【写真で見る】スバル「ゲレンデタクシー」に登場したレオーネ・エステートバンの日本スキー連盟仕様車のディティールをチェック!

2025年1月18日(土)〜19日(日)、および25日(土)〜26日(日)に6年ぶりに開催されたスバルの「ゲレンデタクシー」。その初日である18日のオープニングセレモニーではスバルが日本スキー連盟(以下、SAJ)のナショナルチーム海外遠征サポート車として提供されたレオーネ・エステートバンと歴代レガシィツーリングワゴンの再現車が登場。スバルファンはもちろん、スキーファンも大いに盛り上がった。その後、会場に展示されたスバル・エステートバンのディティールをご覧いただこう。
REPORT&PHOTO:MotorFan.jp

スバルの4WD車はSAJのオフィシャルカー

スバルが東北電力の依頼を受けてff-1 1300Gバンを4WDに改造して納入したのが1971年。その後、1972年の初代レオーネがデビューする際に、前記のことから乗用車タイプの4WD車に需要があることわかったことからレオーネ・エステートバンに4WDを設定した。というのは、これまで何度も語り尽くされたヒストリーだ。

スバルff-1 1300Gバン4WD(PHOTO:SUBARU)

以降、レオーネ4WDは乗用車でありながら優れた悪路走破性を備えることで、かの東北電力のような積雪地の”現場”のクルマとして重宝されたのはもちろん、アウトドア派のユーザーに支持されることになった。特に、スキーヤーからは絶大な支持を集め、スバルもそのイメージをより高めるべく、1976年にSAJナショナルチームに、海外遠征のサポートカーとしてレオーネを提供する。

1976年にSAJナショナルチーム海外遠征サポートカーとして提供された初代レオーネ・エステートバン4WD。(PHOTO:SUBARU)

そしてその蜜月は今なお続いており、2024年10月にはSAJのオフィシャルカーとしてレガシィアウトバック2台とクロストレック1台をオフィシャルカーとして提供している。
そのような深い縁もあり、「ゲレンデタクシー」にはSAJ会長の原田雅彦氏がアンバサダーとして会場に登場し、スバルとSAJとそのオフィシャルカーについて語った。

ゲストやコンテンツも盛りだくさんで会場は大いに沸いた「ゲレンデタクシー2025」の様子はこちら。

そんな2025年の「ゲレンデタクシー」には、スバルがSAJに提供したオフィシャルカーの再現車が展示されたのだが、初代から4代目までの歴代レガシィツーリングワゴンに加え、先頭を切って会場に現れたのがレオーネ・エステートバンだった。

レオーネ・エステートバンを先頭にゲレンデを下って会場に現れたSAJオフィシャルカー仕様車。

写真で見る!1983年式レオーネ・エステートバン4WD

4代目レガシィですら2003年デビューと、すでに20年以上が経過しており、今回現れたレガシィとレオーネはいずれも”懐かし”のクルマ。中でも、レオーネ・エステートバンは1983年式と40年前の”ヒストリック”カーだ。

レオーネ・エステートバンSAJオフィシャルカー仕様。

このレオーネは1979年にフルモデルチェンジされた2代目モデルで、デビュー当時は「ザ・ニューレオーネ」と称された。2代目レオーネは、世のハッチバック人気を受けて3ドアハッチバックの「スイングバック」を設定したり、これまで4ナンバーのバンしかなかったワゴンに5ナンバー登録の「ツーリングワゴン」を設定したほか、4WD+ATモデルを日本で初めて設定したほか、4WD+ターボもラインナップ。モデル末期には油圧式車高調整機能の「ハイトコントロール」を追加するなど、何かと話題の多いモデルだった。

「ゲレンデタクシー」オープニングセレモニーに登場したレオーネ・エステートバンSAJオフィシャルカー仕様。スキーキャリアこそ現行モデルだが、ルーフキャリアは当時モノだ。

今回「ゲレンデタクシー」に当時したレオーネ・エステートバンは1983年式で、2代目レオーネとしては末期のモデルにあたる(当時の日本車は4年ごとのフルモデルチェンジが基本で、レオーネは1984年に3代目へモデルチェンジ)。前後のコンビランプが汚れが付きにくいとされる凹凸タイプになっているのが特徴だ。

ヘッドランプは1.8Lのみ角目で、そのほかは丸目。このクルマはフロントフォグランプを追加している。
エステートバンは1.3L/1.6L/1.8Lがあり、1.8Lは4WDのみの設定。このクルマは最上位の1.8Lだ。

ちなみにこのクルマはスバルが今回のゲレンデタクシーのために改めて用意したものだそうだ。外装や機関の調子は悪くはなかったものの、内装の状態はあまり思わしくなく、ここまで仕上げるのにはかなり手間がかかっているという。

六連星エンブレムは星座レイアウトに忠実で線で繋ぐタイプの囲みあり。
バンとはいえ最上級モデルだけにヘッドランプウォッシャー付き。しかもちゃんと機能していた。
左リヤクォーターウインドウには無鉛ガソリン指定のステッカー。ガラスには富士重工の「丸フ」マーク。
フューエルリッドは右リヤフェンダー。車内オープナーではなく、キーで開閉するタイプ。

しかも、この個体は当時としては珍しいエアコン装着車であり、ミラーもフェンダーミラーではなくドアミラーが装着されていた。当時のSAJ車両がそうであったのかはわからないが、今回スバルが用意したこのクルマは、なかなかレアな個体であることを感じさせる。

