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エアレースXとは?
エアレースXとは最高時速400km、最大重力加速度12Gにも及ぶ極限下で、世界最高の操縦技術を有するパイロットたちがレース専用の小型飛行機を操り、タイムと正確さを競い合う空のモータースポーツ。パイロンを立てて作られたコースをタイムアタック形式で競う形は、立体的なジムカーナと表現するのがわかりやすい。



全長:6.3m
全幅:7.4m
空虚重量:530kg
エンジン:ライカミングAEIO-540空冷水平対向6気筒
最高速度:425km/h
2023年に渋谷を舞台に初開催され、2024年には初のシリーズ戦として3戦を開催。革新的モータースポーツとして進化を遂げている。そして2025年シーズンは、新たにルーキーパイロット2選手が加わり全4戦で争われる。

予選の順位でトーナメント初戦の対戦相手を決定し、ファイナルは予選ファイナルーセミファイナル(準決勝)ーファイナル(決勝+3位決定戦)のトーナメント形式で争われる。
シリーズポイントは決勝ポイントに加えて予選順位にも付与されるので、全4戦のシリーズと考えると予選順位も重要となってくるのだ。

決勝の様子はパブリックビューイングで
エアレースXは、選手がそれぞれのホームで飛行し、そのデータをリモートで対戦させる形式。気象条件などコンディションも異なる場所でのフライトになるため、ここでもイコールコンディションであることがレギュレーションで厳しく定められている。

そのため、来場者としては目の前でトップ選手がレースをする様子を見られるわけではなく、大型モニターでのパブリックビューイングでの観戦となる。しかし、生での迫力こそないものの、オンボードカメラによる映像とCGによるフライトコーストレース映像で、下から見ているだけではわからないレースの展開を見ることができる。

さらに、各ラウンドのインターバルが短く、コースタイムも今回の第1戦では1分前後と短くテンポよく進行するので見ていて飽きることがない。このあたりは映像編集や構成の妙味もあり、実にドラマチックだ。

リアルとバーチャル、ライブとリモートを組み合わせたまさに新時代のエンターテインメントと言えるだろう。
室屋選手のアクロバティックとレース機でのデモフライト
とはいえ、やはり空港に来て飛行機レースを観戦する以上、飛行機が飛ぶところをライブで見たいと思うのは当然。このエアレースX第1戦では室屋義秀選手がアクロバティック飛行とレース機による飛行と、合わせて3度もデモフライトを見せてくれた。

アクロバティック飛行では室屋選手得意の機動が余すところなく披露され、来場者は空を見上げ、その飛行機らしからぬ動きに歓声を上げていた。
また、着陸後に行われたスモークを焚いてのグラウンドループはドーナツターンのようで(タイヤスモークではないので匂いは無いが)、モータースポーツ的な雰囲気を強く感じさせた。

一方、ド派手な機動のアクロバティック飛行と異なり、実際のレース機によるデモフライトは、エアレースのコースを飛行機がどのように飛ぶのかを見ることができた。
コースが1分前後のパイロン周回で飛行場上空で完結するため、高さはともかくとして飛行機が目視範囲内にいる点はサーキットレースよりも観戦しやすいかもしれないと感じた。
エアレースチャンピオン”Yoshi”こと室屋義秀選手
そんなデモフライトを披露した室屋選手は、エアロバティックパイロットを経て、2009年にアジア人初のエアレース世界選手権参戦を果たし、2017年には世界王者に輝いた。2023年にエアレースXを立ち上げ、2024年から始まったシリーズ戦ではふくしまスカイパークをホームに戦い、再びチャンピオンに輝く。

第1戦の会場となったふくしまスカイパークは室屋選手のホームであり、今イベントでは室屋選手が使用した歴代フライトスーツやトロフィーなどが展示されていた。


また、デモフライトだけでなくフライトの合間にはトークショーが開催された他、チャリティオークションでは前述のフライトスーツやファンクラブ終身名誉会長の称号が出品され、それぞれなかなかの高額で落札されるなど、室屋選手の人気ぶりを感じさせた。
初戦は2位スタート!連覇に向けて次戦での巻き返しを誓う
第1戦ではパトリック・デイビッドソン選手(チーム77)が予選・決勝ともに好タイムを出して優勝を飾った。「Yoshiに勝ちたい」と公言していただけにデイビッドソン選手にとっては最高のスタートとなった。


一方、室屋選手は予選・決勝ともに2位。全4戦で争われるシリーズだけに次戦の結果が重要になってくる。次戦からはマシンがアップデートが予定されており、連覇に向けて優勝が期待される。


2年目を迎えたエアレースXは各選手のマシンのアップデートも進み、実力伯仲。さらに、2選手が新たにシリーズにエントリーしたことでより盛り上がりを見せている。
7月6日(日)に予定されている第2戦は、今シーズンを占う重要な一戦になるだろう。これは目が離せない。

ふくしまスカイパークフェスタ2025春

エアレースX第1戦の会場となったふくしまスカイパークでは、同時に「ふくしまスカイパークフェスタ2025春」が開催された。
室屋選手のアクロバット飛行やエアレースXの飛行機によるデモ飛行が見られた他、各種飛行機も展示されコックピットに座れるサービスも行われた。


他にも、福島県消防防災ヘリコプターによる展示飛行に加え降下デモや担架収容デモを見ることができた。目の前をヘリコプターがフライパスするところを見られたり、降下・上昇してローターのダウンウォッシュに晒されるという貴重な体験ができた。

また、自衛隊や福島県の物産、活動をアピールする出展をはじめ、キッチンカーなども並び、飛行機だけでなくさまざまな形で楽しめるイベントとなっており、GWということもあり多くの家族連れが訪れていた。


ワーキンググループ「チームやぶき」がクラウンFCEVの電力で綿菓子を作って振る舞っていた。
