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スバルの4WD車はSAJのオフィシャルカー
スバルが東北電力の依頼を受けてff-1 1300Gバンを4WDに改造して納入したのが1971年。その後、1972年の初代レオーネがデビューする際に、前記のことから乗用車タイプの4WD車に需要があることわかったことからレオーネ・エステートバンに4WDを設定した。というのは、これまで何度も語り尽くされたヒストリーだ。

以降、レオーネ4WDは乗用車でありながら優れた悪路走破性を備えることで、かの東北電力のような積雪地の”現場”のクルマとして重宝されたのはもちろん、アウトドア派のユーザーに支持されることになった。特に、スキーヤーからは絶大な支持を集め、スバルもそのイメージをより高めるべく、1976年にSAJナショナルチームに、海外遠征のサポートカーとしてレオーネを提供する。

そしてその蜜月は今なお続いており、2024年10月にはSAJのオフィシャルカーとしてレガシィアウトバック2台とクロストレック1台をオフィシャルカーとして提供している。
そのような深い縁もあり、「ゲレンデタクシー」にはSAJ会長の原田雅彦氏がアンバサダーとして会場に登場し、スバルとSAJとそのオフィシャルカーについて語った。
そんな2025年の「ゲレンデタクシー」には、スバルがSAJに提供したオフィシャルカーの再現車が展示されたのだが、初代から4代目までの歴代レガシィツーリングワゴンに加え、先頭を切って会場に現れたのがレオーネ・エステートバンだった。

写真で見る!1983年式レオーネ・エステートバン4WD
4代目レガシィですら2003年デビューと、すでに20年以上が経過しており、今回現れたレガシィとレオーネはいずれも”懐かし”のクルマ。中でも、レオーネ・エステートバンは1983年式と40年前の”ヒストリック”カーだ。

このレオーネは1979年にフルモデルチェンジされた2代目モデルで、デビュー当時は「ザ・ニューレオーネ」と称された。2代目レオーネは、世のハッチバック人気を受けて3ドアハッチバックの「スイングバック」を設定したり、これまで4ナンバーのバンしかなかったワゴンに5ナンバー登録の「ツーリングワゴン」を設定したほか、4WD+ATモデルを日本で初めて設定したほか、4WD+ターボもラインナップ。モデル末期には油圧式車高調整機能の「ハイトコントロール」を追加するなど、何かと話題の多いモデルだった。

今回「ゲレンデタクシー」に当時したレオーネ・エステートバンは1983年式で、2代目レオーネとしては末期のモデルにあたる(当時の日本車は4年ごとのフルモデルチェンジが基本で、レオーネは1984年に3代目へモデルチェンジ)。前後のコンビランプが汚れが付きにくいとされる凹凸タイプになっているのが特徴だ。
ちなみにこのクルマはスバルが今回のゲレンデタクシーのために改めて用意したものだそうだ。外装や機関の調子は悪くはなかったものの、内装の状態はあまり思わしくなく、ここまで仕上げるのにはかなり手間がかかっているという。
しかも、この個体は当時としては珍しいエアコン装着車であり、ミラーもフェンダーミラーではなくドアミラーが装着されていた。当時のSAJ車両がそうであったのかはわからないが、今回スバルが用意したこのクルマは、なかなかレアな個体であることを感じさせる。

写真で見る!インテリア
レストアには手間が掛かったというインテリアだが、その分、かなり良い仕上がりになっていた。シートなども破れやヤレなども見られず、”新車のような”とまでいかないとしても、その面影は十分に感じられた。



写真で見る!ドライブトレイン
このレオーネ・エステートバンは1.8 4WDというエステートバンの最上位グレードで、搭載されるエンジンはEA81型1.8L水平対向4気筒OHV 8バルブ。1982年に追加されたターボ仕様を除けば、当時のスバルの最上位エンジン。燃料供給系はキャブレターだ。

駆動方式はパートタイム式の4WDでこれに4速MTを組み合わせる。4速MTには副変速機が備わり、2WD(FF)/4WD・Hi/4WD・Loの切り替えが可能。4WD時には2速×4速の8速MTになるのだ。
ちなみに、当時のレオーネ・エステートバンのカタログには登坂能力としてtanθ0.76(1.8 4WD)と記載されている。これは、角度で表すと約37.23度だ。
サスペンションはフロントがストラット式、リヤがセミトレーリングアーム式の四輪独立懸架。水平対向エンジンからトランスミッション、プロペラシャフト、リヤディファレンシャルまで一直線に続くシンメトリカルAWDは現代のスバルAWDまで受け継がれている。



清水和夫”親分”、レオーネを語る
レオーネといえばかつてレオーネで全日本ラリー選手権を戦った清水和夫氏。ゲレンデタクシーの会場を訪れた清水氏は、このレオーネ・エステートバンのステアリングを握るなど、かつての戦友と旧交を暖めた。
レオーネとスキーと苗場スキー場
「ゲレンデタクシー」の会場はスキーのメッカである苗場スキー場。このレオーネが現役だった当時、やはり4WDのレオーネでこのスキー場を訪れたオーナーもいることだろう。
合わせて展示された歴代レガシィと合わせて、来場者には懐かしさを感じさせる展示だったのではないだろうか?

車名 | レオーネ |
ボディタイプ | エステートバン |
グレード | 1.8 4WD |
年式 | 1983 |
全長 | 4275mm |
全幅 | 1620mm |
全高 | 1470mm |
室内長 | 1775mm |
室内幅 | 1345mm |
室内高 | 1145mm |
ホイールベース | 2445mm |
最小回転半径 | 4.8m |
トレッド | F:1310mm R:1340mm |
最低地上高 | 210mm |
乗車定員 | 5名 |
エンジン | EA81型 水平対向4気筒OHV8バルブ |
排気量 | 1781cc |
最高出力 | 95ps/5200rpm |
最大トルク | 15.0kgm/3200rpm |
燃費 | 17.0km/L |
サスペンション | F:ストラット R:セミトレーリングアーム |
駆動方式 | パートタイム4WD |
トランスミッション | 副変速機付き4速MT |
登坂能力 | tanθ0.76(約37.23度) |
フォトギャラリー:レオーネ・エステートバン









