フロントドアにSAJのロゴが入る。レオーネエステートバンは樹脂のフェンダーミラーが標準だが、このクルマはボディ同色の車名ロゴ入りドアミラーが装着されていた。

写真で見る!インテリア

レストアには手間が掛かったというインテリアだが、その分、かなり良い仕上がりになっていた。シートなども破れやヤレなども見られず、”新車のような”とまでいかないとしても、その面影は十分に感じられた。

レオーネ・エステートバンのインテリア。デザインこそ古さを感じさせるものの、レイアウトについてはちょっと前のスバル車にも受け継がれているようにも感じられる。
ダッシュボードとセンターコンソールはオーソドックスなT字レイアウト。ステアリングはメーターを見やすいA型スポーク。メーターパネル中央付近にはアナログ時計が配置されている。
左がスピードメーター、右がタコメーター。レッドゾーンは5500rpmと低いのはOHVゆえか。スピードメーターの左が燃料計、タコメーターの右が水温計。各種警告灯が大きい。
センターコンソールの上部はエアコンの操作パネル。時代的にエアコン装備は珍しい。オーディオは装着されておらず、パネルで塞がれていた。
ヘッドライトウォッシャースイッチ(左)とチョークレバー(右)。
ワイパー系の操作系はコラムに設けられたダイヤルで行う。
ライト系もワイパー系と同様にダイヤル式。ウインカーのみレバーで配置される。
時代的にドアはシンプルで薄い。ドアレバーとロックはこの後、長くスバル車で使い続けられる形状。ドアの収納は運転席側のみ。
クラッチ、ブレーキ、アクセルのペダルは吊り下げ式。レオーネのフロアマットの程度も良好だ。
フロントシート。布地にビニールレザーのサイドサポート。
リヤシートはヘッドレストがなく、座面は一体可倒式。
バンなのでラゲッジルームウインドウにはバーがある。
助手席側。グローブボックスに加えその下にも収納スペースがある。

写真で見る!ドライブトレイン

このレオーネ・エステートバンは1.8 4WDというエステートバンの最上位グレードで、搭載されるエンジンはEA81型1.8L水平対向4気筒OHV 8バルブ。1982年に追加されたターボ仕様を除けば、当時のスバルの最上位エンジン。燃料供給系はキャブレターだ。

当時のスバル車のエンジンルームには、フロントのトラクションとラゲッジルーム容量の確保のためにスペアタイヤが置かれる。
スペアタイヤの前の薄水色のパーツはエアクリーナーボックス。吸気はエンジンルーム内から行われている。
このクルマのスペアタイヤはテンパーではなくブリヂストンのマッド&スノータイヤ(RV PANROAD)を搭載していた。
レオーネ・エステートバンのサウンドを聴く。

駆動方式はパートタイム式の4WDでこれに4速MTを組み合わせる。4速MTには副変速機が備わり、2WD(FF)/4WD・Hi/4WD・Loの切り替えが可能。4WD時には2速×4速の8速MTになるのだ。
ちなみに、当時のレオーネ・エステートバンのカタログには登坂能力としてtanθ0.76(1.8 4WD)と記載されている。これは、角度で表すと約37.23度だ。

シフトレバーの後の逆L字のレバーは切り替えレバー。
切り替えレバーには4WDの表記。コンソールには切り替え内容の表記。

サスペンションはフロントがストラット式、リヤがセミトレーリングアーム式の四輪独立懸架。水平対向エンジンからトランスミッション、プロペラシャフト、リヤディファレンシャルまで一直線に続くシンメトリカルAWDは現代のスバルAWDまで受け継がれている。

フロントサスペンションはストラット式。写真中央のオイルパンにはガードが装着されている(4WD車の標準装備)。
リヤサスペンションはセミトレーリングアーム式の四輪独立懸架。
タイヤサイズは175/70R13。このクルマはブリヂストン製スタッドレスタイヤ「ブリザックVRX3」を装着。

清水和夫”親分”、レオーネを語る

レオーネといえばかつてレオーネで全日本ラリー選手権を戦った清水和夫氏。ゲレンデタクシーの会場を訪れた清水氏は、このレオーネ・エステートバンのステアリングを握るなど、かつての戦友と旧交を暖めた。

そんな清水和夫氏のレオーネ・エステートバンのレポートがこちら。合わせてご覧ください。

レオーネとスキーと苗場スキー場

「ゲレンデタクシー」の会場はスキーのメッカである苗場スキー場。このレオーネが現役だった当時、やはり4WDのレオーネでこのスキー場を訪れたオーナーもいることだろう。
合わせて展示された歴代レガシィと合わせて、来場者には懐かしさを感じさせる展示だったのではないだろうか?

苗場スキー場の「ゲレンデタクシー」会場に展示されたレオーネ・エステートバン。奥に見えるのが苗場プリンスホテルだ。
車名レオーネ
ボディタイプエステートバン
グレード1.8 4WD
年式1983
全長4275mm
全幅1620mm
全高1470mm
室内長1775mm
室内幅1345mm
室内高1145mm
ホイールベース2445mm
最小回転半径4.8m
トレッドF:1310mm
R:1340mm
最低地上高210mm
乗車定員5名
エンジンEA81型
水平対向4気筒OHV8バルブ
排気量1781cc
最高出力95ps/5200rpm
最大トルク15.0kgm/3200rpm
燃費17.0km/L
サスペンションF:ストラット
R:セミトレーリングアーム
駆動方式パートタイム4WD
トランスミッション副変速機付き4速MT
登坂能力tanθ0.76(約37.23度)
※出力はグロス値。燃費は当時の届出値。

フォトギャラリー:レオーネ・エステートバン

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