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フォレスターの居住性はRAV4を上回る




新型フォレスターのボディサイズは全長4655mm×全幅1830mm×全高1730mm。先代から全長と全幅がわずかに拡大されたのみで、サイズ感はRAV4と大差ない。後席居住性を比較すると、RAV4と頭上空間は同じくらいだが、膝周り空間はフォレスターの方が50mmほど広くなっている。後席用のエアコン吹き出し口が備わる点は共通だ。
両車の荷室寸法はフォレスターが長さ928mm×幅1100mm×高さ887mmであるのに対し、RAV4は長さ1015mm×幅1000mm×高さ880〜935mmとなる。荷室開口幅は1250mmと1355mmとRAV4の方がやや広く、2名乗車時の最大床面長はどちらも1800mm前後が確保されている。
総括すると居住性はフォレスターが優位で、積載性はRAV4が優れる結果となりそうだ。ただし、フォレスターは荷室からスイッチ操作で後席を倒せるようになっている。RAV4はラゲッジボードは2段階で切替可能となっているため荷室高調整ができるうえ、アンダーラゲッジとして利用可能だ。荷室の機能性に関しては両車一長一短といえるだろう。
なお、フォレスターは新たに採用されたフルインナーフレーム構造や弾性構造接着剤、ドアガラスの板厚アップや各所の遮音によりボディ剛性や静粛性も大きく向上している。
スバル フォレスター X-BREAK S.HEV EX
ボディサイズ=全長4655mm×全幅1830mm×全高1730mm
ホイールベース=2670mm
車両重量=1740kg
タイヤサイズ=225/55R18(前後)
トヨタ RAV4 Adventure
ボディサイズ=全長4610mm×全幅1865mm×全高1690mm
ホイールベース=2690mm
車両重量=1700kg
タイヤサイズ=235/55R19(前後)
燃費ではRAV4に僅差で及ばず!悪路走破性はフォレスターが優位


スバルの「S.HEV」とトヨタの「THS-II」は、どちらもトランスミッション内の遊星ギアでエンジンとモーターの動力を合成し、発電負荷量を可変させることでそれぞれの動力割合を変化させる仕組みのハイブリッドシステムだ。
両車の大きな違いは、搭載エンジンと4WDシステムにある。フォレスターは縦置きの水平対向エンジンに最高出力119.6ps/最大トルク270Nmのモーターを追加し、後輪はトランスミッションから伸びるプロペラシャフトで駆動する。対するRAV4は、横置きした直列4気筒エンジンに最高出力120ps/最大202Nmのモーターを組み合わせ、後輪は54ps/121Nmモーターで駆動する「E-Four」だ。
システム総出力はRAV4のほうが高く、後輪の駆動レスポンスにも優れる。フォレスターはプロペラシャフトを介するぶん駆動損失は増えるが、従来のAWD機構と制御を踏襲できるためスバル車らしい乗り味はそのままだ。S.HEVによりフォレスターのWLTCモード平均燃費は18.8km/Lまで改善された。しかし、RAV4の20.3km/Lにはわずかに及ばない。
悪路走行の要となる対地障害角は、最低地上高220mmのフォレスターがアプローチアングル20.3度/ランプブレークアングル21.0度/デパーチャーアングル25.7度となる。RAV4の最低地上高は195mmで対地障害角はそれぞれ18.0度/20.5度/16.5度だ。どちらにも高度な四輪制御システムが備わっているが、悪路走破性はフォレスターの方が高そうだ。
スバル フォレスター X-BREAK S.HEV EX
エンジン形式=水平対向4気筒ガソリンエンジン+モーター
排気量=2498cc
最高出力=160ps/5600rpm
最大トルク=209Nm/4000-4400rpm
トランスミッション=電気式CVT
駆動方式=4WD
トヨタ RAV4 Adventure
エンジン形式=直列4気筒ガソリンエンジン+モーター
排気量=2487cc
最高出力=178ps/5700rpm
最大トルク=221Nm/3600-5200rpm
トランスミッション=電気式CVT
駆動方式=4WD
性能と装備を考慮すれば新型フォレスターは十分に“買い”


フォレスターはストロングハイブリッドシステムが搭載されたことで大きく値上がりした。フォレスター「X-BREAK S.HEV EX」の価格は448万8000円、RAV4「Adventure」のハイブリッドモデルは433万1800円であり、フォレスターの方が15万円以上高い。
しかし、性能と装備を考慮すれば大きな差とはいえないだろう。フォレスターの内装デザインは他のスバル車と共通だが、各部のトリムは専用デザインとなっている。またブラック/グレーのコンビシートは撥水表皮が用いられ、グリーンステッチがあしらわれる。
両車ともにシートヒーター&ステアリングヒーターが備わるが、フォレスターは後席左右にもシートヒーターが標準装備だ。RAV4ではオプションとなるデジタルインナーミラーがフォレスターでは標準で備わり、世界初となるサイクリスト対応の歩行者保護エアバッグも採用された。加えてフォレスターの「EX」グレードは、渋滞時ハンズオフなどの機能が備わる「アイサイトX」が装備される。
最新のフォレスターと、モデル末期に差し掛かるRAV4を比較するのはアンフェアではあるが、RAV4は今でも国産ミドルクラスSUVのベンチマークたりえる存在だ。それに対抗できるだけの燃費性能と機能性を備えながら、同等にまで価格が抑えられた新型フォレスターには、スバルの企業努力の跡が見え隠れする。