリ製であることだ。フェラーリはすでに2016年にフィアットグループを離脱しており、ステランティス・マセラティによもや珠玉のエンジンが供給されるとは思っていなかった。だが、その供給は22年までとプレスリリースで謳われている。これが最後のフェラーリエンジン搭載マセラティとなるのだろうか。

ギブリはマセラティのエントリーモデルとはいえ、全長5mに届かんとするEセグメント・ラグジュアリーサルーンである。それを最高速326km/h、0→100km/h加速4.3秒で走らせるのだからたまらない。スペックから0→100km/h加速に不満を持った貴方は鋭い。今やAMG E63もM5もAWDという駆動方式を選択するなか、このスポーツサルーンは超高出力エンジンに後輪駆動という過激な組み合わせなのである。そんな現代にあってRWDはある意味で保守的ともいえる。「過激な保守」という称号をこの名車に捧げたい。タイトベンドでちょっと踏めばV8が猛然と唸りをあげ、たちまちテールを振り出す芸当もお安い御用で、むしろそうなってしまう。もちろんそれはサーキットなどで試してください。

それでいて意外にもADASが充実しており、ACCもレーンキープも備わっているのが嬉しい。いちおうナビゲーションシステムも備わるが、カープレイもあって航路の大方針を決定する際に心強い。市街地を流す時はラグジュアリーサルーンとして機能し、ひとたびワインディングに入ればスポーツサルーンへと豹変する。名車の誉れ高いランチア・テーマ8.32を思い出す。ギブリ・トロフェオもまた殿堂入りではなかろうか。なおテーマ8.32に乗ったことはない。

BMW M3コンペティション(1324万円)

一般道からサーキットまで納得の後ろ姿がたまらない1台

BMW M3コンペティション(1324万円)

すでにM4コンペティションでその走りの素晴らしさに心打たれていたが、このM3コンペティションは輪をかけて素晴らしい。エンジンはM社謹製のS58型3ℓ直6ツインターボエンジンで8速ATが組み合わされる。今や最高出力510ps、最大トルク550Nmを発揮するハイパワースポーツサルーンで、サーキットも余裕でこなせる高い走行性能を発揮するが、日常はコンフォートモードを選ぶ限り、アダプティブMサスペンションと平和的な変速マナーが紳士的な乗り味を提供する。トルコンATもダイレクト感があるがウルトラスムーズで、ついついレッドゾーンぎりぎりまで回したくなる直6エンジンの熱気を適度に冷ましてくれる。サーキットでプロに試乗してもらうとM4よりもM3の方がコントローラブルだそうで、それもいい。なにより4ドアは日常生活も助かる。一般道からサーキットまで、揺りかごから墓場まで、いや違うか。

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現行のF80世代になってからというもの、特にM4は初披露された際の巨大グリルのインパクトが強く、クルマ好きの知人友人に「あれ、どう?」と聞かれることが多い。だが、その度に「むしろイイ」と胸を張って答えている。正当派ハンサムカーではないが、雰囲気が良い。なんというかマット・デイモン的な感じ。そして、むしろ見て欲しいのはフロントではなくリヤサイドである。M3を名乗る以上オーバーフェンダーは必要条件なわけだが、その盛り上がり方が、特にリヤがイイのだ。後ろ姿こそ映える。アネスト岩田箱根ターンパイクの大観山にある駐車場に前向きで駐めて、ラウンジに入る前にふり返ってみたい。ただしターンパイクの輪留めは巨大なのでノーズの低いクルマはマージンをとって、ぎりぎりを攻めないように駐めることをオススメする。

ちなみにM3/M4にはトラックパッケージやM4には6速MTもあるので、もしもそれらに乗った場合は宗旨替えする可能性は大いにある。

レクサスNX450h+

カイゼンが詰まったコンパクトSUV

レクサスNX450h+

これは年末に乗ったので印象も鮮明であるが、とにかくネタ盛りだくさん、見所満載のSUVである。レクサスにとってもまさに中核を担うミドルサイズSUVであるというのは250〜450h+という幅広いグレード展開からも窺える。その試乗記は別途MF内のインプレページをご覧いただくとして、そもそもがここ10年入れ食い状態のアーバンSUVである。世界的売れ筋カテゴリーというだけあって、各社力の入れようがすごいから、ほとんどハズレがないのだがこのNXは特に気に入った。

なかでもNX450h+が心に刺さった。NX350もまた新開発2.4ℓ直4ターボを搭載し、このご時世に新型エンジンを出してくる背景も含めて、心地よさを感じるエンジンなのだが、レクサス初のプラグインハイブリッドのNXフラッグシップグレードは真剣にほしいと思わせるほど良くできていた。EV走行88kmとか充電&給電もまあ便利だが、そもそもクルマの基本性能としての走りがいい。燃費もまあまあいい。ボディの高剛性軽量化やハブボルト締結構造など地道な改善が結果として性能を押し上げているのだろう。他にも巨大なヘッドアップディスプレイ(バージョンL、Fスポーツに装備)やeラッチというドア開閉スイッチも高級感を押し上げている。輸入車ずれしていても納得できる仕上げだ。細かい点だが初代NXでは冗談みたいに遅かった電動リヤゲートの高速化が図られている点も気に入った。

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ちなみに冒頭に書いた○×メモは、別の会社の総合自動車誌編集部にいた頃の上司にススメられた習慣である。おかげで曖昧な記憶の持ち主でも、正確な過去の情報を引っ張り出せるいい習慣がついた。20年近くも前のことであるが、アオダン先輩には今さらながらお礼を申し上げたい。

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