フロントミッドシップにV8エンジンを搭載し、後輪に動力を送るグランドツアラーとしてイメージ

同デザイナーは、インドのムンバイでメルセデス・ベンツのビジュアライゼーション・デザイナーとして働いているが、彼は業務時間外で、レトロな外観のV8エンジン搭載GTとしてのスティングレイをCG制作した。

コルベットは、アメリカが生んだもっとも象徴的なスポーツカーのひとつとしての地位を確立し、世界中の無数のデザイナーにインスピレーションを与えてきた。そんなデザイナーのひとりがインド出身のマイトレーヤ・ダナック氏だ。彼はクラシックなC2世代とC3世代のスティングレイに独自の現代的なアレンジを加えている。
シボレーは当初、1959年のコンセプトカーに「スティングレイ」という名称を付け、その後は、特定のコルベットモデル、具体的には C2、C3、C7、C8 世代に使用されてきた。最新バージョンはミッドエンジンレイアウトを採用しており、スーパーカーの雰囲気を醸し出すかもしれないが、それまでのフロントエンジンモデルのプロポーションを重視するファンも根強い。

ダナック氏は、フロントエンジンのコルベットの大ファンだという。デジタル限定のコンセプトであるスティングレイ・オマージュは、オリジナルのデザインに敬意を表しつつ現代的なひねりを加えたもので、ドラマチックなプロポーションを持つこのコンセプトカーは、超高価なコーチビルドのスペシャルのような雰囲気を持っていると言っていいだろう。
フロントエンドは、低く取り付けられた4つの丸型LEDヘッドライトが、長いボンネットの鋭いエッジの輪郭を描くクロームのディテールとともに、アグレッシブなサメの鼻のような外観を作り出している。また、彫刻的なフェンダーがクラシックなタービンスタイルのホイールを際立たせ、ローダウンされたサスペンションが車のエキゾチックなスタンスを強調している。その他の目を引くディテールとしては、サイドマウントの排気管とカーボンファイバー製サイドスカートだろう。

リヤフェンダーは、ミニマリストなテールへと官能的にカーブし、ベントレー風のグラフィックが施された楕円形の4灯テールライトを収容、洗練された一体型ディフューザーがすべてをひとつにまとめている。1963年型コルベットスティングレイからインスピレーションを得た、象徴的な分割リヤウィンドシールドはそのまま残され、取り外し可能なガラスパネルを分けるルーフに沿って走る「背骨」が、クルマにブガッティのような存在感を与えている。
車内のレンダリング画像では、2人乗りのキャビンを覗くことができ、サドルカラーの内装と、レトロさと洗練さを両立させた宝石のような計器やスイッチが特徴となっている。
ダナック氏は、パッケージや寸法といった実用的な要素を考慮しつつ、車の美しさを捉えたいという思いが、このプロジェクトを推進したと語っている。デザイナーはスティングレイオマージュを、フロントミッドシップにV8エンジンを搭載し、後輪に動力を送るグランドツアラーとしてイメージしているという。

もちろん、ほとんどの独立コンセプトと同様に、スティングレイオマージュが実際に発売されることはないだろう。公道走行に適した状態にするために必要な改造は、その印象的なデザインを損なう妥協につながる可能性が高く、理想通りとならないケースがほとんどだからだ。現在シボレーは、コルベット次期型(C9世代)の開発に着手している可能性があるが、こんな魅力あるコンセプトが市販されれば、C9のことなど忘れそうだ。